金:米金利引き下げ観測の後退を嫌気②|【Weekly Report】週間予定
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2026年3月30日
週間展望(3/30~4/5)
このページで知れること(目次)
週間予定:雇用統計、日銀短観
前週トッピクス:「米・イスラエルvsイラン」停戦交渉を巡る動き
ドル円:日本の貿易赤字拡大懸念・有事のドル買い
金:米金利引き下げ観測の後退を嫌気
【海外投資家動向(225)】
【CME FED WATCH】
金ETF
週間予定:雇用統計、日銀短観

・トランプ大統領警告タイムリミット
「48時間以内(日本時間24日朝)にホルムズ海峡を完全に開放しない場合、イランの発電所を攻撃し、壊滅させる」と表明。⇒27日まで延期。
⇒4月6日まで(日本時間4月7日午前9時まで)再延期(26日発表)
・欧州3月消費者物価指数
米イラン戦争の影響が色濃く反映、インフレ急加速へ
・東京3月消費者物価指数
エネルギー価格高騰が政府物価高対策を相殺で横ばいか
・日銀3月主な意見
植田総裁が円安や原油高に言及、市場はやや「タカ派」と判断
・米雇用統計
雇用者数増加に転じる見込み、2月のストライキや悪天候から回復
前週トッピクス:「米・イスラエルvsイラン」停戦交渉を巡る動
【停戦交渉】


トランプ米大統領は3月26日、イランの発電所への軍事攻撃を4月6日まで延期すると表明した。同日を停戦交渉に向けた事実上の期限と定め、短期決着をもくろむ。米軍には地上作戦も含めた大規模攻撃の準備を指示した。イラン側に圧力をかけて決断を迫る。
周辺国は早期停戦の実現を目指し、活発に交渉しているが、パキスタンのダール副首相は29日、アメリカとイランの戦闘終結に向けた協議を仲介するパキスタンの役割について、全面的な支持を得た。
一方、沖縄駐留の即応部隊、第31海兵遠征部隊が27日、中東海域に到着した。米海軍佐世保基地(長崎県佐世保市)に配備された強襲揚陸艦トリポリに同部隊の兵士ら約3500人が搭乗している。米軍は増派を急いでおり、強襲揚陸艦ボクサーも米西海岸から向かっている。陸軍の精鋭、第82空挺師団の部隊に派遣命令を出した。ペルシャ湾にあるイランの石油輸出拠点、カーグ島などを急襲する案が浮上している。
トランプ政権は攻撃拡大をちらつかせながら、イランに停戦条件の受け入れを迫る構えだ。4月1日~9日までユダヤの祝日(過越祭:ペサハ)が始まり、この期間で協議が進むか否かが焦点。
ドル円:日本の貿易赤字拡大懸念・有事のドル買い
【今週見通し・戦略】

ドル円は、有事のドル買いと、中東から原油輸入依存度が高い日本が、原油輸入価格の上昇を通じて、日本の貿易赤字が拡大するとの見方から円売り・ドル買いが継続。米国・イスラエルとイランの軍事衝突を巡る不透明感が根強く、基軸通貨としてのドル買いが優勢だった。
米国が仲介役のパキスタンを通じて15項目の和平計画をイランに送ったと24日に伝わった。一方、25日にはイランは米国の停戦案を拒否すると報じられた。イラン国営放送はイランは5つの条件を提示し、同国が望む時期と条件を満たした際に停戦は実現可能との考えを示したと伝えた。イランのアラグチ外相は米国との協議はないと話したとの報道もあった。
前週末に米国・イスラエルとイランの武力衝突が一段と激しくなるとの懸念が根強く、有事のドル買いが続いた。一時160円42銭と、2024年7月以来1年8ヶ月ぶりの安値を付けた。
イラン攻撃再延期
トランプ大統領は26日、イランのエネルギーインフラへの攻撃を4月6日まで延期すると表明した。イランと協議を継続しているとしたものの、市場では停戦の実現には距離があるとの警戒が広がっている。27日にはイランのウラン関連施設が米国とイスラエルの攻撃を受けたと伝わった。中東情勢を巡る不透明感から流動性が最も高い通貨であるドルに資金が流入した。
片山さつき財務相は27日、円相場の動向を巡って「断固とした措置も含めてしっかりと対応していく」と述べた。日本政府・日銀のよる円買いの為替介入に対する警戒感がドル円の上値を抑えた。
大口投機玉の偏りは小さく、160円超での口先・単独実弾介入があっても、米国・イスラエルVSイランの停戦・終戦がなければ、ドルが買われやすい地合いが継続しそうだ。
上値目標は、E=163.28円、V=163.09円。下値支持157.50円。
金:米金利引き下げ観測の後退を嫌気
【今週見通し・戦略】

先週のNY金(4月限)は、早期米利下げ観測が後退する中、米長期金利の上昇基調を受けて売りが加速し、大幅続落した。
パウエルFRB議長は「インフレ鈍化が進展しなければ、利下げはない」と明言。早期利下げ期待の後退を受け米長期金利の指標である10年債利回りが急上昇すると、金の売りが活発化した。
FRBをはじめ、日銀、欧州中央銀行(ECB)、英イングランド銀行(中央銀行)などの主要中銀は今週、金融政策会合を開き、いずれも金利据え置きを決定。米国とイスラエルのイラン攻撃に端を発した原油高騰が続く中、インフレの上昇リスクを警戒し、利下げに対して慎重な姿勢を強めていることが金の売り要因となっている。
価格帯別出来高の厚い5000ドル~5200ドルが上値抵抗帯に変化。
3月23日に長い下ヒゲで付けた安値(4100ドル)~心理的節目4000ドルが、当面の底値候補。
ホルムズ海峡は国際海峡であり原則として通過自由(通過通航権)が認められている。スエズ運河のような「通行料を払う仕組み」ではないものの、ここにきてホルムズ海峡通過に関して、イスラム革命防衛隊が運営する許可制回廊で、船舶1隻当たり200万ドルを人民元で支払うという話が浮上している。現在、海峡の外で400隻が待機中。タンカー150隻。ばら積み船120隻。その他130隻。イラン領海内のララク島とゲシュム島間の5海里チャンネルに入るための革命防衛隊海軍の許可を待っている。
ペトロダラーの終焉
既に、イラン産原油は中国向けがほとんどで、米ドル決済ではなく人民元決済に移行している。ドルが金本位制廃止の後、基軸通貨体制を維持したのが原油決済を米ドルで行うというペトロダラー体制であったが、これが大きく揺らいでいる。歴史的な流れの中で、この事実は、金にとっては強い買い要因となる。
【海外投資家動向(225)】

【CME FED WATCH】

金ETF

この記事の監修者
東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社
取締役 菊川 弘之
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。

