金:5000ドルを中心とした保合い上放れ|【Weekly Report】週間予定
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2026年3月2日
週間展望(3/2~3/8)
このページで知れること(目次)
週間予定:米イラン攻撃・雇用統計・全人代
前週トッピクス:「エピック・フューリー=壮絶な怒り」作戦
ドル円:リスク回避の円買いVSエネルギー高による円売り
金:5000ドルを中心とした保合い上放れ
【海外投資家動向(225)】
【CME FED WATCH】
金ETF
週間予定:米イラン攻撃・雇用統計・全人代

・米雇用統計
ウォラーFRB理事が2月も堅調なら3月FOMC「据え置き」支持を示唆
・氷見野日銀副総裁
植田総裁は利上げ前向き姿勢、高田委員は政策遅れリスク指摘
・リーブス英財務相
春季財政報告と最新経済見通し発表、GDP予想下方修正見通し
・中国全人代
第14期全人代第4回会議として開かれ、2026年〜2030年の中期的経済目標となる「第15次5カ年計画」の決定や、
2026年の成長目標(「4.5〜5%」への引き下げ観測)の発表、不動産不況対策などが主な焦点。
今年も成長率目標「5%前後」か、米中摩擦で4.5%~5.0%設定予想も
・片山財務相と植田日銀総裁フィンテックイベント出席
金融経済発言は期待薄
「エピック・フューリー=壮絶な怒り」作戦
【壮絶な怒り】


米国とイスラエルは2月28日、イランへの攻撃「エピック・フューリー=壮絶な怒り」を開始した。トランプ大統領はSNSに投稿した動画で「イランは核の野心を放棄するあらゆる機会を拒絶した。容認できない」と攻撃を正当化した。「イラン政権からの差し迫った脅威を排除し、米国民を守る」と語った。イスラエルのカッツ国防相は28日、イランに先制攻撃を実施したと発表。イランは即日、報復攻撃に出た。国営メディアによると、イラン革命防衛隊はアラブ首長国連邦(UAE)やバーレーン、カタールの米軍基地を攻撃したと発表。焦点は、イランがどの程度の反撃能力を持ち、現段階で行使する意思があるか。
米国のイラン攻撃を日本が支持することを、日米首脳会談に向けて求められるだろう。高市首相の不用意発言が出ると、日本外交に大きな影響を与える。米エネルギーの高価格での長期契約や、武器購入、シーレーン防衛費などなど、米国の利益になる案件を突き付けられる。
ドル円:リスク回避の円買いVSエネルギー高による円売り
【今週見通し・戦略】

ドル円は、イランの核開発協議に伴う「地政学」という変数が加わり、155円が下値支持に変化するのか(150-160円レンジ)、上値抵抗として機能するのか(150-155円レンジ)の見極め段階の中、方向感に乏しい展開となった。
23日に米最高裁によるトランプ相互関税の違法判断を受けた混乱でアジア市場にドル売りが先行したが、24日に毎日新聞が高市首相の追加利上げへの難色を報じたことを機に、156円台へ水準を切り上げた。25日には政府が、日銀審議委員の後任にリフレ派とされる浅田中央大名誉教授と、緩和維持寄りとされる佐藤青山学院大教授を指名したことで日銀の早期利上げ観測が一段と後退。浅田氏は3月31日に任期満了となる野口旭氏の後任で、佐藤氏は6月29日に任期満了となる中川順子氏の後任となる。任期は5年間。
ただ、26日には植田日銀総裁が読売新聞のインタビューで早ければ3月の利上げに含みを持たせ、高市首相も「金融政策は日銀に委ねるべき」と軌道修正したことで、ポジション調整が優勢となり、一方向の動きは続かなかった。ロンドン勢の参入とともに過度な反応は修正された。
25日のトランプ大統領一般教書演説は、中間選挙へ向けた民主党非難が続く、国内分断を後押しするような内容だったが、市場への影響は限定的。
雇用統計
今週は、米雇用統計など、注目度の高い経済指標の発表が相次ぐ。非農業部門雇用者数の事前予想は6.0万人増(前回13.0万人増)、失業率の事前予想4.4%(前回4.3%)。
前週末に、米国・イスラエルによるイラン攻撃が実施された。情報は錯綜しており、双方の限定的攻撃・限定報復になるか否かが焦点。限定的なものであれば、週明けの予想されるリスク回避の動きも限定的となるが、長期化・インフレ圧力が高まってくると、マクロ経済指標よりも、地政学リスクに市場の関心が向くことに。 悪い円安が意識される。
金:5000ドルを中心とした保合い上放れ
【今週見通し・戦略】

NY金(4月限)は、膨れ上がっていた大口投機玉の買いポジションも整理され、改めて買い直されやすい地合いの中、米関税措置を巡る不透明感を背景に5000ドルを中心とした三角保合い上放れとなった。季節的な春高に向けた動きが開始された格好だ。
覇権の移行
世界最大の金消費大国である中国が、春節明けから参加者が戻ったことも一因。香港政府は100%出資の清算機関「香港貴金属中央結算系統」を立ち上げ、年内に試験稼働を始める。さらに3年以内に金保管施設の容量を2000トン超に引き上げる。人民元の裏付けとなる金の現物を域内に置き、決済の信頼性の担保を担う。中国本土の上海黄金交易所(SGE)と包括協定を結び、共同で国際的な金の清算システムのガバナンスやルール作りを行うとしている。歴史を振り返ると、覇権の移行と共に、金市場の価格決定権も、ロンドン(金現物)からNY(先物市場)へ移行し、次のステージとして中国が現物・先物市場を整え始めてきた流れだ。
こうした中、米国・イスラエルは、イランを軍事攻撃した。イランの最高指導者ハメネイ師が死亡、トランプ大統領は演説で、体制転換を狙う考えをにじませた。攻撃が限定的なら原油高は一時的。2025年の米国による「真夜中の鉄槌作戦」では、NY原油は70ドル台まで上値を伸ばしたが、攻撃実施が「天井」となり、「知ったら終い」で急反落となった。NY金は、2025年攻撃時には、ほとんど反応しなかった。一方、ホルムズ海峡封鎖などになれば、金・原油は暴騰となる。
国際通貨基金(IMF)は、財政赤字の対国内総生産(GDP)比率は今後数年間、ベッセント米財務長官が目標とする水準の2倍超に当たる7~8%に高止まりし、一般政府債務は2031年までに対GDP比140%に達すると見込んでいる。金に対する需要は高まることはあっても後退することは考えにくい。5000ドル水準で底固めした金相場は、まずは心理的節目5500ドル~1月高値、N=5575.5ドル、E=58635.8ドルなどを試す流れとなるだろう。
【海外投資家動向(225)】

【CME FED WATCH】

金ETF

この記事の監修者
東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社
取締役 菊川 弘之
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。

