金:史上最高値更新|【Weekly Report】週間予定
2025年3月31日
週間展望(3/31~4/6)
このページで知れること(目次)
週間予定:トランプ米大統領が相互関税・自動車関税を発動・雇用統計
前週:米追加関税25%、4月3日発動発表
ドル円:3月安値を試す流れ
金:史上最高値更新
【米PCE】
【CME FED WATCH】
金ETF
週間予定:トランプ米大統領が相互関税・自動車関税を発動・雇用統計
・パウエルFRB議長の講演
FOMCではトランプ関税によるインフレ押し上げは「一時的」との認識示した
・トランプ米大統領が相互関税・セクター別関税・自動車関税を発動へ
カナダは報復関税課す予定
・日銀短観
トランプ関税政策やコメなど食品価格高騰、中国経済低迷により悪化する見通し
・NZ中銀オア総裁が31日付で正式に退任する(5日に突然辞任発表)
新たな総裁は未だ決まっていない
・NATO外相会合にユーロ圏消費者物価指数
・米雇用統計
・豪中銀政策金利は据え置き見通し
前週:米追加関税25%、4月3日発動発表
【輸入自動車へ関税】
トランプ米大統領は26日、輸入自動車に25%の追加関税を課すと発表。日本からの輸入車も対象になる。日本の対米輸出総額の3割弱を占める自動車産業への影響は避けられない。輸出減少に伴って国内生産が減ると、最大で13兆円の経済価値が打撃を受ける(日経新聞社試算)可能性がある。
追加関税が発動されれば、自動車を基幹産業とする日本経済への影響は大きい。2024年の米国向け輸出は、自動車と自動車部品で約3分の1を占める。自動車産業は完成車メーカー、大手部品メーカー、中小部品メーカーなどすそ野は広く、国内就業者人口は、運送や販売といった関連部門を加えると約558万人と推測される。
追加関税発動
追加関税は米東部時間4月3日午前0時1分(日本時間同日午後1時1分)から適用される。米国は乗用車に2.5%、トラックに25%の関税をかけている。25%を上乗せすれば乗用車の関税は27.5%、トラックは50%となる。
5月3日までにエンジンやトランスミッション(変速機)、パワートレイン(駆動装置)のような基幹部品にも25%の追加関税をかける。新たな関税により年1000億ドル(約15兆円)以上の税収を見込む。
一方、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)で現在関税がゼロになっている自動車には軽減措置を設ける。
4月2日には貿易相手国と同水準まで関税率を引き上げる「相互関税」の詳細を発表する予定。トランプ氏によるSNSや関連報道などを受けて、各市場で荒い値動きとなる可能性には注意したい。
ドル円:3月安値を試す流れ
【今週見通し・戦略】
4月2日のトランプ相互関税に焦点が集まる中、対中では融和的、対EUやカナダでは対決姿勢がみられるなど硬軟両面が交錯した。米経済指標も、強含む指標が散見されたことや、米通信社報道でトランプ政権が4月2日発動の相互関税について、一部の国・地域を除外する可能性が示唆されたことで、ドル円は反発したものの、150円は抜け切れず反落。
全ての輸入車に関税
23日までに複数のメディアがトランプ大統領が相互関税の対象国を絞り込む可能性や、自動車や半導体など品目別の関税については当初予定の4月2日に公表されないだろうと伝えていた。トランプ氏は相互関税を巡り「柔軟性がある」との認識も示していたことで、米政権の姿勢が懸念されていたほど急進的にならないとの希望的観測が高まったが、トランプ米大統領は26日、米国外で生産された自動車米国外で生産された全ての輸入車に4月3日以降、25%の関税を課すと発表。部品も5月3日までに25%関税を発動する方針を示している。日本からの輸入車も対象になる。トランプ大統領は「これは米国の『解放の日』の始まりだ」と関税布告の署名式で述べた。
月末・四半期末を控え、持ち高調整の動きがから値動きは限定的で、比較的狭い範囲でもみあっていたが、この発表を受けてドル円は週末に下放れた格好。長大陰線引けとなった。
1月高値~3月安値までの下げ幅に対する38.2%戻し水準で上値が抑えられ、3月安値を試す流れへ。同水準を割り込み、1番底試しとなるのか、維持して、ダブルボトムなどの底打ちパターン形成へ移行できるのか否かの分岐点に差し掛かる週となりそうだ。
雇用統計が弱気なら利下げ観測浮上
今週は、月末・月初が重なる。週末には米雇用統計が控える。事前予想は非農業部門雇用者数が前月比+13.5万人と前回から鈍化見込み、失業率が4.1%で横ばい見通し。
金:史上最高値更新
【今週見通し・戦略】
先週レポートで≪金を取り巻く強気要因に変化はなく、テクニカル的な修正は改めて買い拾われるだろう。
ポジション調整一巡
CFTC建玉明細でも、大口投機玉は、買い直しの姿勢≫と指摘したが、NY金は3月19日の十字線レンジを下放れたものの、テクニカル的な調整安は限定的となり、押し目は買い直された。
ゴールドマン・サックス見通し
史上最高値圏を更新したNY金は、これまでの抵抗であった2900ドル~3000ドルを下値支持帯として、上値試しが継続する。
ゴールドマン・サックスは26日、2025年末の金価格予想を1オンス=3100ドルから3300ドルに引き上げた。金ETF(上場投資信託)への予想を上回る資金流入や、中央銀行の持続的な需要を指摘し、予想レンジも従来の3100~3300ドルから3250~3520ドルに切り上げた。
ゴールドマンは、今年2月17日に年末の金価格見通しを2890ドルから3100ドルに引き上げたばかり。
ゴールドマンは米国の政策の不透明感が高まる中、中国が今後3─6年間、急ピッチで金購入を継続すると予想し、中央銀行の需要予測を月間50トンから同70トンに引き上げた。また金ETFについては「当社の米国エコノミストが、米連邦準備理事会(FRB)の利下げを25年が0.25%幅で2回、26年上半期に1回と引き続き予想しており、これがETFへの資金流入のベースラインを支えている」と述べた。また、ETFに関する潜在的な上方リスクとして、1)景気後退に起因するFRBの利下げサイクルが25年末の金価格を3410ドルまで押し上げる、2)ヘッジとして金需要の高まりでETFの保有量がパンデミック時の水準に戻り、25年末の価格を3680ドルへと引き上げる可能性があると指摘。
【米PCE】
【CME FED WATCH】
金ETF
この記事の監修者

東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社
取締役 菊川 弘之
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。