金:悪い円安進行で、円建て金の優位性増す|【Weekly Report】週間予定
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2026年3月16日
週間展望(3/16~3/22)
このページで知れること(目次)
週間予定:米FOMC・ECB理事会・日銀金融政策決定会合
前週トッピクス:米イスラエルによるイラン攻撃
ドル円:日本の貿易赤字拡大懸念・有事のドル買い
金:悪い円安進行で、円建て金の優位性増す
【海外投資家動向(225)】
【CME FED WATCH】
金ETF
週間予定:米FOMC・ECB理事会・日銀金融政策決定会合

・日銀金融政策決定会合
原油高・円安によるインフレ加速懸念、植田総裁会見が注目
・豪中銀政策金利
利上げ見通し、原油高騰によるインフレ高進に不快感
・FOMC
米イラン戦争受け、ドットチャートで利下げ回数やインフレ予想が修正される可能性
・ECB理事会
原油高騰受け年内利上げ観測高まる、ラガルド総裁は慎重姿勢維持か
・英中銀政策金利
米イラン戦争受け金利据え置きの可能性、利下げ時期後ずれか
・スイス・スウェーデンも年内利上げ観測、カナダは利上げ必要になる可能性示唆
FRBブラックアウト期間入り(金融政策に関する発言自粛)(~19日)
前週トッピクス:米イスラエルによるイラン攻撃
【トランプ外交】

トランプ外交の典型パターンは、
①挑発・圧力→②市場動揺→③交渉開始→④合意→⑤株上昇。パターンだ。つまり、「最初に不安」→「最後に安心」という構造だ
米国とイスラエルによる2月28日に始まったイランに対する大規模な攻撃も、この図式に当てはめてみれば、①イランと言う敵を作り、②イランが到底、吞めない要求を突きつけ、戦闘開始となっている。
今回のイラン攻撃も、当初は「短期終結」で、③次期政権との交渉で合意、中間選挙に向けて、④株上昇パターンを狙ったと思われるが、親米指導者候補の死亡など徐々に歯車がずれ始めている。
原油マーケットも当初は、2025年の「真夜中の鉄槌作戦」のように、攻撃実施で、「知ったら終い」となったものの、時間経過と共に、イラン側の報復は中東全域に及び、ホルムズ海峡も実質的に封鎖状況に陥っていることで急速に切り返している。
イランの自爆ドローン(Shahed-136:約2万~5万ドル)と、米国・イスラエルの迎撃ミサイル(PAC-3:約300万~400万ドル)とではコスト・在庫数の差が非常に大きい「非対称コスト戦争」 となっており、「アラブの誇りと大義」を懸けた戦いは、簡単に終わらない可能性が高まっている。
2月の雇用統計が弱気な内容となったことで、スタグフレーション懸念も急浮上している。インフレ圧力の高まりから米金利引き下げ観測が後退してきた。今週のFOMCでのドットチャートでも、年内の金利引き下げ回数が縮小するとの観測も浮上している。ノンバンク系の金融不安の影も、リーマンショック前の「サブプライム問題」を連想させている中、FRBの舵取りは困難さを増すことに。
ドル円:日本の貿易赤字拡大懸念・有事のドル買い
【今週見通し・戦略】

