金:米政府機関閉鎖の恐れや、高関税政策懸念|【Weekly Report】週間予定
2025年9月29日
週間展望(9/29~10/5)
このページで知れること(目次)
週間予定:自民党総裁選投開票、米雇用統計
前週:自民党総裁選挙告示
ドル円:米雇用統計や、自民党総裁選挙結果待ちの展開
金:米政府機関閉鎖の恐れや、高関税政策懸念
【海外投資家動向(225)】
【CME FED WATCH】
金ETF
週間予定:自民党総裁選投開票、米雇用統計
・トランプ米大統領とイスラエルのネタニヤフ首相が会談
ネタニヤフ首相は、国連総会の一般討論演説でパレスチナ国家承認は「全くの狂気だ」と訴え
・日銀9月主な意見
ETF売却決定に高田委員と田村委員が据え置き反対で10月利上げ観測高まる
・植田日銀総裁と内田副総裁の講演
利上げに前向きな発言出るか 最もハト派な野口委員も
・日銀短観
日米関税交渉進展で先行き不透明感後退 中川委員「短観きわめて大事な調査」
・米雇用統計
前回は雇用者数が予想大きく下回り失業率は上昇した、労働市場減速が鮮明に
・自民党総裁選投開票
1回目で過半数得た候補者いなければ上位2人決選投票 高市・小泉・林氏のいずれか?
前週:自民党総裁選挙告示
【自民党総裁選挙】
自民党の総裁選挙管理委員会は17日、党主催の候補者の演説会などの日程を発表した。22日の告示日に各候補による所見発表、23日に共同記者会見を実施する。
候補者が政策などを訴える地方演説会は3ヶ所に分け、24日に東京、26日に名古屋、10月2日に大阪で開催する。
候補者同士が議論を交わす討論会は23日と24日に、それぞれ党の青年局・女性局と日本記者クラブが主催する。30日にはインターネットで一般から寄せられたテーマに候補者が答える政策討論会が予定されている。
ステルスマーケティング
小泉進次郎農相の陣営の牧島かれん元デジタル相が、小泉氏の会見動画に好意的なコメントを投稿するよう要請した“ステルスマーケティング”が発覚。10月4日まで、誰が勝利するのか?勝利してもどこと連立を組むのか不透明感が高まっている。
ドル円:米雇用統計や、自民党総裁選挙結果待ちの展開
【今週見通し・戦略】
先週はトランプ米大統領が指名したFRB理事のミラン氏は22日の講演で「過度に引き締め的な金融政策が、FRBが雇用の最大化を達成する上での大きなリスクになっている」と指摘。適切な政策金利は「2%台半ば」だとも述べ、大幅利下げを支持する考えを示唆した。
マクロ経済指標は堅調
継続的な利下げが意識され、円買い・ドル売りにつながった場面もあったが、米マクロ経済指標が米景気の底堅さを示し、米追加利下げ観測が後退。米長期金利上昇で円売り・ドル買いを誘い、200日移動平均線を上抜いてきた。米新規失業保険申請件数が市場予想を下回り、4~6月期の米実質国内総生産(GDP)確定値は改定値から上方修正された。短期金利先物市場ではFRBが年内に0.25%の利下げを2回実施するとの予想確率が低下した。複数のFRB高官から連続利下げに消極的な発言が聞かれることも市場の利下げ観測を後退させた一因。ただし、前週末には、8月の米個人消費支出(PCE)物価指数が市場予想と一致し、FRBが利下げを続けやすくなるとの観測が円買い・ドル売りを誘った。エネルギー・食品を除くコア指数も市場予想と同じで、インフレ圧力が想定の範囲内だったことが安心感につながった。
自民党総裁選挙
先週は小泉陣営のインターネット配信動画へのコメント投稿を巡り、陣営内で参考文例を示して要請した県の影響も、高市氏優勢に転じるのではないかとの思惑的な円売り要因となった。今週は日銀短観の改善が予想されている中、日銀の植田総裁、内田副総裁の発言機会も予定されている。追加利上げに前向きな発言が出るか否かに注目。そこで大きな動きがなければ、米雇用統計や、自民党総裁選挙結果待ちの展開へ。
金:米政府機関閉鎖の恐れや、高関税政策懸念
【今週見通し・戦略】
NY金相場は、米経済の堅調さを示唆する米GDPや、新規失業保険申請者数などを受けて、米利下げ期待の後退から調整を見せる場面があったものの、下値は限定的。8月の米PCE物価指数が市場予想に一致し、FRBが追加利下げに動きやすくなると受け止められた。
トランプ米大統領は25日、輸入医薬品に対し、10月1日から100%の関税を課すと表明した。このほか、キッチン用の棚や関連製品に50%、布張りの家具に30%、大型トラックに25%の関税をそれぞれ課す方針とした。高関税政策を巡る不確実性をにらみ、安全資産としての需要も継続した。
米政府機関閉鎖
更に、「米ホワイトハウスは24日、連邦政府機関に対し、政府機関が来週閉鎖されるリスクに備え、大量解雇の計画をまとめるよう指示した。ホワイトハウスの行政管理予算局(OMB)は同日、議会がつなぎ予算案を可決しない場合、10月1日に裁量的予算が失効するプログラム、プロジェクト、活動を特定するよう求める文書を各政府機関に送付した。今回のホワイトハウスの動きに、政府機関閉鎖を利用してトランプ大統領の進める連邦政府職員の削減を進める狙いがあるのか、瀬戸際戦略としてつなぎ予算案の可決を民主党に迫る狙いがあるのか、市場の見方も分かれており、現状は不明。トランプ大統領は23日には、つなぎ予算案を巡る民主党議会指導部との会合をキャンセルしている。これにより、政府機関の一部が閉鎖されるリスクが高まっていることが金相場史上最高値更新の一因だ。過去の米政府機関閉鎖時の金相場の値動きを見ると、政府機関閉鎖を織り込みながら上昇し、実際の閉鎖が始まり、それが長く続くと、一段高というパターンだ。
押し目買い
政府機関閉鎖回避や、一時的に閉鎖後、債務上限拡大決定なら、史上最高値圏の金相場にも押し目が入る可能性はあるものの、米覇権・基軸通貨ドルの揺らぎと言う大きなテーマ以外にも、米利下げ期待や地政学リスク、新しい国際秩序の不透明感など、金を取り巻く環境は強気のものが多く、押し目は改めて、買い拾われるだろう。最終的には、議会で「手打ち」が行われたとしても、債務上限が未知の領域へ拡大していくことは、結果として金の値位置を、更に押し上げることになる。
【海外投資家動向(225)】
【CME FED WATCH】
金ETF
この記事の監修者

東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社
取締役 菊川 弘之
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。