金:長大陰線引け・調整安に注意したい時間帯に入る|【Weekly Report】週間予定
2025年10月20日
週間展望(10/20~10/26)
このページで知れること(目次)
週間予定:IMF世銀年次総会(世界経済見通し)、米半期為替報告
前週:自民・維新連立
ドル円:200日移動平均線の攻防戦
金:長大陰線引け・調整安に注意したい時間帯に入る
【海外投資家動向(225)】
【CME FED WATCH】
金ETF
週間予定:IMF世銀年次総会(世界経済見通し)、米半期為替報告
・臨時国会召集
石破首相後任となる新首相指名選挙を実施へ。
・米消費者物価指数
政府閉鎖でも発表。労働統計局(BLS)は一部職員を呼び戻し9月分を作成
・中国4中総会
2026~30年の中期経済目標、第15次5カ年計画を中心に討議する。
・中国GDP
製造業低迷・冴えない消費・不動産下落で政府目標「5%前後」下回る見通し
・日銀「タカ派」高田委員の講演
物価安定目標実現概ね達成されたとして利上げを主張
・FRBブラックアウト期間入り(金融政策に関する発言自粛)(31日まで)
※米政府機関閉鎖の影響で米経済統計の発表は延期になる可能性
前週:公明党政権離脱
【連立・連携協議前進】
連立協議を行っている自民党と日本維新の会は、週明け20日にも連立政権の合意書に署名する見通し。これにより高市総裁が初の女性総理に選出される公算が大きくなってきた。
21日の臨時国会召集日での総理大臣指名選挙で高市総裁が選ばれた場合、総理補佐官に維新の遠藤国対委員長を起用する見通し。
閣外協力
両党は20日に連立政権の合意書に署名を行う予定。
維新からは当面、入閣せず、閣外協力の形を取ることになる模様。
これまで維新は議員定数を1割削減する法案を年内に成立させることなどを求めていて、自民側は応じる方針。比例50減の場合の議席数減少は、自民・維新よりも、少数政党に影響が大きくなる。
ドル円:200日移動平均線の攻防戦
【今週見通し・戦略】
先週のドル円は、米中貿易摩擦の再燃、米国における信用不安の拡大(地銀を取り巻く信用リスク)、日米の金融政策・政局動向などから、戻り売り基調が継続した。
FRBメンバー発言
更に、パウエルFRB議長のハト派的な発言が追加利下げ期待を加速させ、ドルは軟調に推移。
ミランFRB理事も15日、米中対立が経済の不確実性をもたらし、利下げの必要性が高まっているとの認識を示した。
中国商務省は14日、韓国の造船大手ハンファオーシャンの米国子会社5社に制裁を科すと発表。トランプ大統領も14日午後に自身のSNSに「中国が意図的に米国産大豆を購入せず、米国の大豆農家に困難をもたらしていることは、経済的敵対行為であると確信している」と投稿。続いて、「報復措置として、食用油をはじめとする中国との貿易取引を停止することを検討中だ」とも書き込んだ。
米中対立緩和?
ただし、トランプ大統領は17日、対中関税の大幅な上乗せについて「持続可能ではない」との認識を示した。「中国とはうまくやっていけると思う」とも語った。同日に中国側との電話会談を控えるベッセント米財務長官は、「中国とのことは徐々に落ち着くだろう」と語ったと伝わった。
自民党と日本維新との連立の可能性が高まっており、高市首相が決定見通し。決選投票に持ち込まれず、1回目ですんなり決まれば、株高・円安で反応する可能性。一方、政局が安定し、日銀が利上げに動きやすくなるとの思惑もあり、来日予定のトランプ大統領発言によっては、一気にトレンドが転換するリスクもあり、戻り高値は限定的となり易い。200日移動平均線が下値支持。
金:長大陰線引け・調整安に注意したい時間帯に入る
【今週見通し・戦略】
米中貿易摩擦に対する懸念や米政府機関閉鎖の長期化の可能性、米連邦準備理会(FRB)の利下げ見通しに加え、米地銀不安を受けて買い優勢となり、内外で史 上最高値を更新した。現物相場は史上最高値4377.59ドルを付けた。金先限は上場来高値2万2060円を付けた。
史上最高値更新
トランプ大統領は、中国によるレアアース(希土類)の輸出規制強化に反発を示し、100%の対中追加関税を11月から課すと表明した。ベッセント米財務長官は、米国は中国との対立激化もデカップリング(分断)を望んでいないとしつつも、中国が信頼できない供給国であることが判明すれば、行動を起こさざるを得なくなるだろうと述べた。中国国営メディアは、中国にレアアース規制の緩和を求める米国に対し、7項目の反論を発表。
米上院は16日、つなぎ予算案を否決した。10回目の否決となった。米政府機関の一部閉鎖は3週目に入った。
地政学的リスクや中央銀行による買い入れ、脱ドル化の動き、上場投資信託(ETF)への堅調な資金流入により、年初来の金相場の上昇率は64%を上回っているが、トランプ米大統領は17日の米FOXビジネスの取材に対し、対中関税の大幅な上乗せについて「持続可能ではない」との認識を示した。「中国とはうまくやっていけると思う」とも語った。
米中対立懸念後退
同日に中国側との電話会談を控えるベッセント米財務長官は、「中国とのことは徐々に落ち着くだろう」と語ったと伝わり、米中対立の激化懸念が後退。前週末には、短期的な買われ過ぎ感もあり、持ち高調整や短期的な利益確定の売りが優勢だった。
長大陰線での包み足となっており、目先の天井を付けた可能性も。三角保合いの頂点の前に天井を付けると言う法則からも、頭打ちの日柄は接近している。
8月20日安値~10月17日高値までの上昇に対する38.2%押しは3995.3ドル。心理的節目4000ドル~基準線と重なる支持線。早々に高値更新できないなら調整に注意したい時間帯に入りそう。
【海外投資家動向(225)】
【CME FED WATCH】
金ETF
この記事の監修者

東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社
取締役 菊川 弘之
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。