金:調整が値幅で行われるのか、日柄で行われるかが注目②|【Weekly Report】週間予定
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2025年11月10日
週間展望(11/3~11/9)
このページで知れること(目次)
週間予定:日銀主な意見 中国「独身の日」米消費者物価指数
前週:ヒンデンブルグ・オーメン再点灯
ドル円:本邦当局の口先介入が上値を抑える
金:調整が値幅で行われるのか、日柄で行われるかが注目
【日経225オプション】
【CME FED WATCH】
金ETF
週間予定:日銀主な意見 中国「独身の日」米消費者物価指数

・日銀主な意見
10月会合「ハト派」据え置き、反対票変わらず2票で利上げ期待低下
・中川日銀審議委員講演
夏の講演では利上げに前向きな姿勢示し「ハト派」色を薄めた
・11月会合据え置き支持した英中銀のロンバルデッリ氏、ピル氏、グリーン氏の講演
・英GDP速報値、雇用統計、週平均賃金が発表
26日に英予算案発表
・米消費者物価指数
政府閉鎖に伴いBLS業務停止で、史上初めて米消費者物価指数が発表されない公算大
・中国「独身の日」
・ベッセント米財務長官、ウィリアムズNY連銀総裁、米債券市場会議出席(質疑応答なし)
・ボスティック・アトランタ連銀総裁、経済動向について講演
・OPEC月報
前週:ヒンデンブルグ・オーメン再点灯
【HBO点灯】

米株式市場の大幅下落の前触れとされる「ヒンデンブルグ・オーメン」と呼ばれる警戒サインが再点灯した。点灯後1ヶ月間は有効とされる。ダマシも多い指標と言われるが、1ヶ月以内に2回以上点灯した場合、株価下落の信頼性は高まる。過去10年以内に1ヶ月で2回以上点灯した実例8回のうち、6回が売りシグナルとして機能したと言われる。今年は、10月に2回点灯して、11月に入り、再点灯した格好だ。
テック大型主導で指数は強いのに、同時に新安値も増えるという「内弱」状態となっている。 「世紀の空売り」で知られるマイケル・バーリ氏が率いるサイオン・アセット・マネジメントが2025年7~9月期にエヌビディアとパランティアのプットオプションを新規取得していたことが米証券取引委員会(SEC)報告書で明らかになっている。
英国の中央銀行総裁も、米国でサブプライム自動車ローン会社2社が次々と破綻したことについて、リーマン・ショックの巨大なバブル崩壊の初期段階だった2007年の米サブプライム住宅ローン金融危機と構造が同じで、大きな金融危機が再来するかもしれないと警告している。
ビットコインの価格がおよそ4ヶ月ぶりに10万ドル台を割り込む場面もあり、11月に入り、リスク資産全般に手仕舞いの動きが出ている。金に関しても安全資産として買われてきた一方、利回り資産として短期的に買われてきた側面もあり、手仕舞いの動きが見られる。
波乱要因多し
NY株式市場の急落、一部米政府機関の過去最長の閉鎖、NY市長選挙では、民主党の急進左派でニューヨーク州下院議員のゾーラン・マムダニ氏が「富の再分配」を公約して当選、ベネズエラへの空母群派遣など、波乱要因も多い。
ドル円:本邦当局の口先介入が上値を抑える
【今週見通し・戦略】


先週は、日銀の利上げ観測と米利下げ予想が共に後退する中、米大手金融の最高経営責任者(CEO)らが米株式相場が10%以上調整する可能性に言及したことで、リスク回避姿勢が強まった。
片山さつき財務相は4日、閣議後の記者会見で為替相場について、「一方的で急激な動きがみられている」とし、「高い緊張感をもって見極めていることに変わりはない」と述べたことで、ドル円の上値は抑えられた。
米連邦政府の一部閉鎖が過去最長を更新するも、パウエルFRB議長が前週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で12月の追加利下げに慎重な姿勢を示したこともドル円の上値抑制要因。
155円が上値抵抗
また、トランプ政権の相互関税などの合憲性を巡る訴訟で5日に米連邦最高裁が開いた口頭弁論で、一部保守派の判事が関税発動に懐疑的な見方を示したと伝わり、トランプ政権が敗訴した場合には関税の払い戻しや税収減で米財政赤字が増え、米長期金利の上昇要因となる可能性も意識された。
本邦当局の口先介入などの警戒シグナルが出てくる可能性。片山さつき財務相からの牽制発言で見られるように、本邦当局は155円を超えて円安ドル高が加速するのを避けたい意向。トランプ大統領やベッセント財務長官からは、度々、円安ドル高牽制発言も出ており、ドル基軸通貨体制維持のために強いドルは表明するものの、経済的には行き過ぎたドル高は回避したい意向。
週足ベースでは、2024年7月高値を起点とした下降トレンドに上値が抑えられ、52週移動平均線を中心とした三角保合い放れ待ちの状態。
金:調整が値幅で行われるのか、日柄で行われるかが注目
【今週見通し・戦略】

NY金相場は、10月20日に史上最高値を更新後、長大陰線を付け、調整入りとなった。金ETFも金価格との乖離が大きくなったおり、本来、小さな現物市場をベースに成り立っていた貴金属マーケットに証券・金融系の大きな資金が一気に流入した事で、ボラティリティの高まりと共に急伸したが、異常値が平準化される過程の中での調整局面だ。
調整局面
8月20日安値~10月17日高値までの上昇に対する38.2%押し(3995.3ドル)~心理的節目4000ドルが下値支持として意識され、10月22日には、下ヒゲを形成して自律反発したが、戻りは鈍く、同下ヒゲ安値を割り込み、改めて一番底を探ぐる展開だ。半値押し(3875.7ドル)で下げ止まらなければ、61.8%押し(3752.4ドル)が意識される。
8月安値から今回の急角度の上昇が始まったことを考慮すると、8月安値~10月高値までの日柄が、調整でも必要と言える。この調整が値幅で行われるのか、日柄で行われるかが注目。
下値目標値は、V=3870ドル、N=3794ドルなどがカウント可能だ。これらの水準は、8月安値~10月高値までの上昇に対する半値押し(3875.7ドル)や、61.8%押し(3752.4ドル)とも重なる。
年末にかけての調整は、NY金相場の季節的なアノマリーを考慮すると、1月高に向けての買い場を提供すると考える。
米政府機関一部閉鎖の行方
パターン分析では、戻りが鈍いなら、三尊天井の肩を形成との見方もでき、ネックライン割れからの下げ加速のような値幅調整であれば長大陽線や長い下ヒゲなどのチャートパターンで1番底を確認後、買いの準備を整え、2番底形成からネックライン超えで追撃買いを考えたい。
一方、日柄調整となった場合は、保合いからの上放れを確認後、追随する戦略を考えたい。
【日経225オプション】

【CME FED WATCH】

金ETF

この記事の監修者
東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社
取締役 菊川 弘之
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。

