金の価格が下落する理由と急落時の対処法について
金の価格が下落する代表的なタイミングをご紹介します。コロナショック以来、高騰を続ける金価格ですが、下落するタイミングはある程度予想することができます。金の下落時は、逆に安く購入するチャンスです。効率よく利益を得るために、下落要因についてポイントをまとめました。
金の価値が下がるタイミングはいつ?
大まかにいって、金価格は、経済不安や金融不安により上昇しますが、世界情勢が安定し、リスクが減少することにより下落します。金は、貴金属の中でも特殊な地位にあり、世界通貨としての側面を持っています。そのため、有事の際に安全資産として買われます。しかし、経済が安定していれば利息や配当がつく他の投資商品のほうが効率よく稼げるため、金の人気は下がります。
2020年からの新型コロナウイルス流行や2022年のロシアによるウクライナ侵攻により、金価格が高騰を続けていますが、今後、金相場が下落に転じるのはいつごろでしょうか?
金下落のタイミングは、世界情勢の変化によりある程度予想することができます。以下に代表的な金の小売価格が下落する要因をピックアップしました。
米国経済の復権・米ドル価値の上昇
一般的には、アメリカ経済が好調で、米ドルの価値が高まっているときは、ドルが買われ金が売られる傾向があります。その第一の理由としては、金は米ドル建てで取引されるからです。ちなみに、金は、1トロイオンス=31.103 4768グラムという単位で取引されます。
第二の理由としては、世界経済をけん引するアメリカの経済が好調な際は、その基軸通貨であるドルも強くなるため、金をドルに換えて、高金利の銀行にお金を預けたり、株式や国債などを買ったりした方が効率よく資産を増やせるからです。
ただし、ドル高と同時に円安が進行した場合は、金は一度米ドルに交換してから購入するため、日本国内の取引においては金の価格は高くなります。為替相場の値動きをよく見定めたうえで、金の取引を行いましょう。
経済の安定
アメリカに限らず、世界経済が安定して平和が続くと、金は値下がりする傾向があります。経済が活性化すると、工業製品に使われる金の需要も高まるため、極端に値下がりすることはありませんが、コロナショックなどの有事の際に高騰する金は、基本的に落ち着いた値動きになることでしょう。
IMFやヘッジファンドの大量売却
金の買取価格が急落する原因となるのが、金を大量保有しているIMF・ヘッジファンドや投資家などが、金を売却した場合です。このケースにおいては、金価格が高騰しているタイミングでも突然短期的な下落が起こる可能性があり、参考になるような前触れもなく、読みにくい下落要因と言えます。
しかし、金価格の上昇要因が揃っている場合は、金の価格は長期的にはまた上昇していきます。長期保有する目的で金投資をしている場合は、あまり気にしないでも大丈夫でしょう。
地政学リスクの低下
地政学リスクとは、具体的には、戦争や武力紛争・テロなどによって、各国の経済の見通しが立たなくなってしまうことを言います。2022年6月現在、大国ロシアと、食料生産力の高いウクライナとの戦争により、各国に物価高騰や食糧危機の不安が高まっていますが、こうした状況が落ち着き、世界経済が順調に成長しだせば、有事の際に注目される金価格は下落します。
急落しても落ち着いて対処しよう
以上のように、金価格は様々な要因で短期的には急落する恐れがあります。しかしながら、長期的には大きく下落することは考えにくい投資商品です。
なぜなら、金の採掘量は限られており、海水から金を取り出すといった新しい技術もまだ実用段階には至っていません。供給の増大が見込めない一方で、発展途上国の経済成長による金投資家の増加、年金やオイルマネーの流入により金を買う動きが進むなど、金の上昇要因は数多いからです。10年、20年という長期的スパンで金を保有するつもりであれば、大きく損をする可能性はほとんどない資産といえます。
短期の金取引で利益を得たい場合は、金価格の急落は、逆に金を安く購入する絶好のチャンスと言えます。機会を逃さず購入し、利益につなげましょう。