いまさら聞けない?金価格の換算方法 | 【公式】日産証券の金投資コラム

いまさら聞けない?金価格の換算方法

2023年10月23日

 

2023年8月30日、国内の大手地金商の金の店頭小売販売価格(税込み)が史上初めて1万円の大台に乗せました。2000年には1000円以下で取引されていましたので、23年間で約10倍になったことになります。

国内では金の価格は1グラム当たり〇〇円と表示されます。一方、金の国際相場では1トロイオンス当たり〇〇ドルという価格表示になります。

トロイオンスとはあまり聞きなれない単位ですが、金以外にも貴金属には一般的にこのトロイオンスを使用します。1トロイオンスは約31グラム(正確には31.1035グラム)の重量となります。

ヤード・ポンド法で使用されるオンス(約28.35グラム)より1割ほど重くなります。

金(貴金属)に関する記事の表記やコメントにはトロイオンスを略してオンスと表示するケースも時々見受けられますが、金(貴金属)に関する場合はすべてこのトロイオンスを意味していますので注意してください。

 

一般にはあまりなじみのないこのトロイオンスの単位に加え、ドル建て表示の金の国際相場、朝起きてテレビのニュースを見ていたらNY市場で金が20ドルも上昇(下落)していたら、「いったい国内相場はどのくらい動くのだろう?」と気になりますよね。もちろん、金投資の王道は「Buy&Forget」(買ったら忘れる)と言われますが、それでもおおよその動きを把握しておくのは悪いことではないでしょう。もし、計算以上に国内相場が下がっているようなら、改めて買い増す好機との判断材料にもなります。

上述の通り金の国際相場はトロイオンス単位のドル建てで取引されます。従ってグラム単位の円建てに換算するには以下の計算式となります。

 

ドル建て金価格【+諸経費※】×ドル円相場(円換算)÷31.1035(グラム換算)=グラム単位円建て金価格

※諸経費に関しては再精錬費用や輸送費が含まれますが、金の本体価格に比べ少額であるため、今回の計算では割愛します。

 

この式に現在の相場水準を当てはめてみます。ドル建て金価格(トロイオンス当たり)を1950ドル、ドル円相場を145円と仮定すると、円建て金価格(グラム当たり)は

 

1950×145÷31.1035≒9090円となります。

 

冒頭の店頭小売販売価格には、これに業者の手数料(30~40円)と消費税(10%)が加算されますので、合計すると1万円を超えることになります。

 
ドル建て相場と金価格

ここからが本題です。

ではドル建て相場が〇ドル動いた時、ドル円相場が〇円動いた時、円建て相場がいくら変動するかを考えていきます。

まずは、現在、ドル建て相場がいくらぐらいなのか、ドル円相場がいくらぐらいなのか大まかな水準を把握しておくことが大切になります。

 

ここでは上記の例で使用したドル建て金1950ドル、ドル円145円で進めていきましょう。

 

まずはドル建て金価格が1ドル動いた時、円建て金はいくら動くかを考えてみます。上記で使用した換算式の金価格に1、ドル円相場を145と入れます。つまり円相場145÷31.1035です。答えは約4.7円。

これが1ドル=145円の時に金が1ドル動いた時の変動幅となります。仮に朝入電のドル建て金相場が前日の東京時間よりも20ドル上昇(下落)していたら、為替の水準が変わっていなければ、94円の上昇(下落)が見込めることになります。

 

次にドル円相場が1円動いていたらどの程度の変動になるか?もうお分かりですね。そうです。今度は換算式のドル円相場に1を、ドル建て金価格に1950を入れます。つまり1950÷31.1035です。答え62.7円。これがドル建て金価格1950ドル付近の時にドル円が1円動いた時の変動幅になります。

 

もし、海外市場で金価格が20ドル上昇して、ドル円相場が1円の円安ドル高で朝を迎えたとしたら、その日の国内市場は金価格上昇分94円と為替の62.7円を合わせた156円程度の上昇が見込めることになります。

 

但し、ドル建て相場の動きと為替が同じ方向に向くということは一般的ではありません。金に限らずドル建てで取引される商品は、主要通貨に対してドルが強くなればドル建て価格は下げ圧力がかかりやすく、弱くなれば上げ圧力が強くなります。為替相場とは相対的な強弱を数字で表したものです。

ここでいうドルの強さ弱さというのはドル円だけではなく主要通貨全体に対する強弱になります。従って外為市場において、円が他の主要通貨と同様に対ドルも動きをしている局面においては、円安の日にはドル建て金は下落しやすく、円高の日にはドル建て金は上昇しやすくなるといった、ドル建て金の要因と為替要因が逆方向になりやすくなります。

円の独自材料が為替相場の変動要因となる局面ではその限りではなく、上記の例のようにドル建て要因と為替要因が同じ方向になるケースもあります。

 

最後に、下記は金価格換算早見表です。為替1円の変動幅を一番右の列に、ドル建て金の1ドルの変動を一番下の行に記しています。ぜひ、こうしたものを参考にしてみてください。

 
金価格換算早見表

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