好調な非鉄相場を支える中国経済

中国経済

(相場研究家) 市岡 繁男
2021年2月19日

 
昨年10月末から今年2月19日にかけての東証33業種の株価騰落率をみると、値上がり1位は鉱業で+38%、2位は非鉄(+32%)である。こうした業界は典型的な市況産業であり、その株価はニッケルや銅などの国際価格に左右される。この4ヶ月間の株価急騰も非鉄価格の上昇が主因で、同時期に銅もニッケルも約2割も上昇している。かくも非鉄相場が好調なのは、中国景気が好転したことによるもので、為替(人民元対米ドル)と非鉄の相場が連動していることはその表れだ(図1)。

【図1】人民元(逆表示)と非鉄価格「株価÷商品相場」と 「財政収支÷名目GDP」出所:ブルームバーグ(非鉄の元データはLME)

中国の実質GDP(国内総生産)は米国に次ぐ世界2位だが、その構成項目である総固定資本形成(設備投資)は2010年以降、米国を抜いて世界最大のウエイト(28%)を占めている。その過程で非鉄の消費が増大し、中国のシェアはニッケルが53%、銅が50%と軒並み、世界の過半数を超えるに至った。ということは、例えば中国の国内需要が2%増加すると、世界全体の需要は1%増えることになる。このため中国向けが輸出全体の4割弱を占める豪州では、非鉄価格の上昇で豪ドルが昨年10月末以降、10%上昇した。それだけ中国経済の影響が大きいのである。
では中国経済は今後もその好調さを維持できるだろうか。筆者はそうは思わない。そもそも、中国の経済発展は多額の債務を梃子に成し遂げられたものだ。2011年からの9年間に名目GDPは8・3兆㌦増加した。だが、その間に民間債務(企業+家計)は22・7兆㌦も増加し、債務比率(民間債務総額÷名目GDP)は145%から222%に急拡大している。
ここで注目は、その債務比率の推移がバブル崩壊前後の日本と瓜二つということだ(図2)。全人口に占める高齢者人口の割合が増加していくパターンも30年前の日本と酷似している。だから中国は30年前の日本と同じ難局に直面しているのでないか。だが大きく異なるのは、中国経済の失速が世界に与える影響は想像を絶する規模になることだろう。

【図2】中国の民間債務比率、バブル期日本との対比
(民間債務比率=「家計+企業」債務/名目GDP、日本の債務比率は1984年9月-1993年12月)
金と金鉱株、その金融市場におけるウエイト出所:国際決済銀行(BIS)

相場研究家市岡 繁男(いちおか しげお)氏
市岡 繁男(いちおか しげお)氏

1958年、北海道生まれ。
81年一橋大卒、住友信託銀行入社。支店や調査部を経て、87年から資産運用部門で勤務。
1996年に同社を退職後は長銀、あさひ銀行、ロスチャイルド投資顧問、日本興亜損保、富国生命、中前国際経済研究所で内外債券、株式、為替の運用や調査研究業務を務めた。
2018年に独立し、現在は財団等の投資アドバイザーを務める。
週刊エコノミスト、日経ビジネスなどへの執筆多数。

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