金:押し目買い、もしくは保合い上放れでの追随買い|【Weekly Report】週間予定
2025年8月25日
週間展望(8/25~8/31)
このページで知れること(目次)
週間予定米PCE価格指数、ウォーラーFRB理事講演、日本消費者物価指数
前週:ジャクソンホール会合
ドル円:日足・週足共に三尊天井形成中
金:押し目買い、もしくは保合い上放れでの追随買い
【海外投資家動向(225)】
【CME FED WATCH】
金ETF
週間予定米PCE価格指数、ウォーラーFRB理事講演、日本消費者物価指数
・米PCE価格指数
7月CPI上昇の要因は、関税ではなくサービス項目の伸びが影響した
・米個人所得支出
7月は賃金上昇と労働時間の増加が雇用者報酬を押し上げた
・東京消費者物価指数
コメ含む食料品・外食費上昇も電気ガス支援で伸び鈍化か
・豪中銀議事録と消費者物価指数
8月会合はややハト派だった、9月追加利下げあるか
・ウォラーFRB理事講演
金融政策とインフレについて講演、積極利下げ発言あるか注目
・エヌビデア決算
・参院選総括委員会 報告書(9月にずれ込む可能性も)
森山幹事長 辞任?
前週:ジャクソンホール会合
【ジャクソンホール会談】
パウエルFRB議長は22日、「ジャクソンホール会議」での講演で、雇用の下振れリスクの高まりを示し、「見通しとリスクのバランスの変化は政策の調整を正当化しうる」と語った。
パウエル議長講演
パウエル氏は米国の労働市場について「雇用の下振れリスクが高まっていることを示唆している」と評価した。「解雇者数の急増や失業率の上昇という形で、すぐにそのリスクが顕在化する可能性がある」とも語り、雇用情勢の悪化についてこれまでにはなかったトーンで警戒感を示した。一方、「金融政策は既定のコースにはない」としてデータ重視の姿勢は崩さなかった。
パウエル氏は「短期的にはインフレに対するリスクは上向きに、雇用に対するリスクは下向きに傾いている」とも述べた。インフレと景気の後退の両方に目配りしなければならない「困難な状況」にFRBが置かれていることを認めた。
植田日銀総裁発言
植田日銀総裁は、米ワイオミング州ジャクソンホールで開かれたカンザスシティー連銀主催のシンポジウムに出席。「技術と労働市場」をテーマに行われたパネル討論会での発言を日銀がウェブサイトで開示した。
賃金・物価動向について、「大きな負の需要ショックが生じない限り、労働市場は引き締まった状態が続き、賃金には上昇圧力がかかり続ける」との見方を示した。また、政策判断で重視する基調的な物価上昇率は2%の物価安定目標が実現していくとみている。賃金と物価が共に緩やかな上昇を続けるとの見方が根拠となっており、植田総裁はシナリオ実現に改めて自信を示したと格好。
ドル円:日足・週足共に三尊天井形成中
【今週見通し・戦略】
先週のドル円は、米欧によるロシアとウクライナの停戦協議の行方や、ジャクソンホール会議ではパウエルFRB議長講演(22日)を見極めようと様子見の雰囲気も強く、上値の重い中、ポジションを一方向に傾ける動きは限られた。
S&Pグローバル・レーティングスが米国の格付けを最上位から2番目の「ダブルAプラス」に据え置くと発表したことや、トランプ大統領が、FRBのクック理事に対して「今すぐに辞任すべきだ」と投稿したことなどがドル円の上値抑制要因となった。トランプ米大統領は20日、クック理事の住宅ローン契約を巡る不正疑惑が指摘されたことを理由に、「クック氏を理事会から解任することを促す」とし、「『遅すぎ』となる前に、きょう実施(解任)する」よう要求した。
FRB議長講演
注目のジャクソンホールでのパウエル議長講演で、利下げを示唆したとの受け止めが広がり、急反落。米長期金利が低下し、日米金利差の縮小から円買い・ドル売りが入った。米債券市場では長期金利が前日より0.09%低い(債券価格は高い)4.24%を付ける場面があった。「フェドウオッチ」によると、9月に利下げする確率は22日夕時点で8割強と前日の75%を上回った。
グランビルの売り法則
52週移動平均線や200日移動平均線に上値を抑えられ、グランビルの売り法則となっており、三尊天井の肩を形成する動き。ネックラインを割り込むと、三尊天井完成となる。一目均衡表からの下値目標値は、N=144.04円、V=143.59円、E=141.45円。週足ベースでも、三尊天井を形成中。週足でのネックラインと重なる心理的節目140円を割り込むと、下値リスクは大きくなる。ベッセント米財務長官は13日、ブルームバーグのテレビインタビューで、日銀の金融政策運営について「後手に回っている」と発言しており、日本の政局が大きく動かなければ、円高ドル安圧力が意識されやすい時間帯が続く。
金:押し目買い、もしくは保合い上放れでの追随買い
【今週見通し・戦略】
NY金(12月限)は、米税関が金地金などを関税の対象にしたとの報道をきっかけに、中心限月として過去最高値を付けた後、ホワイトハウスが金地金への関税を免除する方針を明確にすると伝わり、利益確定売りが広がったが、下値は限定的。
三角保合い放れ待ち
ジャクソンホール会合や、ロシア・ウクライナ停戦・和平合意などを受けて6月安値を割り込むと、一時的に売り圧力が高まる可能性はあったものの、6月安値と重なる心理的節目3300ドルを維持した。引き続き、価格帯別出来高の厚い3400ドル水準を中心とした三角もち合い放れ待ちが継続。
米ロ首脳会談では米国がウクライナに安全保証を提供できるとの考えで一致した。トランプ大統領は、ウクライナのゼレンスキー大統領と個別に会談した後、英独仏伊とフィンランドの首脳や、欧州委員会のフォンデアライエン委員長とNATOのルッテ事務総長との会談を実施した。会談ではウクライナに対する「安全の保証」などが協議された。米大統領は会談を「非常に良かった」と評価。
ジャクソンホール会合
注目のパウエルFRB議長の「ジャクソンホール会議」での講演では、雇用の下振れリスクの高まりを示し「見通しとリスクのバランスの変化は政策の調整を正当化しうる」と語った。「金融政策は既定のコースにはない」としてデータ重視の姿勢は崩さなかったが、市場の一部でFRBが労働市場の減速よりもインフレリスクを重視し、利下げに慎重になるとの懸念があっただけに、9月の利下げ期待が強まり、金利低下・ドル安・株高・金高で反応した。今後は、FRB議長人事、米雇用統計、PCE、CPI、PPIなどを見極めようとする動きとなりそうだ。押し目買い、もしくは保合い上放れでの追随買いなど買い主体の戦術を維持したい。
【海外投資家動向(225)】
【CME FED WATCH】
金ETF
この記事の監修者

東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社
取締役 菊川 弘之
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。