いまさら聞けない!そもそも金を買うってどういうこと?
インフレ懸念や地政学的リスクの高まりを背景に、金投資に人気が集まっています。今、金を買うべき理由について解説します。また、金投資を考える際に役立つ二つの考え方「投資目的」と「ヘッジ(リスク回避)目的」についてまとめました。守りか、攻めか、どんなスタンスで購入したいかにより、最適な購入方法は異なってきます。
今、金を買う理由
金価格は中長期的な目線で見れば上昇を続けており、また今後も上昇する可能性があるため、インフレ懸念や地政学的リスクの高まりにより価格が高騰している現在においても購入するメリットがあります。
ロシアのウクライナ侵攻などにより、世界経済の先行きが不透明な中、金投資が人気を集めています。金は安全資産とも呼ばれ、同時多発テロやリーマンショックなど、有事のたびに価格が上昇しました。株や通貨と異なり、歴史上どのような時代においても、金の価値がゼロになったことはありません。
しかしながら、ロシアのウクライナ侵攻により価格が上昇したので、今、金は「売り」という人もいます。今は金価格が高騰しているため、金は売った方が儲かるという理屈です。ウクライナ情勢が落ち着けば金の価格も落ち着くので、今、金を買うのは損というわけです。
ですが、中長期的に見れば、金価格は今後も上昇する可能性があります。
金の価格上昇要因としては、第一には、金ETFの存在です。金ETFは、金という実物資産を証券化したもので、2003年に登場しました。年金基金など、多額の資金を運用している機関投資家は、以前は株式や債券などの有価証券にしか投資できませんでした。しかし、金ETFの登場以来、リスク分散を図るため、金ETFにも投資しています。
第二には、金の供給量が限られていることです。ここ数年、金の供給量は鉱山生産とリサイクルの合計で5,000トン弱で横ばいとなっています。この量は現在流通している地上在庫と比較すると、鉱山生産だけでは1.8%、リサイクルを合わせても2.5%に過ぎません。つまり、通貨のように簡単には供給を増やせないということです。
第三には、金は、スマートフォンなどの家電に利用されるなど、装飾品や美術品以外にも用途が広がり、利用価値がますます高まっていることです。
このように、限られた資産である金に投資家の資金が流入することにより、金価格は中長期的に上昇傾向が続く可能性があります。
金を買う際は、投資目的かヘッジ目的かで分けて考える
金投資と言っても、その目的は大きく2種類あり、攻めの姿勢である「投資目的」か、守りの姿勢である「ヘッジ(リスク回避)目的」かに分かれます。
【投資目的】
投資目的とは、短期的な値動きを利用し、安い時に買って高い時に売り、利ザヤを稼ぐことを指します。ロシアのウクライナ侵攻による地政学的リスクの高まりで、金価格は短期的にもよく上下動しており、投資目的の取引に適しています。
投資目的の取引として代表的なのは、「金先物取引」や、金の採掘や加工などを行う企業の株を買う「金関連株取引」です。投資目的の売買は短期間で大きな利益を狙える代わり、資産を失うリスクもあり、特に金先物取引は投資に慣れた人向けの取引方法と言われています。
【ヘッジ(リスク回避)目的】
他方、ヘッジとは、インフレや有事などのリスクを回避するために金を保有するという考え方で、いわば保険のような運用方法です。この場合は長期保有が前提になり、投資目的のように短期で大きく利益を出すことが目的ではありません。
金は貨幣のようにインフレにも左右されないので、守りの資産として非常に適しています。ヘッジ目的の取引としては、実際に金地金を購入する「金地金取引」や「金ETF」があります。
金の購入を考える際は、ご自身が資産をどのように運用したいかを明確にしたうえで、適した購入方法を選ばれることをお勧めします。