5月騰落率(OSE金)・インフレ度合いパフォーマンス・NY金(日足)|【Monthly Report】月間展望(5月)
2024年5月1日
~5月1日~5月31日~
このページで知れること(目次)
ドル円:5兆円規模の円買い介入か? 日米欧金融政策決定会合・ドル円(週足・日足)
金:一旦は、リスクプレミアム剥落か? 5月騰落率(OSE金)・インフレ度合いパフォーマンス・NY金(日足)
5月注目スケジュール:FOMC・雇用統計・日銀当座預金残高
ドル円:5兆円規模の円買い介入か?
日米欧金融政策決定会合・ドル円(週足・日足)
【今月見通し・戦略】
4月のドル円は、三角保合いを上放れ。上げ加速となった。
日銀金融政策決定会合で、金融政策の現状維持を決定したことで、低金利の状況が当面続くとの見方が広がった。記者会見で、何らかの牽制があるのではないかと見られていたものの、植田和男総裁が円安について、現時点で無視できる範囲かと問われると「はい」と言及したことで、円安を理由にした追加的な利上げの時期は遠いとの見方が拡大。
これに対して、FRBが物価上昇(インフレ)の動向を見極めるうえで重視している米商務省が発表した3月の個人消費支出(PCE)物価指数でインフレ圧力の根強さが示されたことで、日米の金融政策の差を材料に、日本の祝日に乗じた投機筋の買いで160円台乗せた後、断続的に入った大規模な円買いで154円台へ急反落という乱高下となった。
5兆円規模の円買い介入を行ったと推計される。日銀が30日に公表した1日の当座預金予想は民間予測から大きく乖離しており、29日のドル円の乱高下の背景に介入があったことが示唆された。過去最大となった2022年10月21日の介入額5兆6202億円に迫る規模となる。
目先は、4月30日~5月1日に開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)とパウエル議長記者会見や、5月1日の4月の米ISM製造業景況感指数、5月3日の4月の米雇用統計などが注目材料だ。これらの結果次第では、早期利下げ観測が一段と後退し、改めてドル買いが強まる可能性もある。
ただ、神田財務官は、必要な時には適切な対応を取っていくと述べており、2022年と同様に、第二弾・第三弾の介入を行う可能性は高い。155円を割り込むか否かが焦点。
~日米欧金融政策会合スケジュール・ドル円~
【日米欧金融政策決定会合】
【ドル円(週足)52週移動平均線】
【ドル円(日足)200日移動平均線】
金:一旦は、リスクプレミアム剥落か?
5月騰落率(OSE金)・インフレ度合いパフォーマンス・NY金(日足)
【今月見通し・戦略】
内外共に連日の史上最高値を更新してきた金相場だが、ようやく調整入りとなった。52週移動平均線との乖離率は20%近辺と、いつ調整が入ってもおかしくない時間帯であった中、イランがイスラエルに報復しない方針とし、中東の全面衝突が回避されたことを受けて、スピード調整が入った格好だ。
パレスチナ自治区ガザの停戦協議が前進すると期待されていることも上値抑制要因。イスラム組織ハマスに対して、イスラエルが譲歩する姿勢を示しており、リスク・プレミアムが後退している。ただ、停戦協議が行われているなかでもイスラエル軍は爆撃を続けており、ガザ地区における死者数は3万4000人規模まで拡大している。
米国やアラブ諸国の仲介で停戦協議が行われているが、イスラエルのネタニヤフ首相は30日、パレスチナ自治区ガザで続く戦闘の休止合意の有無にかかわらず、ガザ最南部ラファに侵攻しイスラム組織ハマスを壊滅すると述べた。「全ての目標を達成する前に戦闘をやめるのは論外だ」と述べた。
1~3月期の米雇用コスト指数が前期比1.2%上昇と、市場予想(1.0%)以上の上昇率となった。2023年10~12月期(0.9%上昇)も上回った。インフレ高止まりでFRBの金融引き締め長期化が警戒される中、FOMCやパウエル議長記者会見、米雇用統計などを受けて、早期利下げ観測が一段と後退するようなら、米長期金利上昇に伴うNY金売りが強まる可能性。ネックラインと重なる2300ドルを割り込むと、一時的にテクニカル売りが強まるかもしれない。ただし、米国覇権・ドル基軸通貨体制の揺らぎという大きなテーマに変化はなく、中央銀行や中国の個人の買いも継続している。今回、想定される調整安は、中長期的には、良い買い場を提供することになりそうだ。
~月間騰落率(OSE金)・インフレ度合い・NY金~
【月間騰落率(OSE金)】
【インフレ度合いパフォーマンス】
【NY金(週足)】
5月注目スケジュール:
FOMC・雇用統計・日銀当座預金残高
米国では、月初に米連邦公開市場委員会(FOMC)。米連邦準備制度理事会(FRB)は3月のFOMCで、政策金利を5会合連続で据え置き、経済見通しでは年内3回としていた利下げ予想を維持。
雇用統計と合わせて、米利下げ時期の後退観測が強まるか否かが注目。
株式市場では「SELL IN MAY」と言われるが、5月に下げるからではなく、5月には上昇するが、6月には下げが強まるので、5月中に利食いしておけという意味。
この記事の監修者
東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社
取締役 菊川 弘之
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。