ドル円は、基軸通貨としてドルを買う動きが継続。日本は原油輸入依存度が高く、中東情勢の緊迫が原油輸入価格の上昇を通じて、日本の貿易赤字が拡大するとの見方から円売り・ドル買いが優勢となり、前週は159円台後半と、約1年8ヶ月ぶりの水準に続伸した。160円接近場面も介入期待感は高まっていない。米商品先物取引委員会(CFTC)によると、大口投機玉の円の売り越し幅は、小規模にとどまっており、投機的な過熱感には乏しい。また、介入の条件として市場が注目する「過度の変動」も、52週移動平均線乖離率などを見る限り、テクニカル的な過熱感にも乏しい。
雇用統計
3月19日に日米首脳会談が予定されているが、高市首相へ衆院選挙前に支持表明をした借りを先に与えているトランプ大統領から高市首相へ、「安全保障・外交」「経済・貿易」「外交協力」の各分野で、様々な借りを返してもらおうとする動きが強まりそうだ。まずは「イラン攻撃」への支持表明。それができないなら、『自分のタンカーは自分で守れ』『アメリカにただ乗りするな』と、自衛隊派遣を要求される可能性はあるだろう。中東依存度やロシアからの購入を減らすと言う理由で、長期契約で割高な米国の原油・天然ガスの購入指示も想定される。防衛費の増額では、米国が進める「ゴールデンドーム(宇宙ミサイル防衛)」参加だ。「ゴールデン・ドーム」は、米本土をあらゆる経空脅威から防衛することを目的とした統合防空ミサイル防衛(IAMD)システムで、日本の金で米国を守れと言うものだ。イランの自爆ドローン(Shahed-136:約2万~5万ドル)と、米国・イスラエルの迎撃ミサイル(PAC-3:約300万~400万ドル)とではコスト・在庫数の差が非常に大きい「非対称コスト戦争」で、高価な迎撃ミサイルが、そもそも防衛的に有効なのか疑問の付く状況だが、これらを中間選挙前の貢物として日本が飲むようなら、投機筋は「悪い円安」を仕掛けてくる可能性は十分にあるだろう。高市首相がトランプ大統領を怒らせずに、どのような対応ができるかが焦点となる。
18日に米国、19日に日本、英国、スイス、ユーロ圏の金融政策会合の結果が発表される中央銀行ウィーク。米国でのドットチャートに注目。
金:悪い円安進行で、円建て金の優位性増す
【今週見通し・戦略】

今回の米・イスラエルによるイラン攻撃も、当初は「短期終結」で、次期政権との交渉で合意、中間選挙に向けて、株上昇パターンを狙ったと思われるが、親米指導者候補の死亡など徐々に歯車がずれ始めている。原油マーケットも当初は、2025年の「真夜中の鉄槌作戦」のように、攻撃実施で、「知ったら終い」となったものの、時間経過と共に、イラン側の報復は中東全域に及び、ホルムズ海峡も実質的に封鎖状況に陥っていることで急速に切り返し、1983年の取引開始以降で最大の上昇率を記録した。その後、国際エネルギー機関(IEA)加盟国が過去最大の備蓄協調放出を決定したことで、やや落ち着きを見せているものの、先行きの不透明感は払拭されていない。
イランの自爆ドローン(Shahed-136:約2万~5万ドル)と、米国・イスラエルの迎撃ミサイル(PAC-3:約300万~400万ドル)とでは、コスト・在庫数の差が非常に大きい「非対称コスト戦争」 となっており、「アラブの誇りと大義」を懸けた戦いは、簡単に終わらない可能性が高まっている。
スタグフレーション
2月の雇用統計が弱気な内容となったことで、スタグフレーション懸念も急浮上している。インフレ圧力の高まりから米金利引き下げ観測が後退するようなら、短期的には金の上値を抑えるものの、英不動産ローン会社(マーケット・フィナンシャル・ソリューションズ)破綻を始め、ノンバンク系の金融不安の影も、リーマンショック前の「サブプライム問題」を連想させている。リーマンショックのような金融危機に陥った場合は、一時的に株式市場の損失補填的に売られる局面はあっても、押し目は短期的に買い直され、上げ幅は早く大きくなるだろう。エネルギー高を嫌気して円安が進めば、円建て金の上げ足は、ドル建て金と比べて、更に強い動きとなりそうだ。
一方、地政学リスクが落ち着くと、原油安・インフレ鎮静から、米利下げ期待が高まり、金と株のダブルバブルが再開するだろう。プロレスと違い実際の戦争に「レフリーストップ」はない。戦争は始めるのは簡単だが終えるのは難しい。地政学リスクの行方次第で、金は「急速に上昇」するか「ゆっくり上昇」するかの違いだけだ。
【海外投資家動向(225)】

【CME FED WATCH】

金ETF

この記事の監修者
東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社
取締役 菊川 弘之
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。

