Gold Demand Trend:Q2 2026【WGC】 | 【公式】日産証券の金投資コラム

Gold Demand Trend:Q2 2026【WGC】

2026年8月24日

 

2026年第2四半期の世界の金需要(OTC含む)は前年同期比で横ばいの1,269トン。上半期(H1)累計では2,522トンとなり前年比+2%、金額ベースでは過去最高の380億ドルに達しました。LBMA金価格は第2四半期平均で1オンス4,506.29ドルとなり、第1四半期の史上最高値からは8%下落したものの、前年同期比では+37%という高水準です。
 
Q2金需要

セクター別の動き

● ETF:北米を中心に45トンの純流出。インフレ・金利見通しの上方修正とドル高が背景。ただし上半期全体では+18トンとプラスを維持し、アジア(特に中国・インド)がけん引役でした。
 
金ETF需要
● 地金・コイン投資:307トンで前年同期比ほぼ横ばい。第1四半期(477トン)からは大きく減少しましたが、これは過去2四半期が異例に強かった反動で、5年平均(305トン)への「正常化」と位置付けられています。
 
地金・コイン需要
● 中央銀行:289トンの純購入で、前年比+62%、第2四半期としては過去最高。ポーランド(+51トン)と中国人民銀行(+33トン)が主要な買い手。ただし第1四半期に大幅下方修正(244トン→57トン)があったため、上半期合計345トンは2022年以来最低水準です。トルコ・ロシアの売却は縮小しました。
 
中央銀行による金購入量
● 宝飾品:278トンとパンデミック以来最低の四半期数量。中国(-28%)・インド(-15%)が主導。ただし金額ベースでは前年比+14%の400億ドルと強く、高値環境下で「数量は減るが支出額は維持」という価値とボリュームの乖離が顕著です。
 
宝飾品(加工・在庫)需要
● テクノロジー:80トンで前年比+2%。AI関連需要(データセンター、高性能半導体)が伸びる一方、スマートフォン・PC向けは消費低迷とメモリ価格高騰で弱含み。二極化が鮮明です。

供給サイド

総供給は1,269トンで前年比横ばい。鉱山生産は966トンと第2四半期として過去最高(+2%)でしたが、リサイクル金が326トン(-6%)に減少し相殺されました。リサイクル減少は前四半期からの金価格下落(-7% q/q)が主因とされています。
鉱山供給(ヘッジ除く)
リサイクル供給

見通し(H2 2026)

● 投資需要が引き続き成長の主軸。ただしOTCとアジア勢の存在感が増す一方、北米ETFは実質金利・ドル動向に左右されやすい
● 中央銀行は堅調な買いを継続する見込みだが、2025年実績は下回る見通し
● 宝飾品は高値継続により数量面で引き続き圧迫
● 鉱山生産・リサイクルとも緩やかな増加にとどまる見込み
 
金需要

日本関連データ

宝飾品需要:数量は減少も「資産性」への評価が下支え

Q2’25 Q3’25 Q4’25 Q1’26 Q2’26 q/q y/y
宝飾品(トン) 3.0 3.3 4.0 3.0 2.2 -24% -25%

数量では前年比-25%、前期比でも-24%と大きく落ち込みましたが、レポートは日本を「比較的底堅い宝飾品市場」と位置付けています。理由として挙げられているのは、

● 円建てでの支出額は比較的健全に推移していること(高値でも消費者の支出意欲自体は極端には落ちていない)
● 「asset-style jewellery(資産性ジュエリー)」への需要が根強いこと ── 投資的な性格を持つジュエリー製品が消費者に選好されている

という点です。これは他のアジア市場(中国・インドなど)で見られる「軽量化・低品位化による対応」とは異なる、日本特有の「宝飾品が実質的に金投資の一形態として機能している」という構図を示唆しています。

地金・コイン投資:純流出に転じる

Q2’25 Q3’25 Q4’25 Q1’26 Q2’26
地金・コイン(トン) -0.3 1.0 3.1 2.4 -2.7

第2四半期は-2.7トンと純流出(売却超過)に転じました。レポートの説明では、
金価格の冴えない値動きが、日本において純投資超過から売却超過への転換を引き起こした。これは前年同期(Q2’25)に見られた小幅な売却水準からの大きな悪化である。6月には値ごろ感からの押し目買いも見られたが、価格見通しを弱気に修正した投資家による売却がこれを十分に相殺した。

つまり、日本の個人投資家は価格モメンタムに敏感に反応するトレンド追随型の傾向があり、金価格が伸び悩む局面では利益確定・損切り的な売りが先行しやすい構図が読み取れます。中国やインドの「押し目=買い場」という反応とは対照的です。

ETF:日銀利上げが逆風に

日本国内のゴールドETFも第2四半期に流出超となりました。要因として明記されているのは、

日本銀行が利上げを実施した後、日本のETFも第2四半期に流出を記録した。

日銀の利上げによって金保有の機会費用(実質金利上昇による相対的な魅力低下)が高まったことが直接の要因とされています。これは北米ETFが米実質金利・FRB政策に敏感に反応する構図と同じロジックが、日本市場でも当てはまり始めていることを示しています。

全体としての含意

日本市場は今回のレポートで3つの経路すべて(宝飾品・地金コイン・ETF)で「価格・金利感応度の高さ」が共通テーマとして浮かび上がっています。
● 宝飾品:数量は落ちるが「資産性」需要が支え
● 地金コイン:価格モメンタムが弱まると即座に売り超過
● ETF:日銀の金融政策(利上げ)が金保有の相対魅力を左右

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