金:史上最高値更新後の調整局面|【Weekly Report】週間予定
2025年4月7日
週間展望(4/7~4/13)
このページで知れること(目次)
週間予定:トランプ米大統領が相互関税・自動車関税を発動
前週:米雇用統計は強気も、相互関税発動前の数字
ドル円:下値試しの流れ
金:史上最高値更新後の調整局面
【米雇用統計&ADP】
【CME FED WATCH】
金ETF
週間予定:トランプ米大統領が相互関税・自動車関税を発動
・トランプ米政権が60ヶ国対象に関税を発動
日本24%、中国34%、欧州連合に20%など
・EU外相理事会
米国中国との貿易について協議、EUのビジネスサミット 米EU対立のさなか
・日本実質賃金と植田日銀総裁挨拶、日銀支店長会議
トランプ関税で利上げ後ずれ観測
・米消費者物価指数とFOMC議事録
トランプ関税で「スタグフレーション」懸念高まる
週内:イスラエルのネタニヤフ首相が米国訪問の予定
前週:米雇用統計は強気も、相互関税発動前の数字
【米雇用統計】
3月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は22万8000人増加し、事前予想の13万5000人増を大幅に上回った。
失業率は4.2%と前月の4.1%から上昇、予想は4.1%だった。
2月の雇用者数は15万1000人増から11万7000人増に下方改定された。
インフレに結びつくデータとして注目される労働者の平均時給は、前の年の同じ月と比べて3.8%、前の月と比べると0.3%、それぞれ上昇した。
次回が重要
今回の統計では、失業率は上昇したものの、景気の動向を敏感に示す農業分野以外の就業者が市場予想を大きく上回ったことで、労働市場にまだ減速傾向はみられないという見方が出ています。市場は、今回の雇用統計は良好な内容だったものの、トランプ大統領の相互関税発表前のデータであり、来月の雇用統計がより重要な意味を持つとの見方が多い。
ドル円:下値試しの流れ
【今週見通し・戦略】
ドル円は、トランプ米大統領は、貿易相手国に対し相互関税を課すと発表した。各国に一律10%の関税を課した上で、国や地域別に税率を上乗せする方針を示した。関税率は日本が24%、欧州連合(EU)が20%などとしており、中国は発動済みの20%に加え、34%を上乗せする方針。
報復関税
これに対して欧州連合(EU)や中国は対抗措置を示唆しており、貿易戦争の激化が世界経済へ悪影響を与えることが懸念され、ドルが売られる一方で、リスク回避の動きから円が買われた。
3月の米雇用統計は失業率が4.2%となり、市場予想や前回の4.1%から悪化した。ただ、非農業部門雇用者数は前月比22.8万人増となり、市場予想の14.0万人増を上回った。
この後のパウエルFRB議長の講演では、「調整の検討を待てる好位置にある。FRBはインフレ期待の抑制維持の責務を負う。物価上昇がインフレ継続を招かないよう確実にする必要がある」などと発言しており、利下げに慎重な姿勢を示した。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は4日の講演で、米景気の下振れリスクなどに言及した一方、金融政策の適切な方向を示すのは「時期尚早」と政策変更を急がない姿勢を示した。
FRB議長発言や雇用統計が円売り・ドル買いを誘ったものの、ドル円の上値は限定的。中国政府が4日に相互関税への報復措置として米国からの輸入品に34%の関税をかけると発表した。トランプ米大統領は自身のSNSで「私の政策は決して変わらない」などと強硬姿勢を示した。関税の応酬で貿易戦争が激化するとの懸念が強まった。
半導体と医薬品に対する関税に注目
今週も、トランプ大統領の関税関連の発言に振り回される状況が続きそうだ。今後、半導体と医薬品に対する関税引き上げが予定されているが、この内容如何では、織り込みがかなりの部分、織り込まれる可能性も。
金:史上最高値更新後の調整局面
【今週見通し・戦略】
時事通信社ゴールドレポート(4/3号)で≪NY金の200日移動平均線との乖離率は、24年に修正入りのきっかけとなった過熱感ある水準にまで高まっている。3月29日は高値の節目を付けやすい新月。4月13日が安値の節目を付けやすい満月だ。水星の逆行期(3月14日〜4月7日)、金星の逆行期(3月1日〜4月12日)も終了してくる。 テクニカル的な短期調整が予想されるものの、4月安値は買い直され、急反騰シナリオもありそうだ≫と指摘したが、NY金は4月2日高値を起点に調整入りとなった。
ポジション調整
金を取り巻くファンダメンタルズ環境に大きな変化はなく、強気材料が数多く控えている。
大口投機玉の整理も、他のリスク資産と比較し先行して進んでおり、14日の満月に向けて、他のリスク資産の損失補填的に売られた安値は、金にとって中長期的な買い場になりそうだ。
リーマンショック時も、NY金はNYダウと共に売られたが、その後は、株式市場が下落を続けたのに対して、金は押し目を買い直された。
今後、半導体と医薬品に対する関税引き上げが予定されているが、この内容如何では、リスク回避の織り込みがかなりの部分、進む可能性も。9日相互関税発動のギリギリ段階で、交渉の結果の延長なども想定される。
【米雇用統計&ADP】
【CME FED WATCH】
金ETF
この記事の監修者

東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社
取締役 菊川 弘之
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。