金の地上在庫について
金が有史以来採掘された総量がどのくらいかご存じであろうか?有史以来、世界中で採掘・精錬された金の総量を「金の地上在庫」と呼びます。
Metals Focusによる調査をもとにWGCが2025年2月に公表したデータによると、2024年末時点の金の地上在庫は21万6265.4トン。WGCの公表データによると2010年以降、平均1.8%ペースで増加しています。
興味深いことに、この金の約 3 分の 2 は 1950 年以降に採掘されたものです。この生産量の大幅な増加は、採掘技術の進歩と新しい金鉱床の発見によるものです。
採掘された金の総量を把握するために、この金すべてを 1 つの立方体に集めると、一辺が約 22 メートルになります。野球のダイヤモンドを思い浮かべてください。
中学生以上、プロ野球で使用するダイヤモンドの塁間の長さは27.431メートルありますが、少年軟式・学童野球のダイヤモンドの塁間の長さは21メートル(低学年)~23メートル(高学年)です。
大体1辺が学童野球のダイヤモンドと同じくらい長さの立方体に収まる体積が、これほど貴重で歴史的にも重要な金属である金の有史以来採掘・精錬された総量です。驚くほど小さい体積です。
また、金は事実上不滅であるため、これまで採掘された金のほぼすべてが何らかの形でまだ存在していることになります。
地上在庫の内訳
Metals Focusによる2024年末の推定によれば、これまで採掘精錬された金地上在庫のうち、最も大きな部分を占めるのは宝飾品であり、約9万7000トンで全体の45%を占めると見られています。
次いで地金及びコインが約4万9000トン(同22%)、中央銀行の金準備が約3万8000トン(同17%)、その他3万3000トン(15%)とされています。
金の埋蔵量
また、埋蔵量は5万4770トン、資源量13万2110トンと推定されています。
埋蔵量とは経済的に採掘できる鉱床の部分です。鉱床が埋蔵量と見なされるためには、地質、採掘、処理、マーケティング、経済、ESGなど、多くの要因が評価される必要があります。
これらすべてが考慮され、鉱石がまだ経済的に採算が取れている場合のみ、埋蔵量と見なされます。
現在、年間鉱山金生産量は3800トン前後ですので、現在の価格水準にとどまり、新たな鉱床の開発がなければ、14年半で掘りつくしてしまうという計算になります。
一方、資源量とは、企業の調査、地質学的知識と信頼度が低い鉱床の部分です。
つまり、掘削データが少なく、単純な経済モデルのみが適用されているか、場合によっては経済モデルがまったく適用されていないものも含みます。
これは、推定、示唆、測定まで幅広いカテゴリが含まれています。