白金のシーズナルトレンド
白金の季節的習性、1月、2月は金以上に上昇しやすい
チャートは1985年以降のドル建て白金現物価格の年始からの騰落傾向(シーズナルトレンド)を表したものです。そして背景色を月別に1%以上上昇した月をブル(強気)として赤に、下落した月をベアとして青に、それ以外を緑に色分けしています。
前回紹介した金のシーズナルトレンドは、年間を通じて右肩上がりのトレンドの中、12月~2月に比較的月間上昇率が大きい(1%以上)の月が集中しているというものでした。
では、今回紹介する白金はどうかというと、1月、2月の上昇の勢いが金以上に大きく3月はその余勢から上昇傾向が続くものの、4月以降年末にかけては上下2%程度のボックス圏でのもみ合いが続くという傾向が読み取れます。
では、なぜ白金はこうした季節性が現れるのか?前回の金は主要需要国の需要が集中することをその理由に上げましたが、今回の白金については供給面の要因が大きいという説が有力です。
白金の市場規模は年間250トンほどしかなく、金の15分の1程度にすぎません。その供給の中で、鉱山生産シェアの7割、リサイクルを含めた年間供給合計の5割強を占めるのが南アフリカです。
例年第1四半期はその南アの鉱山がクリスマス休暇明けや夏季休暇が明けても操業が軌道に乗るのにしばらくかかり、精錬生産量が落ち込む季節になります。
生産シェア7割を誇る南アの精錬生産減少はそのまま世界合計の精錬生産合計にも反映されます。
データを遡れる1986年以降では1月と2月の月間平均騰落率合計は6%近くになり、他の月を圧倒しているほか、過去の実績ではこの期間においては金よりも高パフォーマンスになっています。
金/白金レシオは2000年を底に右肩上がりの形を形成しています。これは金の方が白金よりも上昇しているということを表しています。
12月基準の年間のレシオの変化をみると、1986年以降、レシオが低下したのはわずか37%ですが、12月から2月までのレシオ変化をみるとレシオ低下は74%に上ります。
前回の金のシーズナルトレンドで紹介した通り、金にとっても(12月)、1月、2月は好パフォーマンスの季節ですが、白金はそれ以上の上昇を見せやすい季節となります。金とともに白金の動きにも注目したいですね。