金:JPX金は、史上最高値を試す流れ|【Weekly Report】週間予定
2024年10月7日
週間展望(10/7~10/13)
このページで知れること(目次)
週間予定:米雇用統計・米大統領選挙副大統領候補TV討論会
前週:米雇用統計
ドル円:200日移動平均線の攻防戦
金:JPX金は、史上最高値を試す流れ
【米雇用統計(非農業部門雇用者数)】
【米雇用統計(失業率)】
金ETF
週間予定:米雇用統計・米大統領選挙副大統領候補TV討論会
・8月日本実質賃金 前回は予想に反して増加、2カ月連続プラスとなった。特別給与が大幅増加
・9月米消費者物価指数 今回の予想は前年比が+2.3%と鈍化見込み。6カ月連続の伸び鈍化予想。 コアは+3.2%で横ばい見込み。
・9月FOMC議事録 50bp大幅利下げ実施も、パウエル議長が追加利下げ急がない姿勢を示しドル買い戻される
・NZ中銀政策金利 NZIER四半期調査で物価上昇圧力が緩和、50bpの大幅利下げ観測がいっきに高まる
・中国市場が8日から再開 次週も景気刺激策が打ち出されるか、週末には9月消費者物価指数
前週:米雇用統計
【米雇用統計】
米労働省が4日発表した9月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は前月比25万4000人増で予想(14万人増)を大幅に上回った。
失業率は4.1%で前月の4.2%から低下した。
8月の非農業部門雇用者数は14万2000人増から15万9000人増に上方修正された。
7月・8月の雇用者数は合わせて7万2000人の上方修正。過去分の修正や単月の振れ幅の大きさを考慮して3ヶ月の平均でみると、7~9月の伸びは月18万5000人ペースで、4~6月の14万7000人から盛り返した。
9月の時間当たり平均賃金は前月比0.4%上昇、前年比4.0%上昇した。週平均労働時間は3.2時間。
米短期金利先物市場では11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5%の利下げを織り込む確率は急減。一方、0.25%の利下げをほぼ確実視(90%台)するようになっており、大幅利下げ観測が後退。
今後、利下げ観測が大きく後退するようなら、株価にとってはマイナス要因となる可能性も。最近の各市場は、織り込み度合いが急速に左右に大きく動く傾向があり、要注意。
ドル円:200日移動平均線の攻防
【今週見通し・戦略】
9月27日投開票の自民党総裁選で石破茂元幹事長が新総裁に選ばれた。日銀の利上げに批判的だった高市早苗経済安全保障相の勝利を見込んで積み上がっていた円売り・ドル買いのポジションが解消され、円買い・ドル売りが広がった。米国の物価指標がインフレ鈍化の継続を示したのも一因となり、円高ドル安が進んだが、心理的節目140円台は維持。
9月のADP全米雇用リポートで非農業部門の雇用者数が前月比14万3000人増と、市場予想(12万8000人増)以上に増え、8月分は上方修正された。労働市場が底堅さを保っており、11月のFOMCで大幅利下げを続けるとの見方が後退した。
石破トレードの巻き戻し
石破氏は10月2日、首相就任後初めて日銀の植田和男総裁と面会し、「追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」との認識を示した。高市早苗前経済安全保障相と比べ、石破氏は追加利上げに前向きだとみられていたこともあり、円安ドル高が進んだ。
内部要因からは、円キャリートレードの巻き戻しで円売りが過去最高水準に溜まっていたのが解消され、足元では円買いポジションが直近の最高水準にまで膨れ上がっていたことで、中東情勢の不透明感や、雇用統計前と言うこともありポジション調整が入りやすかった。
前週末のドル円は、9月の米雇用統計は雇用者数の伸びが市場予想を大きく上回り、大幅利下げ観測が後退した。米長期金利が大幅に上昇。米短期金利先物市場では11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5%の利下げを織り込む確率は4日夕時点で前日から急減。一方、0.25%の利下げをほぼ確実視するようになった。
200日移動平均線の攻防戦
今週発表予定のCPI・PPIが極端な数値でなければ、140-150円(~200日移動平均線)のレンジ内での保合いを続け、米大統領選挙待ちの展開への移行を予想する。
金:JPX金は、史上最高値を試す流れり
【今週見通し・戦略】
8月のジャクソンホール会合でのFRB議長講演で、「政策を調整する時が来た。」発言を受けて、NY金(12月限)がレンジをブレイクしたことに続き、JPX金は、三角保合いを上放れ、上げ加速となった。
三角保合い上放れ
自民党総裁選挙決選投票で、アベノミクスの大規模金融緩和に批判的なことで知られ、「金融所得課税の強化」を打ち出していた石破元幹事長が勝利したことを受けて、急激な円高が進行したことで、JPX金は急反落となったが、ネックラインが下値支持として機能した。
既存レポートで『円高でドル建て以上に円建て金が下がった局面は、良い買い場となるだろう』と指摘したが、JPX金は、週末の夜間立ち合いで、上場来高値を更新。
大幅利下げ観測後退
10月2日、石破首相は植田日銀総裁と面会し、「追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」との認識を示した。更に、雇用統計では非農業部門の雇用者数が前月比25万4000人増と、市場予想(15万人増)を大幅に上回った。8月分も上方修正された。失業率は4.1%と前月(4.2%)から改善した。24年の夏場にかけて強まった減速傾向が一服。米短期金利先物市場では11月のFOMCで0.5%の利下げを織り込む確率は急減となり、0.25%の利下げをほぼ確実視するようになったことで円安ドル高が加速したことが好感された。
米利下げから3ヶ月後・半年後・1年後の期間で、いずれも円建て金はNYダウやドル建て金よりも大きく上昇している(8/5付レポート「雇用統計を受けた金相場見通し」参照)。米覇権の・ドル基軸通貨体制の揺らぎと言う歴史的な大波の中での上昇トレンドであることを認識し、押し目買い戦略を継続したい。米大統領選挙「オクトーバーショック」にも注意。
【米雇用統計(非農業部門雇用者数)】
【米雇用統計(失業率)】
金ETF
この記事の監修者
東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社
取締役 菊川 弘之
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。