中国:海外中銀の金準備保管サービスに進出?

1. 中銀金準備の保管サービス進出?
報道によれば、中国は海外中央銀行の金準備をSGE倉庫に保管するサービスを検討中である。既に一部アジアの国の中にはこの構想に関心を示す国が現れている模様。
これはロンドンやスイスの伝統的な「国際金保管拠点」に挑む動きであり、背景には以下の狙いがあると考えられる。
  
•人民元建てでの金取引拡大
•国際金融インフラでの存在感強化
2. 中国の意図

•人民元国際化の推進:貿易決済でドル依存を減らし、人民元利用を拡大
•金の活用:人民元の「信認補完資産」として金を位置づけ
•金融ハブ形成:
 o上海をロンドン・NYに続く「第3の金市場」に
 o香港倉庫の開設(2025年予定)によるオフショア取引拡大
3. SGEの役割
•人民元建て金取引の中核:Shanghai Gold Benchmark Price による人民元建て価格指標
•裏付けとしての金:貿易等により人民元を保有する各国が即時に金へ交換可能
•将来的展望:mBridge等CBDC基盤と連動 → 「金+人民元+即時清算」の枠組み
4. 金融市場への影響
•ロンドン・NY市場への挑戦:人民元建て基準が拡大すれば「二重価格」リスク
•新興国・BRICSにとって魅力:制裁下の国やドル不足国にとって現実的な選択肢
•市場リスク:データ透明性不足による価格変動要因
5. 地政学的含意とまとめ
•ブロック化の加速:西側ドル圏 vs 中国・BRICS人民元圏
•金を介した人民元圏形成:「人民元+金」で信頼を高める戦略
•将来展望:ロンドン・上海の「二重基準」が定着する可能性
  
結論:
現時点では海外中銀の金保管サービスについて公式発表はなく、あくまでも関係筋の話としての報道に留まっている(2025年9月現在)。
実際に海外中銀の金保管サービスを行うには、信頼性確保・透明性・監査制度・国際政治的リスクといった多くのハードルが存在する。
それでも、SGEを通じた人民元建て金取引の拡大と中銀金準備保管サービスは、中国が長期的に目指す人民元国際化と金融ハブ戦略の中核であり、ドル基軸秩序への挑戦となる。

