金:三角保合い上放れ、押し目買い|【Weekly Report】週間予定
2025年9月1日
週間展望(9/1~9/7)
このページで知れること(目次)
米雇用統計、FRB理事候補ミラン氏公聴会、東方経済フォーラム
前週:米・インド関係悪化
ドル円:雇用統計の結果次第で利下げ幅観測の変化も
金:三角保合い上放れ、押し目買い
【日経平均 海外投資家動向】
【CME FED WATCH】
金ETF
米雇用統計、FRB理事候補ミラン氏公聴会、東方経済フォーラム
・米雇用統計
ウォラーFRB理事「25bp支持も、結果次第で9月利下げ規模巡り見方変わるかも」
・FRB理事候補ミラン氏公聴会
大幅利下げ主張 トランプの野心的な目標早期達成の可能性
・日本実質賃金
前回は4ヶ月ぶりにマイナス幅が縮小、植田日銀総裁「賃金に上昇圧力続く」
・両院議員総会
自民党総裁選の前倒しが決まるかどうかが注目
・中国軍事パレード、最新兵器披露へ
プーチン大統領や金正恩氏、イラン首相らが出席
・東方経済フォーラム
プーチン大統領は、中国・天津で「上海協力機構(SCO)」首脳会議に出席。
9月3日には北京で抗日戦勝80年記念行事と軍事パレードに出席する。
同時期に訪中する北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記とプーチン大統領との首脳会談の可能性も。
前週:米・インド関係悪化
【米インド関係悪化】
トランプ大統領が秋に開かれるインド主催のクアッド首脳会合のためインドを訪問する計画がないと報じられた。米インド関係が急速に悪化している。
インドへ追加関税
トランプ氏は5月のインドとパキスタンの軍事衝突を自身が解決したと繰り返し主張し、インドのモディ首相との関係が悪化し始めた。更に、トランプ大統領は、ロシア産原油を輸入していることを理由に、インドに二次関税25%を課し、相互関税と合わせて50%の関税を実施した。インド側にしてみればバイデン政権で決めた上限の中で輸入をしているに過ぎず、ウクライナ戦争以降、ロシア産原油輸入累計は中国、LNGは欧州の方が量的には多いのに、ダブルスタンダードとの不満が強い。インドと異なり、トランプ大統領をノーベル平和賞に押したパキスタンは、当初の関税29%から19%に引き下げられた。
ドル円:雇用統計の結果次第で利下げ幅観測の変化も
【今週見通し・戦略】
ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演で、利下げを示唆したとの見方が広がり、ドル売りの動きとなった。26日には住宅ローンを巡る不正疑惑を背景にトランプ大統領がクックFRB理事を解任すると発表した。この報道を受けて、FRBの独立性への懸念からドル売りの動きが加速。
クック理事は「トランプ米大統領にそのような権限はない。私は辞任しない」と表明したことで戻りを見せたものの、FRBの独立性を巡る警戒感からドルの戻りは限定的だった。
グランビルの売り法則
28日に日銀の中川審議委員が講演を行い、「経済物価見通しが実現していくようなら金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していく」と述べた。中川委員はハト派寄りと言われており、ドル円の上値を抑えた。
52週移動平均線や200日移動平均線に上値を抑えられ、グランビルの売り法則となっており、三尊天井の肩を形成する動き。ネックラインを割り込むと、三尊天井完成となる。一目均衡表からの下値目標値は、N=144.04円、V=143.59円、E=141.45円。
FRB議長次期候補
週足ベースでも、三尊天井を形成中。週足でのネックラインと重なる心理的節目140円を割り込むと、下値リスクは大きくなる。
ベッセント財務長官が次期FRB議長候補の有力な人物(11人)と面談を開始し、後3-4人がトランプ大統領に推薦される。パウエルFRB議長の議長任期は来年5月まで。今週の雇用統計の結果次第では、0.25%の利下げ観測の幅が変わる可能性も。
金:三角保合い上放れ、押し目買い
【今週見通し・戦略】
パウエルFRB議長の「ジャクソンホール会議」での講演を受けて、9月の利下げ期待が強まり、金利低下・ドル安・株高・金高で反応した。
トランプ大統領は、クック米FRB理事が住宅ローン申請書類を巡り不正を働いたとする大統領側近の指摘を受け、解任に踏み切った。
同理事は米大統領による解任通告に対し、連邦裁判所に提訴した。また訴訟が続く間は米FRBが解任措置を取ることを禁じる暫定的差し止め命令を求める申し立てを提出した。この訴訟は米FRBの独立性と米大統領権限の境界を巡る重要な法的争点となる可能性。
米上院銀行住宅都市委員会は、米大統領が米FRB理事に指名したミラン大統領経済諮問委員会(CEA)委員長を巡って、9月4日に公聴会を開催する。
7月の個人消費支出(PCE)物価指数や、米ミシガン大学景況感指数を受け、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げに動くとの観測が拡大から金は買われた。
地政学リスク
ベネズエラと米国の衝突が引き続き警戒されていることは支援要因。米アクシオスによると、トランプ米大統領は4500人の人員を乗せた7隻の軍艦をベネズエラ沖の海域に派遣するよう命じた。この7隻にはミサイル駆逐艦、ミサイル巡洋艦、高速攻撃型原子力潜水艦、海兵隊を伴う水陸両用即応グループが含まれる。
三角保合い上放れ
今後は、FRB議長人事、米雇用統計、PCE、CPI、PPIなどを見極めながら三角保合いを放れつつあり、買い主体の戦略・戦術を維持したい。価格帯別出来高の厚い雲(先行1~2)を下値支持帯として、N=3568.3ドル、V=3714.8ドルなどが試される流れへ。
【日経平均 海外投資家動向】
【CME FED WATCH】
金ETF
この記事の監修者

東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社
取締役 菊川 弘之
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。