季節的な安値が出やすい6月は、買い仕込み場|月騰落率(NY金・OSE金)・NY金(下期累積パフォーマンス)|【Monthly Report】月間展望(6月)
2024年6月3日
~6月01日~6月30日 ~
このページで知れること(目次)
ドル円:150-160円のレンジ相場放れ待ち 日米欧金融政策決定会合・ドル円(週足・日足)
金:季節的な安値が出やすい6月は、買い仕込み場 月騰落率(NY金・OSE金)・NY金(下期累積パフォーマンス)
6月注目スケジュール:FOMC・雇用統計・ECB理事会・大統領選挙討論会
ドル円:150-160円のレンジ相場放れ待ち
日米欧金融政策決定会合・ドル円(週足・日足)
【今月見通し・戦略】
5月のドル円は、日本がGW休場中に、一時1ドル=160円台と、1990年4月以来約34年ぶりの高値を付けた。日銀金融政策決定会合記者会見で、何らかの牽制があるのではないかと一部で見られていたものの、植田和男総裁が円安について、「基調的な物価上昇率に大きな影響は与えていない」と述べ、現時点で無視できる範囲かと問われると「はい」と言及したことや、介入するのではないかと見られていた150円でもノックアウトオプション絡みで注意されていた155円でも介入は見送られ、買い方有利な介入催促相場となった。
そうした中、政府・日本銀行による覆面介入で、160円台から154円台へ一気に急落した。介入総額は9兆7885億円。4月29日と5月2日に実施したとみられる。22年9~10月の円安局面では3回の円買い介入を実施し、計9.1兆円を投じた。今回はそれを上回る過去最高額。
ただし、ドル円は150円台を維持して、じりじりと下値を切り上げている。堅調な米経済指標やFRB高官の発言に加えて、FOMC議事要旨を受けて、米る早期利下げ観測が後退。一方、本邦当局の介入警戒感も強く、上値は限定的。
国内では長期金利が上昇基調で推移しており、1.00%を超えた後も、じり高基調で推移していることも、ドル円の上値抑制要因。5月30日には一時1.10%台に乗せた。内田真一副総裁の講演を受けて日銀が国債買い入れの減額や追加利上げに動くとの観測も強まっている。
4日に10年債、6日に30年債の入札がある。入札結果を受けて国債売り(金利上昇)が進む可能性には注意。利下げが予想されるECB理事会後のユーロの動きにも注意。
ドル円は、150-160円のレンジ相場放れ待ちが継続。
~日米欧金融政策会合スケジュール・ドル円~
【日米欧金融政策決定会合】
【ドル円(年間値幅)】
【ドル円(週足)52週移動平均線】
金:季節的な安値が出やすい6月は、買い仕込み場
月騰落率(NY金・OSE金)・NY金(下期累積パフォーマンス)
【今月見通し・戦略】
米雇用統計などのマクロ経済指標や、6月FOMCでの各メンバーの金利見通しに注目が集まる中、株式市場では様子見ムードが強まっている。過去30年間のNYダウの月間騰落を見ると、6月以降9月にかけて7月を除き、売り方優勢の展開となっている。米国株主総会の多くは、4月~5月にかけて行われ、9月に新学期が始まるまでは、長期休暇を取る投資家が多いことなどが理由と言われる。一方、内外の金市場も「6月の弱気傾向」が確認できるが、NY金の7月の切り返しは大きく、円建て金は7-9月にかけて、堅調推移となっている。
米国や日本、ユーロ圏全てで債務が過剰な状態にあり、債務増加が通貨全般の信認低下につながっている。S&Pグローバル・レーティングは5月31日、フランス国債の格付けを「AA」から「AA-」に引き下げた。予想以上の財政赤字が債務を押し上げるとの見通しが格下げの理由と説明した。デイビッド・マルパス氏(元世界銀行総裁)は、「米国政府は高額の公的債務を抱えながら過剰な支出を行うために、早ければ2025年にも財政破綻しうる」と警告している。
トランプ氏が大統領に復帰すれば、米国は保護主義に傾き、関税を大幅に引き上げ、インフレにつながり、バイデン大統領が再選されても財政拡張が続く。どちらが大統領になっても、米国は財政赤字が拡大し、金にとっての強気要因となるだろう。
米国の覇権・ドル基軸通貨の揺らぎという大きなテーマが材料視される中、季節的な安値が出やすい6月は、中長期的な買いを仕込む良い時間帯かもしれない。
94年以降のデータでは、「6月末に買い、12月末に売る」累積パフォーマンスの優位性が確認できる。
~月間騰落率(NY金・OSE金)・金下期累積パフォーマンス~
【月間騰落率(NY金)】
【月間騰落率(OSE金)】
【金下期累積パフォーマンス】
5月注目スケジュール:
FOMC・雇用統計・ECB理事会・大統領選挙討論会
今月は、米連邦公開市場委員会(FOMC)、ECB理事会、日銀金融政策決定会合が注目。
4月ECB理事会の声明文で、近く利下げに踏み切る可能性を示唆しており、注目は追加利下げのペースがどうなるか。日銀金融政策決定会合では、金融政策の正常化に向け、日銀は6月にも月間6兆円程度としている国債買い入れの減額などに動くとみられる。バイデン氏とトランプ氏は6月27日と9月10日に候補者討論会を開催することで合意。6月に開催されるのは異例の早さ。米CNNが主催する6月討論会に、ケネディ氏が参加するのか否かも注目。
参加資格を得るためには①指定の世論調査で15%以上の支持率を4回以上得るとともに、②270人の選挙人を獲得できるだけの州の出馬資格を得ること、が条件とされている。
ケネディ氏はすでに3つの世論調査で15%以上の支持率を獲得しており、①の条件クリアは見えている。②についてケネディ陣営は、5月27日時点で15の州(選挙人数201人)で出馬に必要な署名を集めたとしている。
この記事の監修者
東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社
取締役 菊川 弘之
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。