金:短期的な買われ過ぎ感に対する調整安に注意|【Weekly Report】週間予定
2025年4月21日
週間展望(4/21~4/27)
このページで知れること(目次)
週間予定:IMF世銀春季会合に合わせG20・G7財務相中銀総裁会議開催
前週:日米関税協議始まる
ドル円:日米財務相会談に注目
金:短期的な買われ過ぎ感に対する調整安に注意
【金ETF(中国)】
【CME FED WATCH】
金ETF
週間予定:IMF世銀春季会合に合わせG20・G7財務相中銀総裁会議開催
・IMF世界経済見通し
ゲオルギエワIMF専務理事はトランプ関税による世界経済減速を警告
・IMF世銀春季会合に合わせてG20/G7財務相中銀総裁会議開催
日米財務相会合開催の可能性
・欧州英国の製造業PMIと消費者信頼感・景況感指数、
トランプ関税の影響で4月は悪化見通し
仏製造業PMIの事前予想は47.7、サービス業PMIは47.5。
3月の48.5及び47.9からともに悪化の見込み。
独製造業PMIは47.6,サービス業PMIは50.3。
3月の48.3及び50.9から悪化見込み。
ユーロ圏製造業PMIは47.5、サービス業PMIは50.5。
3月の48.6及び51.0から悪化見込み。
英製造業PMIは44.0、サービス業は51.5。
44.9及び52.5から悪化見込み。
米製造業PMIは49.3、サービス業PMIは53.0。
50.2及び54.4から悪化見込み。
前週:日米関税協議始まる
【日米関税協議】
16日(日本時間17日)の初会合には赤沢亮正経済財政・再生相が訪米し出席した。①早期に合意し首脳間での発表を目指す②次回協議を4月中に実施する③閣僚レベルに加え事務レベルでも協議を継続する。3点を確認した。トランプ氏は17日、SNSで「非常に生産的な会合だった」と言及した。赤沢氏の「(自身は)格下も格下。直接話してくださったことに感謝している」発言に異議を示す論調があるが、キリスト教の弟子たちの論争で、「誰が一番偉いか?」との問いかけにキリストは「一番、下にいるへりくだっている者」と答えた。赤沢氏の姿勢は、トランプ大統領の琴線に響いたはずだ。
カルバン派
石破政権下、日米の政治的な関係は、両首脳の宗教的な共通感から良好と言える。米中が急速に和解する可能性もあり、日中関係も絶妙な距離感で対応できる石破政権は、マーケットの一部の見方とは異なるが、経済的にも優位性がある。逆説的だが、石破首相のダメさが、官僚他が支え、今のところ最悪の事態を回避させている。これが夏の選挙結果に結び付くか否かが、日本買いに繋がるか否かの分岐点になる。
ドル円:日米財務相会談に注目
【今週見通し・戦略】
先週のドル円は、16日にパウエルFRB議長が講演で「当面は透明性向上を待つ状況が整っている」と慎重姿勢を改めて強調したことによる早期利下げ期待の後退や、日米の関税政策を巡る交渉で、為替が議題に上り、米国政府から円安是正を求められるとの思惑が広がり、141円台まで続落。
日米関税協議
トランプ米大統領は17日に「パウエルFRB議長は常に遅過ぎ、間違える」、パウエル氏解任は「パウエル議長の解任は早ければ早いほど良い」などとSNSへ投稿した。これが嫌気されて米国株は下落しており、ドル円の戻りは鈍い。今週はIMF(国際通貨基金)及び世界銀行の春季会合が21日~26日まで米ワシントンD.C.で開催される。加藤財務相とベッセント米財務長官の会談も計画されている(24日で調整中)。日米関税協議では、見送られた為替についての協議が話されると円高圧力が高まる可能性。
ドルインデックスとの比較で割高感
ドルインデックスと比較してもドル円は、割高の状態。140円は2023年以降の支持線ではあるものの、ドルインデックスの下げが強まるなら、130円水準があってもおかしくはない。
金:短期的な買われ過ぎ感に対する調整安に注意
【今週見通し・戦略】
トランプ政権は9日、相互関税を部分凍結した。この背景にあったのは、「トリプル安(米株安・ドル安・米債安」の金融危機懸念の浮上と見られる。市場の動揺を受けて、ベッセント財務長官が主導し、トランプ大統領に関税上乗せの一時停止を説得したとされる。
足元での米金利上昇は。安全資産として米国債が買われていないことを表しており、トリプル安(株安・ドル安・債券安)に繋がりかねない悪い金利上昇と言う地合いの中で、「安全資産」としての大本尊「金買い」が意識され、急速な金の切り返し、史上最高値更新となった。
史上最高値更新
ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)によると、金現物を裏付け資産に持つ中国の上場投資信託(ETF)に流入した投資資金が4月に入って以降、最初の11日間で保有高が29.1トン増加し、第1・四半期全体の規模を上回り、米国上場ETFも超える買いの勢いを見せている。
さらに、ゴールドマンサックスが、2月以降、金価格見通しを毎月、上方修正(2890ドル⇒3100ドル⇒3300ドル⇒3700ドル)させたが、その理由として、米利下げ観測と金ETFの増加を上げている。ヘッジとして金需要の高まりでETFの保有量が パンデミック時の水準に戻り、25年末の価格を大きく引き上げる(予想レンジ:3650─3950ドル)と指摘している。
一方、NY金は既に年間上昇率が20%を超えている。テクニカル的な過熱感を表す実体と52週移動平均線の乖離率は、昨年に調整が入った水準を超え2020年以来、最大の過熱感を示している。テクニカル的な調整はいつ入ってもおかしくない。3000ドル~3200ドルが下値支持帯。同水準への押し目は、買い拾われそうだ。
【金ETF(中国)】
【CME FED WATCH】
金ETF
この記事の監修者

東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社
取締役 菊川 弘之
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。