金:ユーロ安は短期売り・長期買い要因|【Weekly Report】週間予定
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2026年10月12日
週間展望(10/12~10/18)
このページで知れること(目次)
週間予定:IMF世銀年次総会、米消費者物価指数、米小売売上高
前週トピックス:メタルズ・フォーカス年次報告
ドル円:仏財政懸念でのユーロ売り強まる
金:ユーロ安は短期売り・長期買い要因
【海外投資家動向(225)】
【CME FED WATCH】
金ETF
週間予定:IMF世銀年次総会、米消費者物価指数、米小売売上高

・IMF世銀年次総会
ウォーシュFRB議長が講演、ブラックアウト入り直前
・米消費者物価指数
燃料代負担増が他消費圧迫、ガソリン価格7.3%上昇
・米小売売上高
新学期商戦の反動で伸び鈍化へ、ガソリン以外は弱いか
・日銀植田総裁と小枝委員講演
早期追加利上げに前向き姿勢示すか注目
・日本企業物価指数
原油高とAI需要で前年比4カ月連続で7%超え見通し
・仏政治経済の混乱継続
左派LFI主導全国デモ実施、学生大規模デモ再開
前週トピックス:メタルズ・フォーカス年次報告
【メタルズ・フォーカス年次報告】




貴金属コンサルティング会社メタルズ・フォーカスは年次報告書で、金価格が2027年に過去最高値を更新するとの見通しを示した。根強いインフレや米財政赤字の拡大、政策の不透明感を背景に、従来のドル建て資産に代わる投資先を求める投資家の動きが上昇を後押しする。
2027年の金の平均価格は、現在の水準を約22%上回る1オンス=5330ドルになる見通し。ただ、米連邦準備理事会(FRB)が目標を上回るインフレに対処するため、金融引き締めをさらに進める可能性があり、短期的には逆風となり得るとした。
銀についても、金を支えるマクロ経済要因の多くから恩恵を受け、今後12~18カ月に上昇すると予想。現物市場の需給逼迫ではなく、投資家の関心の再燃が上昇を支えると指摘。銀の平均価格は26年第4・四半期の1オンス=70ドルから、27年第4・四半期には90ドルを上回ると見込んだ。
白金は現物の需給逼迫が和らぐものの、供給不足の継続が価格を支える見通し。27年の平均価格を1オンス=2060ドルと予想し、年間の供給不足は5年連続になるとした。
ドル円:仏財政懸念でのユーロ売り強まる
【今週見通し・戦略】



個人消費支出(PCE)物価指数が予想を下回ったことに加え、労働市場の軟化を示唆する雇用統計を受け、10月のFOMCで追加利上げに踏み切るとの観測が後退。
ドル円は、上値が抑えられたものの、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の資産構成の見直しを巡る思惑の後退で、円売り・ドル買いが出て下値は支えられた。米ブルームバーグ通信は5日、「GPIFが9月に開いた経営委員会で、基本ポートフォリオの検証に関する報告がなかったことが分かった」と報じた。
円金利が上昇するなか、市場ではGPIFが外国資産を減らし国内債券を増やすとの思惑が高まっていたが、報道を受け、資産構成の見直しに関する議論は今のところ前進していないとの見方が強まった。
フランスでは政治・財政運営に対する懸念が根強く、対ユーロで円買いの勢いが強まり、対ドルの円買いに波及した面もあった。強弱材料交錯で、52週移動平均線を中心とした狭い保合いが続いた。トランプ大統領は8日に米中間選挙前にイランを攻撃しない意向を示した。米ミシガン大学が9日発表した10月の米消費者態度調査で1年先のインフレ予想が4.7%と前月から0.1ポイント上昇。長期のインフレ予想も切り上がった。
155円割れなら下げ加速も
7月高値を起点とした下降トレンド継続。200日移動平均線の攻防戦。ネックライン155円を割り込むと、リターンムーブからの反落パターンとなる。
金:ユーロ安は短期売り・長期買い要因
【今週見通し・戦略】


前週の当欄で≪最大の買い手である中国勢が中秋節・国慶節に伴う長期休暇の中、フランス債務問題などからのユーロ安から支持線を割り込んだが、金を取り巻く環境に変化はなく、押し目を買い拾う戦略を維持したい。休暇明けの中国勢が買いを入れる流れへ≫としたが、NY金(12月限)は、ソーサーボトム形成時レンジ下限と重なる心理的節目4000ドルが下値支持として機能した。米マクロ経済指標の多くが弱気となったことで、米早期利上げ観測が後退。NY金(12月限)は、4000ドル水準では長期休暇明けの中国勢が買いを入れる流れとなった。一方、短期的なリスク要因は、フランスの格下げに伴うユーロ安だ。目先は10月23日のムーディーズ発表が山場だ。現段階でのムーディーズ格付けは「Aa3」だが、フィッチとS&Pは既に、「A+」まで格下げしている。仏大統領選(2027年4月)を控え、現職のマクロンは再選不可・議会は分裂という中、左派:ジャン=リュック・メランション氏(債務の一部帳消しを提案)・右派:マリーヌ・ル・ペン氏(減税・社会政策維持)の、どちらが勝っても財政が良くならないという状況だ。
フランス債務問題
市場が警戒するシナリオは、単純な「フランス版トラス・ショック」ではなく、「ドイツというユーロ圏のアンカーが弱っている状態で、フランス国債問題が起きる」ことだ。ユーロ危機(2009年~2012年)時は、ギリシャ・ポルトガル・スペイン・イタリアなど周縁国が問題になり、ドイツがアンカー(支える側)となったが、今回は、「フランス:高債務・高赤字」+「ドイツ:低成長・産業競争力低下・財政拡張」+「ウクライナ戦争:防衛・エネルギー負担増」という構図だ。短期的には、ユーロ安が金の上値を抑える可能性はあるものの、中長期的にはユーロの不安定化・世界的な債務問題は、「通貨の顔」や「安全資産」としての金の価値を高めるもので、押し目を買う戦略は有効となろう。
【海外投資家動向(225)】

【CME FED WATCH】

金ETF

この記事の監修者
東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社
取締役 菊川 弘之
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。

