インフレになると何が起こるのか | 【公式】日産証券の金投資コラム

インフレになると何が起こるのか

この記事は2021年5月24日に掲載されたものです。ご注意ください。

2021年5月24日

長期にわたりデフレマインドが続いている日本。一方で、大胆な金融緩和によるインフレ懸念もささやかれます。デフレもインフレも我々の生活に影響を与えます。デフレに慣れきっている現代社会において、もしインフレが起こったらどうなるのでしょうか。無防備なままでインフレを迎えると、思いもよらぬ打撃を受けるかもしれません。ある程度の備えはしておきたいものです。

インフレとデフレ

まず簡単にインフレとデフレの意味を確認しておきましょう。インフレとは物価が継続的に上昇する状態をいい、デフレとは持続的に物価下落が継続する状態をいいます。1個100円で買えたリンゴが150円、200円となればインフレ、1個100円で買えたリンゴが50円、30円となればデフレです。

まずはデフレからみてみましょう。デフレは単に物価が下落するということにとどまらず、経済全体に影響を与えます。個人消費は低迷し、企業の売り上げは伸び悩み、新たな設備投資が抑制されるなど、経済全体にマイナスの影響を与えるのです。わが国では、2001年4月の月例経済報告において、「持続的な物価下落という意味において、緩やかなデフレにある」と判断されています。2013年末以降は、消費者物価はおおむねプラス傾向で推移していることから「デフレではない状況」とされますが、消費者物価は緩やかな上昇にとどまっており、人々のマインドはデフレ状態にあるといえるでしょう。

こうした状況を脱却すべく、我が国では様々な政策が行われてきました。例えば、2%の物価上昇率を目標として日銀が行った大規模な金融緩和です。いまだに実現していない目標ではありますが、2021年3月、日銀総裁は「これまで以上に力強く金融緩和を推進できる」と述べ、目標としている2%の物価上昇率の実現に改めて意欲を示しています。

良いインフレと悪いインフレ

株式のリスク

次にインフレです。インフレには良いインフレと悪いインフレの2種類があります。良いインフレとは、景気の拡大をともなうインフレです。物価の上昇で企業が儲かり、社員の給料が増え、モノを買おうとする意欲が生まれます。つまり、良い循環が生まれるということです。一方、悪循環をもたらすのが悪いインフレです。例えば、原材料高騰などにより物価が上昇するインフレでは企業業績は良くならず、社員の給料は増えません。物価の上昇以上に収入が上がらなければ、生活は苦しくなります。賃金が上がらないのに身の回りの商品が値上がりすれば、家計は圧迫されるだけです。

インフレに強い?弱い?

インフレと資産の関係をみてみましょう。インフレではお金の価値は下がります。先のリンゴの例でいえば、インフレ状態では100円出せば買えたリンゴに200円出さなければならないわけですから、お金の価値は下がっています。つまり、インフレに弱い資産の代表がお金だということです。

では、インフレに強い資産には何があるのでしょうか。一般に、株や不動産、金などがインフレに強いとされています。

株式のリスク

現在、世界がコロナ過で覆われています。FRBをはじめとして主要中央銀行は、信用不安緩和のため大量のお金を供給しています。まさにお金が溢れている状態で、いったんバランスが崩れれば通貨価値の下落、つまりインフレを引き起こす可能性は否定できません。

こうした中、金が買われています。デフレマインドから脱出できない状況において、金価格が史上最高値を更新しました。各国のお金のばら撒きがいずれインフレを招き、お金の価値を下落させるという思いが、人々の意識を金へと向かわせているではないでしょうか。

現金はインフレに弱いということを頭に入れながら、他の資産も検討して、長期的な資産形成や資産防衛を考えていきたいものです。

この記事を読んだ方にお勧めの記事

  • 日本における金本位制

  • 日本人ってどれくらい金を買っているの?

  • 金現物200日移動平均が2000ドルを突破

他ジャンルの最新はこちら

  • スペシャル

    10年ぶりの供給不足水準(JM)

    英ジョンソン・マッセイ(JM)報告によると、2024年の世界のプラチナ(白金)の需給は18.6トンの供給不足となる見通し。

  • 定期レポート

    日本GDP 2四半期ぶりのマイナス成長へ 物価高・個人消費低迷、自動車大手の認証不正問題、能登地震が影響

  • 動画

    急騰する白金価格、覇権争いが進む国際情勢の今後について解説します。


当サイトのコンテンツは情報提供を目的としており、当社取り扱い商品に関わる売買を勧誘するものではありません。内容は正確性、 完全性に万全を期してはおりますが、これを保証するものではありません。また、当資料により生じた、いかなる損失・ 損害についても当社は責任を負いません。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。 当資料の一切の権利は日産証券株式会社に帰属しており、無断での複製、転送、転載を禁じます。

取引にあたっては、必ず日産証券ホームページに記載の重要事項リスク説明等をよくご確認ください。
重要な注意事項についてはこちら