金:内部要因主導での下落局面は、中長期的な買い場を提供|月間騰落率(OSE)・NY金(MAC)・CFTC建玉明細|【Monthly Report】月間展望(3月)
2025年3月3日
~3月1日~3月31日 ~
このページで知れること(目次)
ドル円:150円±10円のレンジ相場入り CFTC建玉明細・ドル円(日足)・トランプ1.0&2.0
金:内部要因主導での下落局面は、中長期的な買い場を提供 月間騰落率(OSE)・NY金(MAC)・CFTC建玉明細
3月注目スケジュール:全人代・日銀金融政策決定会合・FOMC・ECB理事会
ドル円:150円±10円のレンジ相場入り
CFTC建玉明細・ドル円(日足)・トランプ1.0&2.0
【今月見通し・戦略】
日本の第4四半期GDPが市場予想を上回り、日銀の早期利上げ観測が台頭してドル安円高が進行して150円割れ。2月のコンファレンスボード消費者信頼感指数が98.3となり、市場予想の102.5や前回値の105.3(改定値)も大きく下回ったことで、景気の先行き不透明感が広がり、ドル売りに傾いた。
トランプ米大統領は2月26日に欧州連合(EU) からの輸入品に25%の関税を課す方針を表明。これを受けて、対ユーロで、ドル買い・円買いの動きとなるものの、ドル円は148円台後半まで下落した。
ドル円は、1月10日高値を起点とした下降トレンドを形成中。2024年9月安値~2025年1月高値までの上昇に対する半値押しと重なる2024年12月安値の攻防に差し掛かっている。同水準を割り込むとダブルトップも意識され、200日移動平均線や、52週移動平均線を上値抵抗として140円の下値支持が意識される展開となる。
中期的には、これまでの160円超の悪い円安懸念が後退し、150円±10円のレンジ相場入りとなりそうだ。
ドル円に関しては、介入効果が効かない悪い円安を回避したい日本と、「強いドルは国策」と言う基軸通貨を守る建前は維持するものの、本音ベースでは、既に実質実効為替レートでプラザ合意前の水準にあるドル円に対して、ベッセント財務長官が「トランプ大統領と私は10年物国債の利回りに注目している」と述べたように、米金利低下を望んでいる。日米当局の思惑が一致しており、緩やかな円高ドル安が続きそうだ。一方、3月の月間騰落率はドル買い有利で、下値も限定的か?
一目均衡表からは、V=147円、N=146.8円がカウント可能。上値抵抗は200日移動平均線水準。
~CFTC建玉明細・ドル円(日足)・デジタル赤字~
【CFTC建玉明細】
【ドル円(日足)200日移動平均線】
【トランプ1.0&2.0】
金:内部要因主導での下落局面は、中長期的な買い場を提供
月間騰落率(OSE)・NY金(MAC)・CFTC建玉明細
【今月見通し・戦略】
先週レポートや、時事通信社ゴールドレポート(2/12付)で『要注意は、CFTC建玉明細での大口投機玉の買い越し水準が過去最高に接近しており、他のリスク資産の調整絡みがあると、短期的には追随するかもしれない点だ』としたが、内外共に2月に史上最高値を更新した金相場は、NY株式市場の崩れから上値が重い展開が続き、前週末には、NY金(4月限)がレンジを下放れ下げ加速となった。
トランプ大統領による中国への追加関税発言で関税を巡る不透明感が一段と強まる中、好決算を発表したもののエヌビデア株は、1月高値からの下落率が「弱気相場」入りの目安とされる20%を超えた。新製品の量産に伴って売上高総利益率が想定よりも低下することなどが嫌気されている。
JPX金(標準先物)は、2024年8月安値を起点とした上昇チャネル下限とも重なる90日移動平均線(13500円水準)の攻防戦へ。2024年12月安値~2025年2月高値までの上昇に対する38.2%押しが13821円、半値押しが13605円、61.8%押しが13389円。これらの水準は、価格帯別出来高の厚い支持帯で、これらのテクニカルポイントでは、押し目買い意欲が高まりそうだ。
金相場を取り巻くファンダメンタルズからの強気要因に大きな変化はない。内部要因やテクニカル主導での大きな下落局面は、中長期的な買い場を提供することになる。出来高を伴って長い下ヒゲや長大陽線などのチャート上の底打ちパターンや、大口投機玉の買越し整理が進んだことを確認し、買い場探しの戦略を考えたい。
過去10年間の3月の金月間騰落傾向は、内外共に買い方有利の時間帯。円建て金に関しては、4月は更に強気優位の時間帯となっている。
~月間騰落率・NY金(200日移動平均線)・NY金(シーズナル)~
【月間騰落率(OSE金)】
【NY金(MAC)価格帯別出来高】
【NY金(CFTC建玉明細)】
3月注目スケジュール:
全人代・日銀金融政策決定会合・FOMC・ECB理事会
・トランプ米大統領が演説
「米国第一」説明、中国メキシコカナダ関税発動予定、中国には10%上乗せ計20%
・春闘要求集計結果
・中国全人代開幕
AI開発や消費促進に向けた大規模支援策を期待 2月消費者物価指数に財新製造業PMIも
・米雇用統計
非農業部門雇用者数が前月比+15.5万人と、1月の+14.3万人から小幅改善。
ただ、水準的にはやや弱め。失業率は4.0%で維持される見込み。
・9日から米夏時間移行で指標発表などの時間1時間繰り上げ
・ECB理事会、日銀金融政策決定会合、米連邦公開市場委員会(FOMC)
この記事の監修者

東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社
取締役 菊川 弘之
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。