金:米大統領選挙待ちの展開|CFTC建玉明細・ドル円(週足)(日足)|【Monthly Report】月間展望(11月) | 【公式】日産証券の金投資コラム

金:米大統領選挙待ちの展開|CFTC建玉明細・ドル円(週足)(日足)|【Monthly Report】月間展望(11月)

NSトレーディング 菊川弘之
2024年11月1日

~11月1日~11月30日 ~

ドル円:米大統領選挙待ちの展開
CFTC建玉明細・大統領選挙年の月間騰落・ドル円(日足))

11月騰落率(ドル円)

【今月見通し・戦略】

10月のドル円は、石破氏が衆院選に向けて、これまでの姿勢を封印(豹変)したことに加え、強気の米経済指標が相次ぎ米長期金利が上昇し、日米金利差の拡大観測から円売り・ドル買いが優勢になった。


注目の衆院選挙は与党(自民、公明両党)が合わせて215議席にとどまり、定数465の過半数(233以上)に届かなかった。自公の過半数割れは旧民主党政権が誕生した2009年以来、15年ぶり。基盤の弱い政権となるため、財政政策については、膨張圧力が強まることになると見られる。主要野党の中でも、最も積極財政を訴えている国民民主党が一定の協力をすることになると、補正予算の規模が一段と膨らむ可能性は高まることも意識された。


また、米リベラルメディアにおいても米大統領選激戦7州ではトランプ候補優位との報道が広がり、トランプ氏再選となれば、輸入関税の強化などからインフレ圧力の高まりにつながるとの見方がドル高の一因となった。


一方、加藤勝信財務相は、円安進行について「足元では一方的、急速な動きがみられる。投機的な動向を含め、緊張感をさらに高めて注視したい」と述べるなど本邦当局の牽制もあり、ドル円の上値は抑えられた。


また、日銀「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)や、日銀金融政策決定会合後の植田総裁記者会見で示された通り、追加利上げを目指す日銀の姿勢に変わりはないことや、大統領選挙前のポジション調整がドル円の上値を抑えている。


まずは米大統領が大きな波乱なく終了するか否か、新たな政権がどのような通貨政策を採るのか見極めようとする動きになりそうだ。



~CFTC建玉明細・ドル円(週足)(日足)~


【CFTC建玉明細】

CFTC建玉明細 ドル円


【ドル円(週足)52週移動平均線】

ドル円(週足)52週移動平均線


【ドル円(日足)200移動平均線】

ドル円(日足)200移動平均線



金:米大統領選挙待ちの展開
CFTC建玉明細・ドル円(週足)(日足)

11月騰落率(NY金)

【今月見通し・戦略】

10月の金相場は、内外共に史上最高値を更新した。

国内で小売価格が1グラム1万5000円を超え、NY金価格は、米金利上昇にもかかわらず、2800ドルの大台を突破した。

今回の値位置を大きく変えて上昇している背景は、大きなテーマとして「米国の覇権・基軸通貨ドルの揺らぎ」が根底にある。ドル離れ・米国離れが金価格への資金流入を招いている。


地政学リスクは燻っているものの、イラン・イスラエルの報復合戦は一服の兆しがある中、足元で金が大幅続伸を続けているのは、米大統領選挙後の波乱に備えての動きであろう。

ただし、テクニカル的には、52週移動平均線との乖離率などを見る限り、いつ修正安となってもおかしくない状況で、短期的な過熱感は否めない。雇用統計~大統領選挙にかけて、様々な思惑も交錯して、変動率は上がりそうだ。

今後の金相場のシナリオだが、米大統領選挙の結果如何で、いくつかのパターンが想定される。


①米大統領選挙で、すんなり勝敗決定。

 ⇒金相場は、リスクプレミアムが剥げ落ちる格好で調整安。金安・株高。


②米大統領選挙で、すぐに決着付かず。

 ⇒再集計や下院投票へもつれ込み、金相場は高値圏で推移。株安・金高。


③トランプ敗北で、内乱。

 ⇒株価下落に追随して、金相場も株価の損失補填的に売られるが、短期間に押し目を買われて急騰。株安・金高。


調整安が一巡した後は、いずれが大統領になっても米債務が増える方向に変化はなく、大きなテーマ「米覇権の揺らぎ・ドル基軸通貨体制の軋み」を背景に調整安は限定的。押し目は買い直されそうだ。



~月間騰落率・NY金(52週移動平均乖離率)・米利下げとNY金~


【月間騰落率(OSE金)】

10月騰落率(金標準)


【NY金(52週移動平均線)】

NY金(週足)52週移動平均線


【米利下げと金価格】

米国利上げ打ち止めと金価格



11月注目スケジュール:
米大統領選挙・雇用統計・特別国会

11月注目スケジュール


・5日に大統領選挙、議会選挙が行われる。歴史的な接戦が予想されており、すんなり新大統領が決まらないリスクには注意したい。また、実際の政策運営にあたっては、「ねじれ議会」が生じるか否かも注目。


・6~7日には米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催。一部で、利下げ見送りも報じられる中、利下げ幅に加え、パウエル議長の記者会見が注目。


・日本では、15日に7-9月期の実質GDPが公表。所得の伸びを受けた個人消費の堅調さなどを背景として、4-6月期(前期比年率+2.9%)に続き、プラス成長が見込まれる。日銀による利上げのタイミングを見通す上でも注目される。

・日本国憲法は、総選挙から30日以内に国会を召集し、首班指名を行うと定めている。今回は11月26日までが期限で、特別国会の召集は11月11日を軸に調整が進んでいる。この特別国会で現在の石破内閣は総辞職し、新たに選ばれた議員で構成する衆院と参院が次の首相を指名する。石破首相が再任されれば第2次石破内閣の発足となるが、指名されず交代になれば戦後最短になる。 


・中国では、4日から中国全人代常務委員会(8日まで)が開催される。景気刺激策の具体的内容や規模が表明されるのか否かに注目。

この記事の監修者

菊川弘之

東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社

日産証券インベストメント株式会社

取締役 菊川 弘之

NY大学留学。その間GelberGroup社、FutureTruth社などでトレーニーを経験。
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。

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