金:中国人民銀行の買い再開|【Weekly Report】週間予定 | 【公式】日産証券の金投資コラム

金:中国人民銀行の買い再開|【Weekly Report】週間予定

NSトレーディング 菊川弘之
2025年1月13日

週間展望(1/13~1/19)

週間予定:米消費者物価指数(CPI)、米小売売上高・中国GDP

【週間スケジュール(1月13日~1月18日)】

・氷見野日銀副総裁の発言


・12月の米消費者物価指数(CPI)、12月の米小売売上高

 FRBは政策の焦点を雇用から再びインフレに移す。

 12月CPIの事前予想は、前年比+2.9%と前回から伸びが加速する見込み。

 コア前年比は+3.3%と前回並みの伸びが見込まれている。11月から12月にかけて米国のガソリン価格は1ガロン当たり3.175ドルから3.139ドルへ小幅低下(全米全種平均・米エネルギー情報局調査)したが、比較対象元の2023年の数字が11月から12月にかけて3.443ドルから3.257ドルへ5.4%の下げを記録した分、全体では押し上げに作用すると見られる。


・FRB高官の発言多数あり

 18日からブラックアウト期間入り


・英消費者物価指数 

 インフレ高止まりか、サービス業インフレ率は5.0%と依然として高水準


・中国GDP

 政府目標5%前後を達成した可能性、小売売上高は伸び加速の見込み 



前週:米雇用統計

【雇用統計】

米国雇用統計

米労働省が10日発表した2024年12月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は25万6000人増加し、市場予想の16万人増を上回った。


失業率は4.1%と、前月の4.2%から低下し、米利下げ観測が後退。


12月の雇用増加は医療などの非景気循環型業種に集中した。在宅医療サービス、介護・居住型介護施設、病院などで4万6000人の雇用が増加した。


小売業は4万3000人増加した。11月は2万9000人減少していた。政府部門は3万3000人増、レジャー・接客業は4万3000人増加した。


一方、製造業は1万3000人減。大半が半導体や電子部品関連だった。


また、10、11月分の雇用者数は計8000人下方改定された。


時間当たり平均賃金は前月比0.3%、前年比3.9%それぞれ上昇。11月は前月比0.4%、前年比4.0%上昇していた。


平均週間労働時間は34.3時間で変わらず。


政府は、失業率の算出元となる季節調整済みの家計調査データを過去5年間分見直した。失業率への影響は軽微だった。12月に職を失った人の数は16万4000人減の170万人となった。



ドル円:160円を試す流れ

【今週見通し・戦略】

ドル円(日足)200日移動平均線乖離率

日銀金融政策決定会合で、追加利上げ観測が後退したことで、現行水準(155円水準)の容認と捉える向きもあり、円安が加速した流れが続いている。米政権移行期でもあり、テクニカル的な過熱感にも乏しく、本邦が実弾介入し難い地合い。

トランプリスク

1月6日に米ワシントンポストが、「トランプ氏は重要な輸入品のみを対象とする一律の関税を模索中」と報じたことでドル売りで反応する場面もあったが、一時156.20円近辺まで急落したものの、その後、トランプ次期大統領がSNSでこの投稿を否定すると、ドル円は上昇に転じた。


前週末には12月の米雇用統計を受けて米利下げ観測が一段と後退し、米長期金利は上昇。ドル円は、一時は158.88円と24年7月以来の円安・ドル高水準を付けた。雇用統計では非農業部門の雇用者数が前月比25万6000人増と、市場予想(15万5000人増)を大幅に上回った。失業率は横ばいとの予想に反して4.2%から4.1%に低下した。インフレ懸念が残るなか、雇用統計が労働市場の減速を示さず、米利下げ見送りとの観測が強まった。


日本経済の柱である自動車関連業界なども円安で見かけの売り上げが伸びても、原材料高で利益は減少している実態に焦点が集まり始めている。

投機玉ポジションは軽い

CFTC建玉明細での大口投機玉は、円買いポジション(ほぼ売り買いフラット状態)となっており、投機的な円売り余力のある状況だ。新NISAの外国株買いに伴うドル買いや、いわゆる「デジタル赤字」が円売り要因で、日本の稼ぐ力が落ち込んでいる。過去の歴史が物語るように、財務上の問題を抱える国の通貨は、いずれ加速度的に売られる。1月の日銀金融政策決定会合の決定のヒントを得ようと、景気ウオッチャー調査(街角景気)や、氷見野日銀副総裁の講演に注目。


一方、トランプ次期大統領就任前後の発言や就任後に打ち出す政策次第では、通貨や株価に大きな変動を与える可能性が警戒されている。



金:中国人民銀行の買い再開

【今週見通し・戦略】

NY金(2月限)

JPX金(日足)MAC(Moving Average Channel)

12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で公表された経済見通しが2025年の利下げ回数が2回となり、9月の前回見通しの半分になったことで、米長期金利上昇・ドル高を受け、NY金は調整したが、2024年11月14日の安値は維持され、2024年2月安値を起点とした上昇チャネルも継続。


トランプ政権への先行き不安、ロシアーウクライナ、イスラエルーハマスなどの地政学的リスク、日米欧の債務問題、G7以外の中央銀行の買いなど、金を買う材料は今年も多い。ラスベガスのトランプホテルで1日にテスラのサイバートラックが爆発。現役陸軍兵士による単独の犯行とされた。またニューオーリンズの繁華街で車が群衆に突っ込み、多数が死傷した。車両の中にイスラム武装勢力「イスラム国(IS)」の旗が見つかっている。


トランプ次期米大統領は、新たに導入を予定している関税に法的根拠を与えるため、国家経済緊急事態の宣言を検討している。米下院ではジョンソン議長が再選し、次期米大統領の一連の法案を4月中に採決する方針だと述べた。

人民銀行の買い再開

中国人民銀行の金購入継続も買い要因。高値を嫌気して、昨年4月から金購入を停止していた中国人民銀行だが、11月に5トンの買いで再開、12月も10トンの購入。中国の昨年のゴールドの買いは合計44トン、ゴールド準備高は2280トンとなった。

円建て金の優位性

円安ドル高が進んでいる事で、円建て金は、2024年10月高値を起点とした下降トレンドを上抜いてきた。12月6日安値水準が強い下値支持に変化。仮に、悪い円安が加速していった場合、円建て金を保有するメリットは大きい。

NY金も10月高値を起点とした下降トレンド上抜いてくると、価格帯別出来高の厚い2650ドル~2700ドルが下値支持に変化する。押し目買い継続。



【米ミシガン大学景況感指数】

米国ミシガン大学景気現況指数、景気期待指数 速報値



【CME FED WATCH】

Fedウォッチが示すFOMCでの政策金利見通し



金ETF

金ETF買い残高(SPDR GOLD SHARES)

この記事の監修者

菊川弘之

東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社

日産証券インベストメント株式会社

取締役 菊川 弘之

NY大学留学。その間GelberGroup社、FutureTruth社などでトレーニーを経験。
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。

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    12月FOMCでは、市場予想通り0.25%の利下げを決定した。来年の政策金利見通しで、2025年の利下げ回数見通しが前回(9月)の4回から2回に引き下げられ、利下げペースの鈍化見通しを背景に、米長期金利が上昇。ドル買いの動きが加速した。

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