FOMC・日銀金融政策決定会合が注目|【Weekly Report】週間予定
2024年12月16日
週間展望(12/16~12/22)
このページで知れること(目次)
週間予定:FOMC・日銀金融政策決定会合
前週:韓国、尹錫悦大統領の弾劾議案可決
ドル円:2025年に向けての日米金利差動向に注目
金:FOMC・日銀金融政策決定会合が注目
【米雇用統計】
【CME FED WATCH】
金ETF
週間予定:FOMC・日銀金融政策決定会合
・FOMC
3会合連続利下げ見通し。FOMC参加者の政策金利見通し(ドットチャート)が注目
・日銀金融政策決定会合
12月は利上げ見送りとの見方が急浮上、1月会合に向けたヒント示されるか
・日本11月の消費者物価指数
伸び加速の見込み、前年比で3%大台乗せる可能性
・中国11月の住宅販売価格・小売売上高
9月末の支援策の効果薄れ活動ペース鈍化か
・英消費者物価指数
前年比で伸び加速の見通し、翌日には英中銀政策金利
・FRBブラックアウト期間入り(金融政策に関する発言自粛)(~19日)
前週:韓国、尹錫悦大統領の弾劾議案可決
【弾劾訴追案】
韓国国会は14日、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領による非常戒厳宣言は憲法違反だとして野党が提出した2度目の弾劾訴追案を可決した。尹氏は職務停止となり、韓悳洙(ハン・ドクス)首相が軍の統帥権を含む権限を代行する。 憲法裁判所が180日以内に罷免の是非を判断する。この行方が、当面の焦点。
1987年の民主化以降、初めて出された非常戒厳宣言により、約2年半の任期を残して尹氏は職務執行停止に追い込まれた。韓国大統領の弾劾訴追は2004年の盧武鉉大統領、2016年の朴槿恵大統領に続く3例目。盧武鉉大統領が、大統領選挙をめぐる側近らによる不正資金事件の責任などを理由に、弾劾の議案を可決され、職務を停止された際は、憲法裁判所は、「罷免する重大な職務上の違反には当たらない」として棄却し、職務停止からおよそ2ケ月で大統領職に復帰。
朴槿恵大統領が、知人による大統領府高官の人事への介入などを理由に、弾劾の議案を可決され、職務を停止された際は、2017年、憲法裁判所は弾劾を妥当とする決定を言い渡し、朴槿恵大統領は韓国の大統領として初めて、罷免された。
最大野党「共に民主党」の李在明代表は11月、公職選挙法違反事件の一審判決公判で懲役1年、執行猶予2年を言い渡されており、この刑が確定した場合、次期大統領選挙には出馬できない。
今回の騒動で韓国の内政が、北朝鮮以上に予測不能であることが露呈した。韓国国内の分断・混迷は続き、日本にとっても波乱要因に。
ドル円:2025年に向けての日米金利差動向に注目
【今週見通し・戦略】
既存レポートで≪日米欧の金融政策決定会合を睨みながら90日移動平均線~200日移動平均線のレンジ放れ待ち≫としたが、先週のドル円は、9日に中国共産党の中央政治局会議で、来年はより積極的な財政政策を実施、適度の緩和的な金融政策を実施などと表明したことが好感されて、一時152円台前半まで上昇した。
報道で、「一部政策委員は12月会合で利上げ提案あれば反対しない見通し」「追加利上げは時間の問題になりつつあると日銀は考えている」と報じられたことで一気に円高に振れたものの、90日移動平均線が下値支持として機能した。
11日の11月の米消費者物価指数は、事前市場予想の通りとなったものの12日の11月の米生産者物価指数は市場予想を上回り、米長期金利上昇に加えて、12月の日銀金融政策決定会合で利上げが見送られるとの観測から153円台後半まで上昇
米連邦公開市場委員会(FOMC)
17~18日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)では、0.25%の利下げが既定路線となっており、声明やパウエルFRB議長の記者会見が注目される。また、今回はFOMCメンバーによる政策金利や物価、経済成長率見通しが発表される。9月のFOMCでは2025年末の政策金利見通しは3.4%となっており、これがどう変動するかが注目される。
一連の物価指標でインフレの高止まりリスクが意識され、 政策金利の引き下げ回数が市場予想より減少するとの思惑から米長期金利が上昇している。「フェドウォッチ」では、25年末までに5回以上(12月の利下げを除くと4回以上)利下げとなる確率が1週間前の25%から9%に減少。
日銀金融政策決定会合
日米の金融政策の違いが思惑を交えて、材料視される流れ。人口減少・高齢化・債務増加が進む中での悪い円安が進行するのを日銀総裁が止める意思を見せるのか否かが焦点。
金:FOMC・日銀金融政策決定会合が注目
【今週見通し・戦略】
金相場は調整入り後の反発局面となったが、日米の金融政策決定会合を前に、上値を抑えられた。
17日、18日に米連邦公開市場委員会(FOMC)、18日、19日に日本銀行金融政策決定会合が行われ、その内容で、今週は各市場とも大きく変動しそう。
ドットプロットが注目
米雇用統計・米消費者物価指数(CPI) などを無事に通過したことで、FOMCでの0.25%の利下げを織り込む流れとなっている。注目は2025年以降の金利見通し。物価高への警戒感もあり、利下げペースの鈍化見通しが増加中。1月FOMC(28日、29日)では、据え置き見通しが80%を超えている。FOMC声明や会見でどのような姿勢が示されるかが注目。
さらに今回は3ヶ月に一度のFOMCメンバーによる経済見通し(SEP)の発表される。年末時点での政策金利見通し(ドットプロット)が注目。
前回9月のドットプロットは2025年末時点で3.25-3.50%の水準が中央値。また19名のメンバーのうち8名とかなりのメンバーがそれ以下の水準を見込んでいた。この見通しが、どのように修正されるかが注目。
2025年は強気予想
米JPモルガンは「関税の引き上げやインフレの強まりは通貨安ヘッジとしての金買いを継続させるだろう」とし、2025年10〜12月に現物価格は2950ドルになると予想。米ゴールドマン・サックスは米政策不安などを背景にNY先物が年末に3000ドルを付けると予想する。
制裁リスクを回避するために新興国の中央銀行などが外貨準備のドルを金に移す動きは継続。UBSの推定によると、24年の中銀の金購入量は約900トンと、過去10年平均(年325トン)を大きく上回っている。
新興国などの金購入は続くと見られ、日米金融政策絡みで押し目を付けた場合、中長期的な買い場を提供することになりそうだ。
【主要国公定金利】
【CME FED WATCH】
金ETF
この記事の監修者
東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社
取締役 菊川 弘之
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。