金:底打ち確認、戻り高値を試す流れ|【Weekly Report】週間予定
2024年11月25日
週間展望(11/25~12/1)
このページで知れること(目次)
週間予定:米GDP改定、PCE価格指数、感謝祭
前週:長距離ミサイル(ATACMS)使用を許可
ドル円:米財務長官にスコット・ベッセント氏を指名
金:底打ち確認、戻り高値を試す流れ
【米国PMI】
【CME FED WATCH】
金ETF
週間予定:米GDP改定、PCE価格指数、感謝祭
・FOMC議事録 11月会合ではインフレに関して「自信深めている」との文言削除し「進展した」と表現
・東京11月消費者物価 政府の電気ガス料金補助終了と円安進行でインフレ加速へ
・NZ中銀政策金利 2会合連続で50bp利下げ確実か、一部75bp予想 景気減速、失業率4年ぶり高水準、インフレ抑制
・米GDP改定とPCE価格指数、新規失業保険申請件数
・感謝祭
前週:長距離ミサイル(ATACMS)使用を許可
【長距離砲攻撃許可】
アメリカのジョー・バイデン大統領が、米国製の長距離ミサイル「陸軍戦術ミサイルシステム(ATACMS)」をウクライナがロシア領内への攻撃で使うことを許可した。
ウクライナに巨額の支援をしてきたバイデン政権は、ウクライナが米国製の兵器を使って国境から遠く離れたロシア国内地域を攻撃することを、長い間、越えてはならない一線にしてきたが、退任直前の次期政権への移行の空白期間に、この方針を変更した。米当局者は19日夜、ロシアの侵攻を受けるウクライナに対し、「対人地雷」を供与した。
バイデンは米国の数十億ドル相当の余剰兵器をウクライナに移転する権限をまだ持っており、ウクライナへの追加支援に反対姿勢とみられるドナルド・トランプ次期大統領が来年1月20日に就任する前に、この権限による資金を使い切ると思われる。更に、ウクライナは20日、英国製の長距離巡航ミサイル「ストームシャドー」でロシア領を攻撃した。
プーチン大統領は21日に公表したビデオ演説で、同日のウクライナ東部の要衝ドニプロの攻撃に極超音速ミサイル「RS-26ルベジ」を用いたと発表した。米英製の長射程兵器を使ったロシア領内への攻撃に対抗する措置だと説明。核弾頭が搭載可能で射程が3000〜5500キロメートル級とみられ、欧州全域を射程に収める。
一方、米国防総省は21日、ロシアがウクライナに向けて中距離弾道ミサイルを発射したのを確認したと明らかにしたと共に、事前にロシア側から通知を受けたことも認めた。
ドル円:米財務長官にスコット・ベッセント氏を指名
【今週見通し・戦略】
米大統領と上下両院を共和党が支配する「トリプルレッド」が確実となったことで、 米インフレ加速が警戒されて、急速にドル高、米株高、米長期金利高となった動きは一服している。
18日に植田日銀総裁が金融経済懇談会で追加利上げのタイミングについて、「先行きの経済・物価・金融情報次第」と発言しており、12月の利上げに関してヒントを示さなかった。植田総裁は21日にも講演しており、利上げに関しては「金融政策決定会合ごとにデータを判断して見極める」などと述べ、「12月会合前に多くのデータが出る」と語るなど、具体的な示唆は示さなかったものの、12月(もしくは1月)会合での利上げ観測は根強いことが、ドル円の上値を抑えている一因。
ウクライナ軍は西側が供給した兵器で初めてロシア領を攻撃した。インタファクス通信によると、ウクライナは米国が供給した長射程の戦術弾道ミサイルシステム「ATACMS」で、国境を接するロシア西部ブリャンスク州の軍事施設を攻撃した。一方、プーチン大統領は核ドクトリンの改定を承認し、核兵器の使用基準を緩和した。
プーチン大統領は21日に公表したビデオ演説で、ウクライナからロシアに向けて英国製や米国製の長距離ミサイルが発射された報復として、同日のウクライナ東部の要衝ドニプロの攻撃に新型の極超音速ミサイル「RS-26ルベジ」を使用したと発表。核弾頭が搭載可能で、速度はマッハ10で秒速2~3キロで飛行し、西側防衛システムでは迎撃不可能と見られている。
米財務長官指名
トランプ次期米大統領は22日、経済政策を主導する財務長官に投資ファンド経営者のスコット・ベッセント氏を指名した。ドル高について「国際的な米国のリーダーシップと世界の準備通貨としてのドルに対する信任投票だ」と指摘。為替をおもちゃにして、基軸通貨としての信認を失ってはならないとも述べている。
金:底打ち確認、戻り高値を試す流れ
【今週見通し・戦略】
米大統領職と上下両院の多数派を共和が占める「トリプルレッド」となり、トランプトレード加速に伴う金相場の調整は終了。ウクライナ情勢に対する懸念を受けて買い優勢となった。
バイデン米政権は17日、ウクライナが米国製兵器を使用してロシア領内を攻撃することを許可した。
北朝鮮によるロシアのウクライナ戦線への派兵を受け、方針を転換した。
ウクライナは19日に米国製の長距離ミサイル「ATACMS」6発でロシアを攻撃し、20日に英国製の長距離ミサイル「ストームシャドー」と米国製の高機動ロケット砲システム「ハイマース」で攻撃した。
一方、プーチン大統領は21日、新型の中距離極超音速非核弾道ミサイル「オレシュニク」を、ウクライナのドニプロにあるミサイル・防衛企業を標的に試験的に発射し、攻撃は成功したと述べた。ロシアに対する攻撃に使用された兵器の供与国の軍事施設を攻撃する可能性があると表明した。
NY金(12月限)は、200日移動平均線~価格帯別出来高の厚い下値支持である2500ドル水準で下支えられ反発。
JPX金も8月安値~10月高値までの上昇に対する38.2%押し(12667円)で下支えられ反発。10月高値を試す流れだ。
底固めパターン
日柄からは、金相場が安値の節目を付けやすい満月(11月16日)~メリマンの重要変化日(11月15~18日)で底打ち確認された格好。
一目均衡表(基本数値・対等数値)から、変化の起こりやすいのは、12月4日・12日・16日など。戻りを売られても、1番底を維持すれば、その後、ダブルボトムや三角保合いなど底固めパターンとなる可能性。買い方針継続。
【米国PMI】
【CME FED WATCH】
金ETF
この記事の監修者
東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社
取締役 菊川 弘之
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。