『誰の負債でもない資産』とはどういうことか | 【公式】日産証券の金投資コラム

『誰の負債でもない資産』とはどういうことか

2021年4月29日

経済を回すとは、お金を回すということです。必要な所へお金を回すことで経済全体が活気づきます。ただし、お金を回すということは、出資やお金の貸し借りが発生するということでもあります。投資には大きな利益を獲得できる可能性があるとともに、一定のリスクが伴います。今回は、株式や債券と比較しながら、「誰の負債でもない資産」をみてみましょう。

資産運用とリスクの存在

金融とは、お金を融通すること。お金が余っている所から足りない所へ回すことをいいます。株式や債券の性質を考えるとよく分かります。資金を必要とする企業は株式や債券を発行し、投資家は株式や債券を購入することにより、企業に資金を供給します。株式と債券の大きな違いは、株式は企業の元手(自己資本)となりますが、債券は借金(他人資本)ということです。

投資家サイドからすると、株式への投資はその値上がり益や配当を期待できる一方、リスクとしては、企業の倒産や経営悪化による株価の下落などが挙げられます。

株式のリスク

債券は企業が借用書として発行するものです。債券は借金ですから、満期になれば投資家は元本の返済を受けることができます。お金を貸している期間は銀行預金と同様に利子が払われます。リスクとしては、やはり企業の倒産や債券価格の下落などがあります。

債券のリスク

株式や債券にはこのようなリスクがありますから、発行体の経営状況等を調査して投資を行う必要があります。

国債と「国の借金」

企業だけでなく、国も債券を発行します。企業が発行する債券よりはリスクが少ないといえますが、国が発行する債券(国債)も借金である以上、債務不履行リスクがあります。日本の財政状況は非常に厳しく、国債と借入金、政府短期証券の残高を合計したいわゆる「国の借金」は、2020年12月末時点で1212兆4680億円となり、初めて1200兆円を突破しました。コロナ禍の収束が見えない中、また、少子高齢化がさらに進展する今後を考えても、「国の借金」はまだまだ増えると見込まれます。個人で気軽に購入できる個人向け国債が人気ですが、リスクはゼロではありません。

「誰の負債でもない資産」とは?

このように、株式や債券に投資をしてリターンを得ようとすると様々なリスクと向き合う必要があります。大きな利益を得るチャンスがある一方、発行体そのものが潰れてしまえば、投資した金額は回収できません。そこで注目されるのが現物資産である金(ゴールド)です。もちろん金も資産ですから、その取引には価格があります。株式や債券と同様に、その価格は上下しますし、売却のタイミングによっては損失を被ることもあるでしょう。しかし、金は誰かの借金ではありません。発行体があるわけでもなく、借金の質物として流通しているわけでもありません。取引価格が上下することはあるにせよ、現物資産である金を保有していることが価値そのものなのです。

有史以来、金は古今東西で希少な財物として存在し続けています。人類が株式や債券、お金(マネー)などを発明する以前より、価値あるものとして存在しているのです。希少性のある現物資産は、「誰の負債でもない資産」として、今後もその価値を保ち続けることでしょう。

この記事を読んだ方にお勧めの記事

  • 世界の中央銀行の金準備の推移

  • 白金のシーズナルトレンド

  • 世界の中央銀行の金準備(買う新興国、売れない先進国)

他ジャンルの最新はこちら

  • スペシャル

    トリプルレッドを受けた金相場見通し

    接戦と報道されていた米大統領選挙は、共和党候補のドナルド・トランプ前大統領が圧勝した。激戦7州全てがトランプ氏の勝利となった。全米で獲得した選挙人の数が固まり、初当選した2016年に獲得した選挙人の数を上回った。

  • 定期レポート

    植田日銀総裁の講演・質疑応答 12月利上げ観測一段と高まる中、ドル円反転のきっかけとなるか否か・英消費者物価指数、タカ派マン英中銀委員の講演 ラムスデン副総裁が金融政策について講演

  • 動画

    トランプトレードの巻き戻しか?大統領選後の市況とウクライナ情勢について解説します。


当サイトのコンテンツは情報提供を目的としており、当社取り扱い商品に関わる売買を勧誘するものではありません。内容は正確性、 完全性に万全を期してはおりますが、これを保証するものではありません。また、当資料により生じた、いかなる損失・ 損害についても当社は責任を負いません。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。 当資料の一切の権利は日産証券株式会社に帰属しており、無断での複製、転送、転載を禁じます。

取引にあたっては、必ず日産証券ホームページに記載の重要事項リスク説明等をよくご確認ください。
重要な注意事項についてはこちら