金:米利下げ開始は、金本格上昇の始まり②|【Weekly Report】週間予定
2024年9月24日
週間展望(9/23~9/29)
このページで知れること(目次)
週間予定:自民党総裁選挙・立民代表選
前週:米連邦準備制度理事会(FRB)
ドル円:140円~150円のレンジ相場で次の展開待ち
金:米利下げ開始は、金本格上昇の始まり
【日銀金融政策決定会合I】
【ドットチャート】
金ETF
週間予定:自民党総裁選挙・立民代表選
・自民党総裁選投開票 過去最多9人が立候補 金融市場への影響を注視
・日銀7月会合議事録 7月は0.25%への追加利上げと国債買い入れ減額計画を同時決定した
・米新規失業保険申請件数(21日終了週) FRBは政策の焦点をインフレから雇用に移す
・米GDP 確報は改定値から小幅に下方改定の見通し、PCE価格指数は伸び鈍化予想
・FOMCブラックアウト期間を終えパウエル議長らFRB高官の講演が相次ぐ
・スイス中銀政策金利、ジョルダン総裁にとって最後の会合 政府は来年インフレの急激な低下を予想
前週:米連邦準備制度理事会(FRB)
【FOMC】
米連邦準備制度理事会(FRB)は9月18日、連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利を0.5%引き下げ、4.75~5.0%とすることを決定した。
歴史的なインフレを抑え込むために始まった米利上げサイクルの終焉となり、金融政策を2年半ぶりに「引き締め」から「緩和」に切り替えた。FRBが利下げするのは、新型コロナウイルス禍を受けた臨時会合で政策金利をゼロにまで引き下げた2020年3月以来となる。
記録的なインフレに対するFRBの対応を巡って、2022年3月にそれまでのゼロ金利政策を解除して利上げを開始。同年6月からは通常の利上げ幅の3倍となる0.75%の利上げを4会合連続で実施する異例の対応などを実施した。2023年7月の0.25%の利上げで、FF金利は5.25~5.5%と2001年以来の高水準となり、根強いインフレ圧力に対処した。
パウエルFRB議長はFOMC後の記者会見で、大幅利下げは「時宜を得たものであり、後手に回らないという決意の表れ」と強調し、一部で浮上する「出遅れ」批判に反論した。「米経済は良い状態にあり、今日の決定はそれを維持するためのもの」との認識を示した。
9月に0.5%下げたため、年内残り2回の会合であわせて0.5%分下げる道筋を示したが、必要に応じてペースを変える可能性もあり得ると市場に伝わった格好だ。
ドル円:140円~150円のレンジ相場で次の展開待ち
【今週見通し・戦略】
米連邦準備制度理事会(FRB)は9月18日、連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利を0.5%引き下げ、4.75~5.0%とすることを決定した。通常の2倍に当たる0.5%の利下げを受けて、一時、円高・ドル安が加速。心理的節目140円を試したが押し目は買われ、売り一巡後に142円台に戻した。
FOMC後に公表された委員らの政策金利見通しでは、年内残り2回の会合で計0.5%の利下げ方針が示された。市場の一部ではより大幅な利下げがあるとの予想もあったため、事前に形成しされていた円買い・ドル売りポジション解消の動きとなった。
継続的利上げ観測
FOMC後に記者会見したパウエル議長は、0.5%の利下げが「新しいペースだとみるべきではない」と話し、今後の利下げが緩やかになるとの見方も意識された。
16日は、ザラ場で140円台を割り込んだものの、押し目を買われ、長い下ヒゲを形成し、終値ベースで維持した。
20日に日銀金融政策決定会合では、政策金利や金融政策は据え置きとなった。植田日銀総裁は記者会見で、「円安に伴う輸入物価の上振れリスクは相応に減少、時間的余裕がある」と述べたことで、市場の早期追加利上げ観測を後退させ、ドル円の戻りに繋がった。
レンジ相場入りか?
また、「データがオントラック(見通し通り)であれば利上げということに変わりない」との発言もあり、大きな流れの中での日米金融政策の違いに変化はない。 140円~150円のレンジ相場で次の展開待ちか?
過去の米大統領選挙年の9月~10月のドル円は、次期政権の通貨政策を見極めようと様子見ムードが強まる傾向がある。月間騰落傾向は円高ドル安が優勢の時間帯。
金:米利下げ開始は、金本格上昇の始まり
【今週見通し・戦略】
NY金(12月限)は、FOMCを受け、中心限月として過去最高値を更新したが、0.5%の織り込みが進んでいたことや、今後の利下げペースが緩やかになるとの見方などから、買い一巡後は利益確定の売りに押された。
レンジ上放れ
既に7月以降のレンジ(2400ドル~2500ドル)上限を下値支持として、レンジの倍返しからの上値目標の2600ドルを達成しており、「知ったら終い」的な反応であったものの、過去の米利下げ局面下における金相場の値動きを振り返ると、利上げ停止で底固めを行い、利下げ開始と歩調を合わせ上げ足を強めている。
今回の米利下げへの転換は、金相場本格上昇の「始まりの始まり」となるだろう。また、米国と比較して欧州の利下げ幅は緩やかであることが予想されており、ユーロ高・ドル安も金市場にとっての支援要因だ。
上値目標は?
NY金は史上最高値を更新しており、ここからの上値目標は、心理的節目以外には一目均衡表からは、V=2638.1ドル、N=2674.9ドル、E=2742.6ドル。別のカウントでは、V=2677.2ドル、E=2725.6ドルなどが計算できる。4月~8月までのレンジ(2350ドル~2500ドル)の倍返しから2650ドルがカウントされる。
日銀金融政策決定会合では、政策金利や金融政策は据え置きとなった。植田日銀総裁は記者会見で、「円安に伴う輸入物価の上振れリスクは相応に減少、時間的余裕がある」と述べ、市場の早期追加利上げ観測は後退しておりドル円が140円~150円のレンジ相場入りとなれば、NY金高の影響を素直に反映しやすく、 円建て金の上値目標は、一目均衡表からはV=12503円、N=12579円、別のカウントでは、N=12591円、E=14178円、V=14266円などが計算可能だ。
米大統領選挙に向けての不透明感は強く、押し目買い戦略を継続したい。
【日銀金融政策決定会合I】
【ドットチャート】
金ETF
この記事の監修者
東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社
取締役 菊川 弘之
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。