金:季節的な調整局面に注意|月間騰落率・NY金(200日移動平均線)・NY金(シーズナル)|【Monthly Report】月間展望(2月)
2025年2月3日
~2月1日~2月28日 ~
このページで知れること(目次)
ドル円:200日移動平均線の攻防戦 CFTC建玉明細・ドル円(日足)・トランプ1.0&2.0
金:季節的な調整局面に注意 月間騰落率・NY金(200日移動平均線)・NY金(シーズナル)
2月注目スケジュール:米雇用統計・10-12月期の実質GDP・主要企業決算
ドル円:200日移動平均線の攻防戦
CFTC建玉明細・ドル円(日足)・トランプ1.0&2.0
【今月見通し・戦略】
1月の日銀金融政策決定会合では、追加利上げが決定した。政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を、0.25%から0.5%に引き上げた。植田総裁の記者会見で、「米新政権の出だしの動きは、おおむね予想の範囲内。米新政権発足で市場混乱なし、ここで動かない理由はないと判断」「今春闘、しっかりした賃上げ実現が見込まれると判断」「緩和度合い調整ペースやタイミングは経済・物価次第。予断は持っていない」「今回の利上げの影響がどう出るのかを見極めつつ、今後の利上げの在り方を決めていきたい」などと述べた。
一方、米連邦準備制度理事会(FRB)は、1月28日、29日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を4.25%~4.50%で据え置くことを決定した。FRB議長への質疑応答では、トランプ大統領の政策が金融政策に与える影響について問われると、「関税、移民、財政政策、規制政策」の「4つの分野における重要な政策転換により、不確実性が高まっている」とし、「どのような政策が実施されるのか見極める段階にある」との考えを示した。また、3月に利下げを行う可能性についての質問には、「FOMCの大方の意見として、政策スタンスを急いで調整する必要はない」と述べた。
日米金利差縮小観測から、160円を試すような円安ドル高は一服したものの、155円を挟んでの保合いで、次なる展開を待つ流れへ。FRBは、雇用と物価の動向をにらみながら、トランプ政策が実体経済へどのような影響を与えるか見極めることになる。雇用および物価関連指標や、トランプ大統領の言動・SNSに、大きく左右されることになりそうだ。トランプ1.0の際は、選挙結果が出て以降、円安ドル高で反応したが、年末以降、徐々に戻り売り基調となり、就任一年目は円高ドル安傾向となった。まずは、200日移動平均線の攻防戦。
~CFTC建玉明細・ドル円(日足)・トランプ1.0、2.0比較~
【CFTC建玉明細】
【ドル円(日足)200日移動平均線】
【トランプ1.0&2.0】
金:季節的な調整局面に注意
月間騰落率・NY金(200日移動平均線)・NY金(シーズナル)
【今月見通し・戦略】
12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で公表した経済見通しは2025年の利下げ回数が2回となり、9月の前回見通しの半分になったことを受け、米長期金利が5月下旬以来の高水準を付け、NY金は調整安となったが、心理的節目2600ドルを維持。2025年に入ってからは、堅調に推移して、史上最高値を更新した。
また、トランプ大統領就任式で一部で懸念されていた貿易に関する緊急事態宣言を発することはなく、初日に中国へのトランプ関税を発動しなかったことや、世界経済フォーラムの年次総会で、OPECに原油価格の引き下げを要請する方針を示したことで、石油輸出国機構(OPEC)に原油価格の引き下げを要請する方針を示した。OPECが原油価格を引き下げればインフレが低下し、金利引き下げが可能になるとし、「原油価格が下がれば、私はすぐに金利引き下げを要求する」とも主張。
1月の日銀金融政策決定会合で追加利上げを決めた。政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を、0.25%から0.5%に引き上げた。
これに対して、1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では金利が据え置かれ、日米金利差縮小思惑から円高ドル安が進行したものの、円建て金は、海外市場高をより強く反映して、13000円~13500円を下値支持として、OSE金は上場来最高値を更新。国内店頭小売価格も、史上最高値を更新した。
2月の月間騰落率は、NY金は1月の買い方有利から一転して売り方優勢の時間帯。史上最高値更新後の調整局面に注意したいが、調整局面で出る安値が。中長期的な買い場となりそう。
~月間騰落率・NY金(200日移動平均線)・NY金(シーズナル)~
【月間騰落率(OSE金)】
【NY金(200日移動平均線)】
【NY金(シーズナル)】
2月注目スケジュール:
米雇用統計・10-12月期の実質GDP・主要企業決算
・10-12月期の実質GDP
個人消費や設備投資など内需の底堅さを背景に、7-9月期(前期比年率+1.2%)に続き3四半期連続でプラス成長となる可能性が高い。
日銀は1月、2024年7月以来の利上げを実施するとともに、経済・物価動向を注視しつつ利上げを継続する意向を示した。
今後の利上げの可能性を占う上で、経済の回復度合いが注目。
・1月雇用統計
1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、利下げ見送り。トランプ政権が掲げる政策がインフレ押し上げ要因となる可能性が懸念される中、先行きの金融政策を見通す上で注目。
・インド準備銀行(RBI)が金融政策決定会合を開催。
12月、市場の想定外に総裁が交代したことなどを背景に、RBIが利下げを前倒しで実施する可能性が高まった。2月会合では、マルホトラ新総裁の記者会見などが焦点。
この記事の監修者

東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社
取締役 菊川 弘之
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。