金:史上最高値更新後の調整局面入り|【Weekly Report】週間予定 | 【公式】日産証券の金投資コラム

金:史上最高値更新後の調整局面入り|【Weekly Report】週間予定

NSトレーディング 菊川弘之
2025年3月24日

週間展望(3/24~3/30)

週間予定:日銀1月議事録・主な意見。米PCE

【週間スケジュール(3月24日~3月29日)】

・日銀1月議事録 

 7月以来となる追加利上げ実施、展望リポートがややタカ派で円買い進む


・日銀3月主な意見

 植田日銀総裁「海外発の不確実性4月初めに見えてくる」発言で円買い


・ハト派安達日銀審議委員の任期満了、後任に政策正常化支持と言われている小枝淳子氏が就任


・東京3月消費者物価指数 

 前回は政府の電気ガス補助再開で伸びが予想以上に鈍化


・週末に米PCE価格指数 

 13日発表PPIではPCEに反映される項目はおおむね上昇した


・英中銀ベイリー総裁と最もハト派ディングラ委員講演、リーブス財務相予算案提出

 英消費者物価



前週:米連邦公開市場委員会(FOMC)

【FOMC】

FOMCメンバーが適切とみるFF金利の水準(12月・3月)

FOMC経済見通し(3月)

米連邦公開市場委員会(FOMC)は18-19日に開催した定例会合で、主要政策金利を据え置くことを決定した。据え置きは2会合連続。


参加者の政策金利見通し(ドットチャート)では、2025年末の予想中央値が0.25%の利下げ2回との前回の予想を据え置いた。


保有資産を圧縮する量的引き締め(QT)の減額方針を決め、4月から米国債の減額の上限を月250億ドルから月50億ドルに減らす方針。


参加者の経済見通しでは、2025年の実質国内総生産(GDP)成長率見通しが1.7%と、前回の見通し(2.1%)から下がった。

FRB議長記者会見

パウエル議長は記者会見で足元の経済は「全体的に強い」と述べた一方、「見通しを巡る不確実性は異常に高まっている」との見方を示した。


また、「インフレ率は上昇し始めている」とし、「関税に反応している部分もあると考えられる。年内のさらなる進展に遅れが生じる可能性がある」と述べた。


その上で自身の基本シナリオとしては、関税に伴うインフレ率上昇は「一過性」のものになるとの認識を示した。その後で、インフレのうちどの程度が関税に起因し、どの程度が他の要因による影響かを確信を持って見極めるのは容易ではないと付け加えた。



ドル円:145円~200日移動平均線のレンジ入り

【今週見通し・戦略】

ドル円(日足)MAC(Moving Average Channel)

先週は、日銀金融政策決定会合で、政策金利は市場予想の通り据え置き。植田総裁の記者会見では、「景気は一部に弱めの動き見られるが、緩やかに回復」「見通し実現なら政策金利引き上げ、金融緩和度合いを調整」「海外の不確実性はここにきて急速に高まっている」などと述べた。


19日にトルコ検察当局は、エルドアン大統領の最大の政敵であるイマモール・イスタンブール市長を汚職やテロ組織への資金提供などの容疑で拘束した。これを受けて、トルコリラが急落、ドルが買われ、ドル円は150円台に乗せた。

日米ともに金利据え置き

米連邦公開市場委員会(FOMC)は市場予想通り、政策金利を据え置いた。パウエル議長は記者会見で、「経済は全般に強い」「調査では景気の不透明感が高まっている」「調査では関税がインフレ期待を高めている」などと述べた。金利見通し(ドットチャート)は、前回と変わらずの年内2回の利下げを見込んだ。また、経済見通しではGDP予想を大幅に下方修正した一方、インフレは上方修正した。保有する米国債を圧縮する量的引き締め(QT)のペースを4月から減額することを決めた。これまでの月間250億ドルから50億ドルに減額される。日銀金融政策決定会合やFOMCなどの中銀イベントを無難に通過し、前週末は持ち高調整を目的とした円売り・ドル買いの展開となった。


トランプ大統領は19日、4月2日は「米国の解放記念日だ」とSNSに書き込んだが、トランプ相互関税が、4月2日にどんな範囲と規模で打ち出されるのかを見極めようと、145円~200日移動平均線のレンジで、次の展開を待つ流れになりそうだ。

4.2待ち

トランプ大統領は19日、4月2日は「米国の解放記念日だ」とSNSに書き込んだが、トランプ相互関税が、4月2日にどんな範囲と規模で打ち出されるのかを見極めようと、145円~200日移動平均線のレンジで、次の展開を待つ流れになりそうだ。


過去最高水準となっていたCFTC建玉明細での大口投機玉のドル買い越し・円売り越しは、前週比微減。NY株式市場においては、第2次トランプ政権(トランプ2.0)は、第1次トランプ政権(トランプ1.0)と位相が異なっているが、ドル円に関しては、両者は相関の高い自己相似(フラクタル)を描いている。米金利低下・緩やかなドル安を望む日米当局の思惑が一致している。



金:史上最高値更新後の調整局面入り

【今週見通し・戦略】

NY金(4月限)

JPX金(日足)90日移動平均線

土壇場の段階で米政府機関閉鎖が回避され、NY金(4月限)は、3月14日に十字線で引けた。

ポジション調整一巡

テクニカル分析では、十字線は強気と弱気が拮抗している場面で出現し、高値圏では調整のシグナル、安値圏では反発のシグナルとして、捉えられることが多い。


先週は、地政学リスク(イラン・フーシへの戦闘・圧力)の燻りや、関税問題に伴うインフレ懸念は継続しており、終値ベースで十字線レンジを上抜き踏み上げとなり、既存レポートで掲げた上値目標値のE=3038.5ドルを達成した。


3月14日に続き、19日も十字線引けとなり、20日には、ザラ場で上ヒゲ高値を抜き、史上最高値を更新したものの、引けにかけて売られて十字線高値を維持できず。前週末(21日)には、ユーロ安・ドル高から売り圧力が強まり、下げ幅を拡大した。終値ベースで19日の十字線レンジを下回った。

Drain the Swamp

ボリンジャーバンドでは、心理的節目3000ドルと重なる+1σを維持しているが、同水準を割り込んでくると、中心の攻防戦に入り、短期的にはテクニカル的な修正入りも想定される形状。

ただし、金を取り巻く強気要因に変化はなく、テクニカル的な修正は改めて買い拾われるだろう。CFTC建玉明細でも、大口投機玉は、買い直しの姿勢。


史上最高値圏を更新したNY金は、これまでの抵抗であった2900ドル~3000ドルを下値支持帯として、上値試しが継続する。

過去10年間の3月の金月間騰落傾向は、内外共に買い方有利の時間帯。円建て金に関しては、4月はこの10年間、更に強気優位の時間帯となっている。押し目買い有利の時間は続く。



【アトランタ連銀GDPナウ】

米アトランタ連銀のGDPナウ



【CME FED WATCH】

Fedウォッチが示すFOMCでの政策金利見通し



金ETF

金ETF買い残高(SPDR GOLD SHARES)

この記事の監修者

菊川弘之

東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社

日産証券インベストメント株式会社

取締役 菊川 弘之

NY大学留学。その間GelberGroup社、FutureTruth社などでトレーニーを経験。
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。

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