Weekly Report 2023年4月24日(月)
2023年4月24日
週間展望(4/24~4/30)
このページで知れること(目次)
週間予定:米第1四半期GDP速報値・日銀金融政策決定会合
前週Review:総合指数、41年3ヶ月ぶりの水準
ドル円:追加利上げ観測高まるも、上値は限定的
金:NY金の2000ドル割れは、ダマシか?
金ETF
週間予定:米第1四半期GDP速報値・日銀金融政策決定会合
米第1四半期GDP速報値が注目。市場予想は前期比年率+2.0%と、3四半期連続でのプラス圏が見込まれている。強気の数字となれば、5月に続き、6月のFOMCでの利上げ継続観測を織り込みに行く流れへ。
前週Review:総合指数、41年3ヶ月ぶりの水準
【消費者物価指数】
総務省が21日発表した3月の消費者物価指数(CPI、2020年=100)は、変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が104.1となり、前年同月比で3.1%の上昇。
政府による電気・ガス料金の抑制の一方で、食料品を中心に生活必需品の値上がりが続き、伸び率は前月と横ばいだった。19ヶ月連続のプラスで、高水準の上昇幅が続いている。
伸び率が横ばいになるのは22年5月以来、10ヶ月ぶり。上昇率はQUICKが事前にまとめた市場予想の中央値(3.1%)と同じ。日銀の物価目標である2%を上回る状況が続く。生鮮食品を含む総合指数は前年同月比3.2%上昇で、プラス幅は2月から0.1ポイント縮小。
生鮮食品とエネルギーを除く総合指数は前年同月に比べて3.8%上がった。上昇率は2月から0.3ポイント拡大。消費税導入時の伸び率を上回り、1981年12月以来、41年3ヶ月ぶりの水準。2022年度の生鮮食品を除く総合指数は103.0で、前年度から3.0%上昇。ロシアによるウクライナ侵攻を受けた電気代などの上昇や食料品などの物価高で、上昇率は1981年度の4.0%に次ぐ41年ぶりの水準となった。
上昇傾向は長期化
食品値上げ圧力が強く、4月に政府小麦売り渡し価格も上げており、値上げは持続する見通し。次回の4月分は年度が替わり、多くの企業で価格改定が行われた事が反映される。食品メーカーは今後の価格上昇要因としてトラック運転手の残業規制が強化される2024年問題(物流コストの増大)や、電力料金が引き上げなどを上げている。物価上昇傾向が長期化する可能性に注意したい。
ドル円:追加利上げ観測高まるも、上値は限定的
【今週見通し・戦略】
先週レポートで≪インフレ動向や、利上げ継続見通しに関しては、市場の見方は分かれており、米債務上限問題が控えている事もあり、様子見ムードが高まり、狭いレンジ相場で放れ待ちへ移行の可能≫としたが前週はドル高方向を試す動きで始まったが、上値は限定的。日米欧の金融政策を控え、日替わりで上下動する気迷い的な値動きとなった。
14日にウォラーFRB理事は、「最近のデータは米金融当局がインフレ目標に向けて大きな進展を遂げていないこと示している」「より一層の金利引き上げが必要となる」「金融政策はかなりの期間、引き締めを維持する必要がある」などと述べた。
18日にブラード米セントルイス連銀総裁は、最近のデータでインフレがなお根強く続いていることが示されたとし、利上げを継続する必要があるとの見解を示した。「政策金利を5.5~5.75%に引き上げるべき」「市場は近い将来の利下げを予想しているようだが、労働市場は力強く、下期にリセッションに陥ると予想する時期ではない」と述べた。ボスティック米アトランタ連銀総裁は、「あと1回の利上げが基本シナリオで、その後は据え置きに入ることを支持する」と述べた。
CME FEDウォッチによると、5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では政策金利据え置きの確率が15%前後、0.25%の利上げ確率が85%前後となっている。6月に追加で0.25%の利上げする確率は23%前後に上昇中。ただ、ドル買い要因であるものの、米債務上限問題などが控えており、積極的にはドル買いにはつながりにくい。200日移動平均線を上抜かない限り、上値は限定的だろう。
【今週見通し・戦略】
27~28日の日銀金融政策決定会合は、植田新総裁のもとでの最初の会合となる。新総裁として初回の会合でもあり、これまでの発言でも金融緩和姿勢の維持を表明しており、政策変更には動かないとみられる。ただ、今後の布石として、イールドカーブコントロール(YCC)の見直しなどの政策変更に言及、あるいは含みを持たせると、円高へのバイアスがかかりやすくなるかもしれない。
いずれにしろ、なんらかのサプライズでもない限り、大きなトレンドは生じ難い地合いが続きそうだ。
金:NY金の2000ドル割れは、ダマシか?
【今週見通し・戦略】
4月19日(水)のSTOCK-VOICEで
≪場違い筋の金相場強気の見方の増加傾向から、振り落としの調整安の可能性や、結局は、その安値が買い場となる。GWを前に、水星の逆行期入りや新月が重なる時間帯で、高値の節目を付けやすい時間帯に向かう≫とお話ししたが、NY金が2000ドルを維持できずに、週末を終えた。
5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に、FRBメンバーからタカ派発言が相次いだこともあり、利食い売りが出たことに上値を抑えられた。
FOMCへ向けて、NYは上値が抑えられる可能性はあるものの、下値は限定的だろう。大きな流れの中での米覇権・ドルの基軸通貨体制の揺らぎがテーマとなっており、ドル離れ・中央銀行の金買いは継続している。中期的にも、米国の債務上限問題は、依然として何ら解決の目途は立っていない。
一旦、NY金が2000ドルで頭打ちしても、三尊天井が完成する(弱気転換)には、1600ドル近辺にあるネックラインを割り込む必要があるが、その可能性は極めて低い。
押し目買い継続
JPX金も三角保合いを上放れて以降、連続陽線で上げが加速していたこともあり、この段階での押し目は過熱感のガス抜きの為には歓迎するところだ。
こちらも調整が入っても、長らく抵抗だった8000円水準は、強い下値支持帯に変化しており、同水準への押し目形成場面があれば、新たに買いを仕込む機会を提供することとなろう。新月(4/20)の時間帯に高値の節目を付けたが、満月(5/6)の時間帯には安値の節目(中長期的な買い場)を付けるかもしれない。
金ETF
この記事の監修者
東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社
取締役 菊川 弘之
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。