2024年夏金ラージ・バー1本100万ドルを突破!
金のバー、またはインゴットと呼ばれる地金には様々なサイズがあります。国内で流通するバーは100gが中心で、大きいものでキロバーと呼ばれる1Kgが一般に取引されています。
金の取引においては、ロンドン貴金属市場委員会(LBMA)、世界の地金取引の中心地であるロンドンで売買される地金を監督・統括する団体が公認する会社が製造した地金には「Good Delivery Bars(グッド・デリバリー・バー」の称号が与えられます。金地金を購入する際にはこのグッド・デリバリー・バーの製造会社が製造したものを買うことが大切とされています。
もともと金のグッド・デリバリー・バーとはラージ・バーとも呼ばれる400トロイオンス(約12.5Kg)のバーのことで、これは主にLBMAの管理銀行の金庫に収められ、中央銀行などが取引に用いられ、一般流通としてはほとんど目にすることはありません。
今年2024年初めの金価格は1トロイオンス当たり2060ドル付近から始まりましたが、3月に2000ドル超え~3年半ぶりの節目越えとなる2100ドルを突破すると、わずか1か月余りで200ドル上昇し2300ドル台に、さらに1か月には2400ドル台、そして8月16日にはついに2500ドルを突破しました。
グッド・デリバリー・バーであるラージバー(400トロイオンス)に換算すると、史上初めてラージ・バーが100万ドルの大台を突破したことになります。
冒頭で、現在、国内で流通している金のバーは100gが中心と書きましたが、その理由は単純に金価格が上昇しているためです。
以前は地金商店頭でもキロバーが取引の中心でした。
現在では国内に限らず、世界的に金現物を小口化が主流となっており、また小売りにおいても小口商品が流行しているようです。中国では「金豆(ゴールドビーンズ)」という1gの純金の豆粒が若者中心に投資商品として人気となっているそうです。
また、米国では会員制流通大手のコストコが2023年夏から1トロイオンスの金地金を販売開始、今年4月の報道ではその売り上げは月間2億ドル規模に膨らんでいるそうです。
これまでの金を購入する理由には、インフレヘッジ、地政学リスク、ドル離れ、安全資産、過剰流動性による通貨への不安、財政悪化への不安など様々な要因が数多くありますが、今年11月には米大統領選挙があり、次期米政権の不透明感から金融市場全体が荒い動きになることへの警戒感は、やはり金にとってはポジティブな材料として働きそうです。
中東情勢、ロシア-ウクライナの戦争に限らず、世界の紛争件数は過去最大を数え、地政学リスクは依然として続いています。こうしたことを背景に今年は金価格が史上最高値を更新し続けていますが、なかなか天井感が出ない、過熱感の無い上昇が続くというのが現在の金相場の特徴と言えそうです。