金:史上最高値更新(円建て)|【Weekly Report】週間予定
2025年1月27日
週間展望(1月27日~2月2日)
このページで知れること(目次)
週間予定:米GDP・PCE、FOMC、ECB理事会
前週:日銀金融政策決定会合政策
ドル円:FOMC金利据え置き後の、トランプ発言に注意
金:史上最高値更新(円建て)
【米ミシガン大学消費者信頼感指数】
【CME FED WATCH】
金ETF
週間予定:米GDP・PCE、FOMC、ECB理事会
・米GDP速報・PCE価格指数
GDPは若干減速との見方、PCE価格指数は3カ月連続で伸び加速か
・FOMC
利下げ一時停止 トランプ氏は利下げを要求「私の方が金利に関してはるかに詳しい」
・カナダ中銀政策・ECB理事会
カナダは大幅利下げ観測、ECBは4会合連続利下げ観測
・東京都消費者物価指数
・氷見野日銀副総裁の講演
・経団連労使フォーラム開催で春闘スタート
・中国は春節(旧正月)で2月4日まで休場、
・中国1月の製造業PMIと非製造業PMI
・FRBブラックアウト期間入り(金融政策に関する発言自粛)(30日まで)
前週:日銀金融政策決定会合政策
【日銀金融政策決定会合】
既存レポートやTV番組で、『1月早々に、本邦当局が止めれない円安が来るのか否か、大きな山場を迎えそうだ』と指摘したが、日銀金融政策決定会合(1/23-24)で、追加利上げを決めた。政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を、0.25%から0.5%に引き上げる。利上げは24年3月のマイナス金利解除以降では3回目。政策金利が0.5%になるのは07年2月~08年10月以来。1995年9月以降、政策金利が0.5%を超えたことがなく、金利水準は過去30年間で最も高くなる。
2025年も高水準の賃上げが見通せる状況で、トランプ米大統領の就任に伴う市場の変動も限定的だったため、利上げが可能と判断した。
3ヶ月ごとにまとめる「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」も公表。消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年度比上昇率の見通しは、25年度については前回のプラス1.9%から2.4%に、26年度は1.9%から2.0%にそれぞれ上方修正した。
声明文で「金利変更後も、実質金利は大幅なマイナスが続き、緩和的な金融環境は維持される」と指摘した。「経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き金利を引き上げ、緩和の度合いを調整していく」とも記した。
ドル円:FOMC金利据え置き後の、トランプ発言に注意
【今週見通し・戦略】
トランプ米大統領就任後の金融市場で懸念されていた大きな混乱がなかったことで、日銀金融政策決定会合で政策金利の引き上げが実施されるとの見方が広がった中、ドル円はトランプ米大統領の発言などのヘッドラインで上下に振幅を見せたものの、概ね155円台でのもみ合いとなった。
日銀追加利上げ
日銀金融政策決定会合で追加利上げを決めた。政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を、0.25%から0.5%に引き上げた。日銀が正式に利上げを決めたことで、金融政策の正常化が進み、日本経済は「金利ある世界」に一段と踏み出す。
植田総裁の記者会見で、「米新政権の出だしの動きは、おおむね予想の範囲内。米新政権発足で市場混乱なし、ここで動かない理由ないと判断」「今春闘、しっかりした賃上げ実現が見込まれると判断」「緩和度合い調整ペースやタイミングは経済・物価次第。予断は持っていない」「今回の利上げの影響がどう出るのかを見極めつつ、今後の利上げの在り方を決めていきたい」などと述べた。
FOMC金利据え置きか
1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での金利据え置き確率は、ほぼ100%となっており、据え置きの可能性が高い。3月利下げ確率は30%程度の確率となっている。ECB理事会では利下げを実施見通し。
原油下落すれば利下げを要求
一方、トランプ米大統領は世界経済フォーラムの年次総会でオンライン演説し、石油輸出国機構(OPEC)に原油価格の引き下げを要請する方針を示した。OPECが原油価格を引き下げればインフレが低下し、金利引き下げが可能になるとし、「原油価格が下がれば、私はすぐに金利引き下げを要求する」とも主張。FOMC金利据え置き後の、トランプ発言に注意。
トランプ大統領の発言やSNSの内容次第では、振れる可能性はあるものの、FOMCで金利据え置きなら155円±3円程度のレンジ入り。
金:史上最高値更新(円建て)
【今週見通し・戦略】
一部で懸念されていた関税への具体的言及は「対外歳入庁」の設立に留まった。貿易に関する緊急事態宣言を発することはなく、初日に中国へのトランプ関税を発動しなかったことや、世界経済フォーラムの年次総会でオンライン演説し、OPECに原油価格の引き下げを要請する方針を示したことで、NY株価は堅調推移、NY金(2月限)も米金利低下を背景に、上げ足を強めた。2024年10月を起点とした3本目の下降トレンドを上抜き、上げ加速(ファン理論)。価格帯別出来高の厚い2650ドル~2700ドルが下値支持に変化。円建て金も同様に、下降トレンドを抜き、13000円~13500円が下値支持として機能中。国内店頭小売価格も、史上最高値を更新。OSE金も上場来最高値を更新中だ。
債務問題は波乱要因
新型コロナウイルス禍への対応などで政府債務の残高は36兆ドルに拡大し、高金利も重なって米国債の利払い費は国防費とほぼ同じ0.9兆ドルに膨らんでいる。25年末に期限を迎える個人所得減税の延長も予定されており、米議会予算局(CBO)は10年間で約5兆ドルの財政悪化要因となると試算している。欧州の債務問題と合わせて、米国の債務上限問題は、今年の波乱要因だ。
トランプ大統領の下で、米国が内向き姿勢が強まるのは確実で、国際秩序の再編が国際機関の監視や法の支配が弱体化する中、不透明なまま急速に進むのも確実だ。弱い民主主義と強い権威主義の対立の中、安全資産や代替通貨としての金・暗号資産への志向に変化は出ない。押し目買い継続。
NY金の一目均衡表からの上値目標値は、E値=2964.6ドル。別カウントでは、N値=2911.8ドル、E値=3062.2ドル、などがカウントできる。
【米ミシガン大学消費者信頼感指数】
【CME FED WATCH】
金ETF
この記事の監修者

東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社
取締役 菊川 弘之
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。