金:三角保合い放れ待ち|【Weekly Report】週間予定
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2025年12月8日
週間展望(12/8~12/14)
このページで知れること(目次)
週間予定:米連邦公開市場委員会(FOMC)・日銀総裁講演
前週:国家安全保障戦略(NSS)
ドル円:2026年末の政策金利見通しの変化が焦点
金:三角保合い放れ待ち
【海外投資家動向(225)】
【CME FED WATCH】
金ETF
週間予定:米連邦公開市場委員会(FOMC)・日銀総裁講演

・植田日銀総裁がFTイベント出席
インフレや金利、円の価値について質問受ける
・日本GDP改定
設備投資前期比マイナス受け速報から下方修正される見通し
・日本実質賃金
10カ月連続マイナス見通し、物価高に追いつかない状況続く
・FOMC
3会合連続利下げが見込まれる、26年以降の利下げ見通しに注目
・豪中銀政策金利
よりタカ派的なら早期利上げ観測高まる、インフレ高止まり
・米ブロードコムの決算
内容次第では、AI関連株に影響を与える
FRBブラックアウト期間(金融政策に関する発言自粛)(11日まで)
前週:国家安全保障戦略(NSS)
【国家安全保障戦略】

第2次トランプ政権初めての国家安全保障戦略(NSS)が発表された。
「台湾情勢を巡り、中国への抑止力を強める姿勢を示した」ことを嬉々とした声もあるが、中身を見れば、米国の国益を優先し、中南米を中心とした「西半球」への対応を重視する外交に転換する姿勢を打ち出すと共に、日本や韓国などの同盟国に「自分の地域で主要な責任を引き受ける」よう求めた。沖縄や台湾などを結ぶ「第一列島線」の防衛が重要だと強調し、アメリカ軍単独で防衛することは不可能だとして、日本や韓国などに防衛費を増額するよう求めた。台湾とオーストラリアにも国防費増額を求める方針を記した。
モンロー主義への回帰
世界の紛争に積極的に介入してきた歴代政権の外交・安保戦略を否定。「他国のことに関心を払うのは米国の利益に関与する場合のみだ」と明言した。米国は世界に介入せず南北アメリカの縄張りを守るという「モンロー主義」への回帰を打ち出した。地域別では南北アメリカ大陸を含む「西半球」を文書の最初に記し、重視する姿勢を鮮明にした。「長年、軽視してきたが、西半球における米国の優位性を回復する」と言及した。
従来の戦略文書と異なり「今後の米国の安保戦略が、米国経済と米国民の安全確保、移民抑制が最優先」と、冷戦終結後初めて、米国が「覇権主義」を放棄すると鮮明に示した。
ドル円:2026年末の政策金利見通しの変化が焦点
【今週見通し・戦略】


先週のドル円は、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ期待の高まりに加え、日銀金融政策決定会合での利上げ観測が意識され、円高ドル安継続で、心理的節目155円の攻防戦となった。4日には「日銀が12月に利上げの可能性、日本政府も容認の見通し」 と報じられ、154円台半ばまで下落。
5日も155円台を割り込んだが、いずれも押し目は買われ下ヒゲ形成。終値ベースでは155円を維持している。
米国では、11月のISM製造業景況指数が48.2と市場予想(49.0)を下回り、ADP雇用者数は前月比3.2万人減となり、市場予想(2.1万人増)に反して予想外の減少を示した。日本では、12月1日に植田総裁は講演で、「経済・物価の中心的な見通しが実現していく確度は、少しずつ高まってきている」と語った。18~19日の日銀金融政策決定会合では「利上げの是非について、適切に判断したい」と言及。2025年1月以来となる利上げが近いことを示唆したことで、利上げ観測が一段と高まった。長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは一時、1.95%に上昇(債券価格は下落)。日銀の利上げ路線が続くとの見方から、債券売りが広がっている一方、高市政権の積極財政姿勢に伴い、国債増発への懸念も根強い。
12月米利下げ観測
今週は、FOMCでの0.25%の利下げは織り込み済み。FOMCメンバーによる政策金利見通し(ドット・チャート)で、2026年末の政策金利見通し「9月時点で3.4%(6月時点で3.6%)」の変化が焦点となる。
155円-160円レンジが、150-155円レンジへ切り下がるか否かに注目。
金:三角保合い放れ待ち
【今週見通し・戦略】

NY金(2月限)は、12月FOMC(連邦公開市場委員会)を控えて、三角保合い放れ待ち。上放れた場合の上値目標は、10月高値(4433.0ドル)、N=4385.2ドル、V=4538.4ドル、E=4638.0ドルなどが一目均衡表からはカウント可能。価格帯別出来高の厚い4150ドル~4200ドルが下値支持帯。
米利下げ継続観測
複数のFRB高官から、12月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げを支持する発言が相次いでいた中、ベッセント財務長官は、早ければクリスマス前後と述べていたが、トランプ米大統領は2日、FRB次期議長人事を2026年の早い段階で発表する意向を示した。米国家経済会議(NEC)のハセット委員長を選ぶ可能性が高いと報じられており、米政権の意向をくんで来年も利下げが続くとの観測も強いことが材料視された。
ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)のデータによると、10月の世界の中銀による金の純購入量は53トンと、前月比36%増となった。
モンロー主義への回帰
米政府が公表した「国家安全保障戦略(NSS)」は、米国は世界に介入せず南北アメリカの縄張りを守るという「モンロー主義」への回帰を打ち出した。従来の戦略文書と異なり「今後の米国の安保戦略が、米国経済と米国民の安全確保、移民抑制が最優先」と、冷戦終結後初めて、米国が「覇権主義」を放棄すると鮮明に示した。国際秩序の再編に伴う米覇権・ドル基軸通貨に対する不安感も金の買い要因。
ビットコイン黎明期の2011年から保有を続けていた著名投資家のオーウェン・ガンデン氏が13億ドル(約2000億円)の保有ビットコイン全てを売却した。ビットコイン現物で運用する米国の上場投資信託(ETF)の資金流出入を見ると11月の流出額は35億ドルと単月で過去最大規模。金と同様に価値保全機能を期待され「デジタルゴールド」と呼ばれるビットコインにもマネーが流入していたが、その基盤の弱さが表面化していることも金にとっては買い要因。ステーブルコイン急落や不正流出などの根本原因は一朝一夕に解決する問題ではない。やっぱり「ゴールド」と言う流れは続きそう。
【海外投資家動向(225)】

【CME FED WATCH】

金ETF

この記事の監修者
東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社
取締役 菊川 弘之
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。

