Monthly Report 2023年5月 | 【公式】日産証券の金投資コラム

Monthly Report 2023年5月

NSトレーディング 菊川弘之
2023年5月1日

~5月1日~5月31日 ~

ドル円:200日移動平均線の攻防が焦点
ドル円(日足&200日移動平均線)・米個人消費支出(PCE)

5月騰落率(ドル円)

FOMC(23/5/3)での金利決定予想

【今月見通し・戦略】

GW前の植田新体制初の日銀金融政策決定会合の発表が、やや遅れた事もあり、何らかの出口戦略に向けた動きが示されることを予想する向きもあり、様子見ムードから狭いレンジ相場が続いていたが、大規模な金融緩和策の維持決定。イールドカーブコントロール(YCC)の修正は見送った事で、円安ドル高が進行した。


1990年代後半以降の金融緩和策について、1年から1年半をかけて検証を行うと新たに発表され、緩和継続が長期化すると判断した格好だ。


パターン分析では、ダブルボトムのネックラインを再度、上抜き、リターンムーブからの反発パターン。三角保合い上放れでもあり、200日移動平均線が試される流れ。一目均衡表からは、V=137.3円、N=137.48円などがカウント可能。 3月上昇時には、200日移動平均線で上値が抑えられたが、今回、同水準を上抜けるか否かが焦点。5月FOMCでは、0.25%の利上げが市場コンセンサス。6月以降に関しては、市場の見方は定まっていない。インフレと景気後退懸の中で、難しい舵取りは続く。米債務上限問題も月末にかけて材料視されそうだ。


日銀金融政策決定会合以降、日米金利差が意識されているものの、欧州は大幅利上げ継続観測が強く、欧米の利上げに対するスタンスの違いから、ユーロ買い・ドル売りの流れが続いており、ドル円にも影響を与えそう。


過去の季節傾向で5月は上げ・下げイーブン傾向(32戦16勝16敗)。



~ドル円・米個人消費支出(PCE)~


【ドル円(日足)】

ドル円(日足)


【米PCE】

米国 個人消費支出(PCE)価格指数(前年比)



金:テクニカル的に売り込まれた安値は、中長期的な買い場を提供
NY金(6月限)日足・NY金&JPX金(週足)

5月騰落率(NY金)

【今月見通し・戦略】

今年のGWは、欧米で利上げ見通しに温度差が意識され始める中、米国では2日~3日に米連邦公開市場委員会(FOMC)や、欧州では4日にECB理事会が予定されている。更に5日には、米雇用統計も予定されている。アストロロージ(金融占星術)で注目される満月が6日、テクニカル面のダマシが多いとされる水星の逆行期(4月21日~5月14日)の最中でもある。


NY金(6月限)は、FRBメンバーからタカ派発言が相次いだこともあり、上値を抑えられている。6月以降の利上げ動向が不透明な事もあり、心理的節目2000ドルを挟んだ保合いに移行しつある。短期的にはチャートは修正安含みの形状だ。終値ベースでしっかりと2000ドルを回復できず、ネックラインを割り込んだ場合、一時的なテクニカル売りも予想される。ただし、世界的なドル離れは新G8や、グローバルサウス中心に継続・拡大しており、テクニカル的に売り込まれた安値は、中長期的な買い場を提供しそうだ。3月に中国がイラン・サウジの和睦を仲介して以来、中東やASEAN、BRICSなどが中国と提携しながら脱ドル現象を加速させていることは、金にとって強い支持要因だ。イエレン財務長官が警告している米債務上限問題も、解決の目途は立っていない。


また、金融以外の波乱要因も増えている。米国防総省(ペンタゴン)から流出したとされる機密文書によると、ウクライナの防空システムが、ミサイル在庫の払底から5月23日までに「完全に制圧される」恐れがあると報じられている。更に、世界保健機関(WHO)は4月25日、アフリカ北東部スーダンの首都ハルツームにある国立公衆衛生研究所が正規軍か準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」によって占拠されたと明らかにし、コレラ菌などの病原体が外部に流出する「バイオハザード(生物災害)」の危険があると警鐘を鳴らした。不確定要因・不安要素が増えれば増えるほど、「安全資産」としての金は輝きを増すだろう。テクニカル的な売りで出る安値を売り込むのは避け、押し目買い戦略継続で対応したい。円建て金は、史上最高値更新を継続しそう。



~NY金日足・NY金JPX金週足~


【NY金(6月限)】

NY金(6月限)


【NY金&JPX金】

JPX金(週足)とNY金(週足)



5月注目スケジュール:
FOMC・雇用統計・ECB理事会・G7

5月注目スケジュール


5月は月初に米欧の中央銀行の金融政策決定会合が行われる。2日~3日に米連邦公開市場委員会(FOMC)。3月のFOMCで公表された政策金利見通し(ドットチャート)によれば、利上げはあと1回(0.25%)で終了する見込み。5月の0.25%の利上げは織り込み済みで、6月以降の動向に何らかの示唆があるのか否かがが焦点。

4日に欧州中央銀行(ECB)理事会。ECBは、高止まりしている食品価格やコアインフレを抑制するため、当面利上げを継続するとみられる。利上げ幅に加え、先行きの金融政策の指針を示すフォワードガイダンスがどのようになるか注目。米欧の金融政策に違いが出始めると、欧米金利差が注目されやすい地合いになる。


主要7カ国首脳会議(G7サミット)が広島市で19日~21日に行われる。日本での開催は7年ぶりで、今回サミットではG7以外の8ヶ国も招いて拡大会合が開かれる。

ウクライナ支援や対中ロ政策に加え、脱炭素社会の実現、経済や食料の安全保障の強化などが主要議題。また、官民で活用の動きが広がる「チャットGPT」に代表される「生成AI」も議題に上がる模様。

この記事の監修者

菊川弘之

東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社

NSトレーディング株式会社

代表取締役社長 菊川 弘之

NY大学留学。その間GelberGroup社、FutureTruth社などでトレーニーを経験。
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。

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  • 今週は、米連邦公開市場委員会(FOMC)、ECB理事会、日銀金融政策決定会合が予定されている。

  • 今週の注目は、米中首脳会談。中国の王毅外相兼中共中央政治局委員がワシントンで10月26-27日に米国のブリンケン国務長官と会って以来、「イスラエル・ハマス戦争」「ロシア・ウクライナ戦争」に関して「習近平仲介論」が浮上している。

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