金:米利下げ開始は、金本格上昇の始まり|【Weekly Report】週間予定 | 【公式】日産証券の金投資コラム

金:米利下げ開始は、金本格上昇の始まり|【Weekly Report】週間予定

NSトレーディング 菊川弘之
2024年9月16日

週間展望(9/16~9/22)

週間予定:米連邦公開市場委員会(FOMC)・日銀金融政策決定会合

【週間スケジュール(9月16日~9月22日)】

・米連邦公開市場委員会(FOMC)WSJ記事を受け、FOMCの50bp利下げ観測が再燃


・米小売売上高 マイナスに転じるようであれば50bp利下げ観測さらに高まる


・日銀会合 金融市場混乱や自民党総裁選があることから9月は据え置きとの見方、次の利上げ時期を探る


・カナダ消費者物価指数と小売売上高、カナダ中銀9月会合の議事録 年内さらなる利下げの可能性


・ブラジル中銀政策金利 高インフレと予想大きく上回るGDP受け再利上げ 年内さらなる利上げの可能性も


・FRBブラックアウト期間(金融政策に関する発言自粛)(~18日)



前週:米大統領選挙TV討論会

【大統領選挙討論会】

9月11日時点の支持率

賭けのオッズ(米大統領選挙2024)

2024年米大統領選挙 ハリス対トランプ(支持率)

米大統領選挙に向けた、ハリス副大統領とトランプ前大統領によるテレビ討論会が9月10日行われた。

米CNNテレビが実施した緊急世論調査によると、討論会でハリスが優位だったとの答えは63%だったのに対し、トランプ氏のパフォーマンスが優れていたとの回答は37%にとどまった。


賭けサイト「プレディクト・イット」の賭け金からはじき出したハリス氏の当選確率は11日時点で56%と討論会前日の9日から3ポイント上昇した一方、トランプ氏は47%と同5ポイント低下。


政治サイト「リアル・クリア・ポリティクス」の各種世論調査の集計(10日時点)によると、「1対1」を想定した場合の支持率はハリス氏48.4%、トランプ氏47.3%と拮抗。

ハリス氏が8月上旬にトランプ氏を逆転したが、8月下旬以降は僅差の状況が続いている。今回の討論会でも、双方の支持層の投票行動に影響を与えるものではなく、いわゆる激戦州次第という構図に変化はない。ペンシルバニア州を獲った候補が当選する可能性が高い状況も変わっていない。



ドル円:日米金融政策の差が材料視

【今週見通し・戦略】

ドル円(日足)

先週のドル円は、心理的節目140円は維持したものの、戻りは鈍く、下値試しが継続した。


日銀の中川順子審議委員が追加利上げに前向きな考えを示したとの受け止めから、11日の東京市場で円が対ドルで約8ヶ月ぶりに140円台を付けた。同日発表の8月の米消費者物価指数(CPI)はエネルギーと食品を除くコア指数が前月比0.3%上昇と市場予想(0.2%上昇)を上回った。


週間の新規失業保険申請件数は23万件と、市場予想(22万5000件)を上回った。12日発表の8月の米卸売物価指数(PPI)は前月比0.2%上昇し、市場予想と一致。

0.5%利上げ観測浮上

前週末には米WSJと英FTが12日付の記事で9月の利下げ幅が0.25%となるか0.5%となるかは僅差の判断になりそうだと報じた。ダドリー前NY連銀総裁がシンガポールで開催された会合で0.5%利下げする「強い根拠がある」と語ったことも伝わった。CMEフェドウオッチによると、金融市場が織り込む17─18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.50%ポイントの利下げ確率が上昇している。


10日開催の米大統領選の候補者討論会は民主党候補のハリス副大統領が共和党候補のトランプ前大統領に対して善戦したとの評価が目立ったが、大統領選を取り巻く不透明感は強く、為替相場への影響は限定的だった。

140円の攻防戦

引き続き、心理的節目140円の攻防戦へ。140-150円レンジが継続するのか、レンジが切り下がるのかが焦点。


過去の米大統領選挙年の9月~10月のドル円は、次期政権の通貨政策を見極めようと様子見ムードが強まる傾向がある。月間騰落傾向は円高ドル安が優勢の時間帯。



金:米利下げ開始は、金本格上昇の始まり

【今週見通し・戦略】

NY金(12月限)

注目の米大統領選挙TV討論会では、米CNNテレビが実施した緊急世論調査によると、討論会でハリスが優位だったとの答えは63%だったのに対し、トランプ氏のパフォーマンスが優れていたとの回答は37%にとどまった。


政治サイト「リアル・クリア・ポリティクス」の各種世論調査の集計(10日時点)によると、「1対1」を想定した場合の支持率はハリス氏48.4%、トランプ氏47.3%と拮抗。今回の討論会でも、双方の支持層の投票行動に影響を与えるものではなく、いわゆる激戦州次第という構図に変化は出なかった。

レンジ上放れ

NY金(12月限)は、欧州中央銀行(ECB)理事会で追加利下げを決定したことや、ドル安を受けて昨晩、急伸。史上最高値を更新した。


週間の新規失業保険申請件数は23万件と、市場予想(22万5000件)を上回った。12日朝発表の8月の米卸売物価指数(PPI)は前月比0.2%上昇し、市場予想と一致。前日発表の8月の米消費者物価指数(CPI)と合わせて、FRBの利下げ開始観測を変えるものではなかった。


NY金(12月限)の価格帯別出来高の厚い2500ドル~2570ドル水準が下値支持帯に変化してきた。一目均衡表から計算される上値目標のV=2638.1ドル、N=2674.9ドル、E=2742.6ドルなどを試す流れ。レンジの倍返しからは、2600ドル~2650ドルが上値目標だ。

ユーロ高ドル安

欧州中央銀行(ECB)は12日に2会合ぶりとなる利下げを決めたが、次回会合までに利下げを正当化するデータが整う可能性は低いとの見方は強く、ECBの連続利下げ観測が後退している。一方、米連邦公開市場委員会(FOMC)では大幅利下げの観測は後退しているものの、継続的な利下げが見込まれている。ユーロ高ドル安は、NY金にとっての強気要因となるだろう。



【米CPI・PPI】

米国消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)前年比



【米Fedwatch】

FOMC(24/9/18)での金利決定予想



金ETF

金ETF買い残高(SPDR GOLD SHARES)

この記事の監修者

菊川弘之

東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社

日産証券インベストメント株式会社

取締役 菊川 弘之

NY大学留学。その間GelberGroup社、FutureTruth社などでトレーニーを経験。
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。

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