金:ステーブルコインの発行企業が、新たな大口の買い手|【Weekly Report】週間予定 | 【公式】日産証券の金投資コラム

金:ステーブルコインの発行企業が、新たな大口の買い手|【Weekly Report】週間予定

NSインベストメント 菊川弘之
2025年12月1日

週間展望(12/1~12/7)

週間予定:植田日銀総裁講演、FRBブラックアウト期間(12月11日まで)

【週間スケジュール(12月1日~12月7日)】

・延期されていた米国9月PCE価格指数、FOMC前に発表される


・植田日銀総裁講演、ほかの委員の「タカ派化」進む中での発言に注目


・豪州GDP、住宅市場堅調で伸び加速の見込み、来年の利上げ観測を後押し


・米感謝祭翌週月曜日「サイバーマンデー」

アドビは売上高は鈍化と予想


FRBブラックアウト期間(金融政策に関する発言自粛)(12月11日まで)



前週:ロシア・ウクライナ和平協議

【和平協議】

ウクライナ 和平案を巡る動き

ロシアとの和平案を巡る米国とウクライナの協議が11月30日、米南部フロリダ州マイアミで始まった。12月の対ロ交渉を前に方針を擦り合わせる。


ゼレンスキー大統領は29日、ウメロフ国家安全保障・国防会議書記ら代表団を米国に派遣した。ルビオ国務長官、ウィットコフ中東担当特使らと協議する。両政府高官は23日、スイス・ジュネーブでウクライナとロシアの戦闘終結に向け、米国主導で作成した28項目の和平案の修正で合意した。23日に続く協議にはトランプ米大統領の娘婿クシュナー氏も加わり、首脳間で結論を出すことで合意した領土割譲の扱いなどを議題にする見通し。


ゼレンスキー氏は29日、X(旧ツイッター)に、ジュネーブ合意に基づく対話は継続されるとしたうえで「米国側は建設的な姿勢を示しており、今後数日間で威厳のある形で紛争を終わらせる方法を決める段階に進むだろう」と投稿した。


ウィットコフ氏は12月上旬にモスクワを訪れ、プーチン大統領と和平案を協議する。クシュナー氏も同行する可能性があり、訪ロ前にウクライナ側と方針を擦り合わせる見込み。

側近解任

ウクライナ国営原子力企業を巡る政府高官の汚職疑惑が広がり、ゼレンスキー大統領最側近のイエルマーク大統領府長官の解任に追い込まれた。国営原子力エネルゴアトムと工事業者との契約をめぐり、政府高官やビジネスマンが業者に資金をキックバックさせた疑いが発覚。その規模は1億ドル(約156億円)にのぼり、政権発足以降で最悪のスキャンダルとなった。大統領府への権限集中を強引に進める過程で、国家汚職対策局(NABU)の捜査を妨害した疑いもかけられる。ゼレンスキー大統領自身も捜査の対象になる可能性が浮上したことで解任に踏み切った格好だが、ロシアとの和平協議の障害になっていたイエルマーク大統領府長官が解任されたことで、和平に向けたゼレンスキー包囲網が狭まり、和平交渉が進み始めた感触。



ドル円:米利下げ観測、日銀利上げ観測

【今週見通し・戦略】

ドル円(日足)200日移動平均線乖離率

12月FOMCまでの利下げ確率

先週のドル円は、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が利下げを示唆した後で利下げ観測が一段と強まり、米債券市場では長期金利の指標である10年債利回りが低下(債券価格は上昇)した。日米金利差縮小や、日本政府・日銀による円買い介入への警戒も意識され、円高ドル安の流れ。


次期FRB議長の選考では低金利志向のトランプ米大統領に近い、「ハト派」寄りの米国家経済会議(NEC)のハセット委員長が有力と伝わっていることもドル売りの一因。


FRBのミラン理事も25日、FOXビジネスに出演し、経済情勢を考慮すれば「できる限り早期に(景気を過熱も抑制もしない)中立水準とするため、より大幅な利下げが求められる」と言明。12月の会合で0.5%の大幅利下げを改めて主張する可能性に含みを持たせた。

12月米利下げ観測

米利下げを決めるとの観測が高まっており、「フェドウオッチ」によると、12月に政策金利を0.25%引き下げる確率は28日夕時点でおよそ87%と、前日(83%)から上昇。日米金利差の縮小観測が円買い・ドル売りを誘った。


日本政府は28日、2025年度補正予算案を閣議決定した。一般会計の総額は18兆3034億円に上る。日本の財政悪化への警戒感がくすぶる。日銀の植田和男総裁は12月1日に記者会見を控える。12月の金融政策決定会合での利上げ観測が高まる中、注目が集まる。


欧欧州中央銀行(ECB)議事録10/3分によると、「見通しは依然として不透明ながら、こうした不確実性は政策金利据え置きを正当化する可能性がある」「利下げサイクルは終了したとの見解が示された」。



金:ステーブルコインの発行企業が、新たな大口の買い手

【今週見通し・戦略】

NY金(2月限)

NY金(2月限)は、複数のFRB高官から、12月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げを支持する発言が相次いでおり、買われる流れが続いている。「ハト派」寄りのハセット国家経済会議(NEC)委員長が次期FRB議長の最有力候補と伝わった。次期議長のもう一人の有力候補のウォラーFRB理事も24日、FOXビジネスのインタビューで、労働市場の鈍化を懸念しているとした上で、12月会合での利下げ支持を改めて表明。

価格予想上方修正

ドイツ銀行は2026年の金価格見通しを中央銀行の金需要などを理由に従来予想(4000ドル)から4450ドルに上方修正した。


ゴールドマン・サックスは17日付リポートで、中国が9月に準備資産として15トンの金を買い入れた可能性があると分析したと報道。ゴールドマンは2026年末までに金価格が4900ドルに達すると予想している。


心理的節目4000ドル~価格帯別出来高の厚いネックライン(10/31高値:4090.8ドル)水準が下値支持帯として認識が高まってきた。


11月13日高値(4285.6ドル)を上抜くと、三角保合い上放れとなる。その場合の一目均衡表からの上値目標は、N=4385.2ドル、V=4538.4ドル、E=4638ドルなどがカウント可能。

ステーブルコイン

ロシアへの経済制裁以降、ドル資産離れに伴う中央銀行の金買いが、金価格の史上最高値更新の一因となったが、法定通貨などに価値が連動するステーブルコインの発行企業が、新たな大口の買い手として浮上している。米投資銀行ジェフリーズは20日付リポートでステーブルコイン発行最大手テザーが7~9月期に24トン購入したと試算した。同時期、中銀で最大の買い入れ額だったカザフスタン中銀(18トン)を上回った。トランプ政権下になってから、暗号通貨への規制も次々と解除されており、各国の中央銀行と同じく、値段に関係なく一定割合を保有する長期の買いが増加することは、金ETFが登場してきた時と同じようなインパクトを金市場に与えそうだ。



【海外投資家動向(225)】

海外投資家動向と日経平均株価(週次)



【CME FED WATCH】

Fedウォッチが示すFOMCでの政策金利見通し



金ETF

金ETF買い残高(SPDR GOLD SHARES)

この記事の監修者

菊川弘之

東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社

日産証券インベストメント株式会社

取締役 菊川 弘之

NY大学留学。その間GelberGroup社、FutureTruth社などでトレーニーを経験。
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。

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