日本人ってどれくらい金を買っているの? | 【公式】日産証券の金投資コラム

日本人ってどれくらい金を買っているの?

2023年9月4日

 

今回は日本の個人の金購入量について紹介します。

ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の調査によると、日本の2022年の金の宝飾品需要は15.4トン、前年の15.5トンから若干の減少。また、同じく2022年の地金と金貨の消費量はマイナス11.2トン(売却超過)、前年の0.1トンから減少しました。

 

WGCは「宝飾品需要」と「地金金貨需要」の合計を「消費者需要」と定義しています。2022年の日本の金の消費者需要は4.3トンでした。また2010年~2022年の平均で見ると日本の金の消費者需要は8.8トンでした。そしてWGCによるとこれは国民一人当たりの消費者需要とすると、日本人は2022年には0.03グラム、2010年~2022年の平均で0.07グラムの消費量でした。平均購入量を現在の金価格で計算すると600円~700円といったところでしょうか。

 

それでは日本以外の世界各国の状況はどうかというと、消費者需要の2010年~2022年の平均で見ると、スイスは6.53グラム、アラブ首長国連邦(UAE)6.18グラム、香港5.95グラムと、さすがに世界有数の金の精錬企業が集まる国、金製品の集積地になっているこれらの国、地域の消費量は非常に多いですが、海外旅行客の購入分も含まれている可能性はあります。先進国では、日本以外のG7各国の状況は、ドイツが1.66グラム、アメリカ0.60グラム、カナダ0.55グラム、イギリス0.53グラム、イタリア0.35グラム、フランス0.25グラムと、日本と比較すると、日本以外で最も少ないフランスと比べても3倍以上の開きがあります。

 

新興国グループのBRICSでは、金の二大市場の中印は、中国0.65グラム、インド0.61グラム。次いでロシア0.38グラム、ブラジル0.11グラムと続きます(南アフリカはWGCの集計なし)。それ以外にもアジア(タイ1.04グラム、韓国0.70グラム、スリランカ0.26グラム)、中東(サウジアラビア2.02グラム、クウェート3.43グラム、イラン0.98グラム)など、洋の東西、経済力の違いに関わらず、いずれも日本以上に金を消費しています。日本人は世界の主要国の中で桁違いに金消費の少ない国と言えます。

 
国民一人当たりの金消費量(装飾品+地金・金貨)

金需要の約半分を占める宝飾品需要については、金ぴかのアクセサリーは、日本人はあまり好まないとも言われますが、世界の宝飾品需要の中には身を飾るというほかに富の象徴、資産として保有するという意味合いがあると言います。

 

今年6月に日本銀行より公表された資金循環統計(2023年3月末)によると、日本の個人金融資産は2043兆円に上りますが、そのうち現金・預金は1107兆円(54%)を占め、欧米に比較して預金率が高く、日本は「貯金大国」と呼ばれたりします。しかし、ご承知の通り、昨年から米国中心に世界各国がインフレ抑制のために急速かつ大幅に利上げをする中、日本は長く金融緩和政策を続け、現在世界で唯一マイナス金利政策を行っている国であります。よく金は金利を生まないということが金融資産としての「弱み」と言われますが、金利という点では日本円に対して金はほとんどその弱みはないと言えます。メガバンクの定期預金金利は0.002%しかありません(2023年7月現在)。100万円を1年間預けてもわずか20円しか利息を受け取れません。

 

地銀やネットバンクの中にはメガバンクよりも好金利をうたう銀行はありますが、それでも高くて0.3%程です。世界で最も金の弱みの影響を受けにくい日本が、世界で最も金を購入していないというのが現状です。

 
銀行預金か金投資か

では、日本人が金を保有していても恩恵はなかったのでしょうか?

 

下の表は円建て金を年末に購入して翌年から各年末に売却したらどの程度のリターン(ロス)になっていたかを表したものです。1999年末から2022年末に購入して、各年末(今年は7月20日現在)に売却したとすると、1年目にロスになったものは24回中4回(購入年2007年、2012年、2014年、2017年)ありますが、そのうち2回は2年目からプラスに転じ、最もパフォーマンスの悪い2012年も7年後には+13.5%の利益になりました。

 

仮に定期預金に0.3%(最優遇金利)で預けても7年複利では2.119%の利益にしかなりません。パフォーマンスの面でも金は過去20年以上に渡って円預金を圧倒していたと言ってよいでしょう。

 

金利面での弱みもなく、過去のパフォーマンスでも圧倒している金。今こそ金の良さを見直す時期ではありませんか。

 
円建て金価格のパフォーマンス(%)、1999~2023年YTD

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