金:三角保合い上放れ|【Weekly Report】週間予定
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2025年12月15日
週間展望(12/15~12/21)
このページで知れること(目次)
週間予定:日銀金融政策決定会合・米雇用統計
前週:米連邦公開市場委員会(FOMC)
ドル円:日銀金融政策会合を受け、ネックラインの攻防戦へ
金:三角保合い上放れ
【海外投資家動向(225)】
【CME FED WATCH】
金ETF
週間予定:日銀金融政策決定会合・米雇用統計

・日銀金融政策決定会合
利上げ織り込み済み、植田総裁慎重姿勢なら円売り加速か
・11月米雇用統計
非農業部門雇用者数は10月分も合わせて発表
・11月米消費者物価指数
可能な範囲で10月分も併せて発表
・英中銀政策金利
利下げ見通しもインフレ懸念で意見分かれる可能性
・ECB政策金利
ラガルド総裁は成長見通し引き上げの可能性を示唆
前週:米連邦公開市場委員会(FOMC)
【米連邦公開市場委員】

米連邦準備理事会(FRB)は、米連邦公開市場委員会(FOMC)で、3会合連続となる0.25%の利下げを決定した。3人が反対票を投じた。参加者の予想(中央値)では2026年にあと1回の追加利下げを実施する見通し。
カンザスシティー連銀のシュミッド総裁は前回会合に続いて金利の据え置きを主張した。今回はシカゴ連銀のグールズビー総裁が加わった。一方、トランプ米大統領の指名で9月に就任したミラン理事は3会合連続で通常の倍となる0.5%の利下げ幅を求めて反対票を投じた。
26年にはクリーブランド連銀のハマック総裁など利下げに慎重な「タカ派」の地区連銀も新たに投票権を持つ。
パウエル議長は「今後のデータに基づいて追加調整の程度とタイミングを判断するのによい位置にある」と述べた。政策金利が経済を熱しも冷ましもしない中立金利の推計範囲に入ったとして「経済がどのように推移するかを見守るのに良い態勢にある」と述べ今後は会合ごとに判断すると強調した。
3ヶ月おきに公表する経済見通しでは、投票権を持たない参加者も含めた計19人の内、7人が26年中に政策金利をこれ以上引き下げないと予想した。
1回の追加利下げは4人、2回が4人、3回が2人、4回が1人とばらけた。ミラン氏とみられる1人は実現しなかった今会合での大幅利下げに加えて26年に5回分の追加利下げを主張した。
26年10~12月期の失業率は参加者予測の中央値が9月の前回見通しと同じ4.4%だった。前年同期比でみた実質経済成長率は1.8%から2.3%に引き上げられたが、引き続き雇用の減速リスクが利下げ圧力になる。
ドル円:日銀金融政策会合を受け、ネックラインの攻防戦へ
【今週見通し・戦略】


12月FOMCでの利下げ期待や、日銀金融政策決定会合での利上げ観測を背景に、154円台前半までドル売りが進んだものの、その後は、ドルの買い戻しと円売りが重なり、9日には157円手前までドル買い円売りが進んだ。
日本の財政悪化懸念による円売りや、米10月雇用動態調査(JOLTS)求人件数の堅調な結果なども、ドル円の上昇の一因となった。
12月FOMCでは、市場予想通り0.25%の利下げを決定した。利下げは3会合連続。なお、今回は3名が反対票を投じた。声明では、「追加調整の規模とタイミングを検討していく」との意向を示した。さらに短期国債を買い入れる方針を示した。
今週は米経済指標や日銀会合が注目。16日には11月の米雇用統計と10月の米小売売上高、17日には米11月消費者物価指数が発表される。市場予想は、非農業部門雇用者数は前月比5.0万人増、失業率は4.4%。10月の米小売売上高は前月比+0.3%、除 く自動車は前月比+0.3%。市場予想比、良好ならドル買い、悪化するようならドル売りに傾きそうだ。米11月消費者物価指数の市場予想は前年比+3.1%、コア前年比は+3.0%となっている。
米0.25%利下げ
日銀会合では、0.25%の利上げが織り込み済み。植田総裁の記者会見が注目。当面の利上げ打ち止め姿勢が示唆されるような発言などが出ると、利上げしても、押し目が買い直される可能性も。介入催促相場になるようだと、変動が高まりそう。一方、追加利上げが示唆されたり、可能性は低いものの利上げと同時に介入が実施されるようなら、ネックライン(12/5安値)を割り込み下げ加速のシナリオも想定される。
金:三角保合い上放れ
【今週見通し・戦略】

12月のFOMCで、政策金利を3会合連続で0.25%引き下げることを決定。パウエルFRB議長は会見で、今後の利下げを排除しなかったことで、安心感が広がり、米金利低下・NYダウは史上最高値更新・NY金は三角もち合い上放れで上げ加速となった。
米利下げ継続観測
テクニカル分析からは8月から2ヶ月かけて上昇した流れが、同じく2ヶ月の日柄調整後に上放れたことで、新たな上昇トレンドが再開した格好だ。10月高値を明確に上抜けると、より大きな三角保合い上放れとなる。
10月高値(4433.0ドル)、N=4385.2ドル、V=4538.4ドル、E=4638.0ドルなどが一目均衡表からはカウント可能。価格帯別出来高の厚い4150ドル~4200ドルが下値支持帯。
トランプ米大統領は12月2日、FRB次期議長人事を2026年の早い段階で発表する意向を示した。米国家経済会議(NEC)のハセット委員長を選ぶ可能性が高いと報じられており、米政権の意向をくんで来年も利下げが続くとの観測が強いことも上昇の一因。過去の季節傾向では、秋の需要の端境期で調整が入りやすい時間帯を経て、金相場は年末年始高パターンが確認できる。
ロシア・ウクライナの和平協議が前進すれば、「原油安」→「インフレ鎮静」→「米利下げ継続観測」も高まりそうだ。トランプ米大統領は25日のクリスマスまでの合意実現を目指しているとされる。
ダブルバブル
金価格と株価が同時に急騰している相場について国際決済銀行(BIS)は、年次報告書で、金価格と株価がともにバブル相場になっている可能性が浮上していると指摘。金の今年の値動きは、従来のパターンとは大きく異なるとし、今回の興味深い現象は、金が投機的資産に極めて近い性質を帯びた点だと言及した。BISはAI関連銘柄の過大評価や、ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)が最近2割急落したことを踏まえて、「脆弱性の拡大」の警告を発した。もし株式と金が同時に暴落した場合には、投資家はどこに避難すればいいのかという問題が立ちはだかる。と警鐘を鳴らした。
【海外投資家動向(225)】

【CME FED WATCH】

金ETF

この記事の監修者
東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社
取締役 菊川 弘之
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。

