金:米政府機関閉鎖の行方が焦点|【Weekly Report】週間予定
2025年10月6日
週間展望(10/6~10/12)
このページで知れること(目次)
週間予定:自民党役員人事
前週:米政府機関閉鎖
ドル円:週明けは高市トレード再開で始まりそう
金:米政府機関閉鎖の行方が焦点
【海外投資家動向(225)】
【CME FED WATCH】
金ETF
週間予定:自民党役員人事
・自民党役員人事
自民派閥裏金事件に関与した議員の起用の有無にも注目
今月中旬には、臨時国会召集、新首相の指名選挙
・植田日銀総裁がユーロプラスイベント出席
「緩和的な金融環境維持が大切」慎重姿勢維持
・日本実質賃金
前回速報+0.5%と7カ月ぶりプラス転換するも結局マイナスに下方修正された
・パウエルFRB議長発言、ボウマンFRB副議長とベッセント米財務長官が対談
・FOMC議事録
・NZ中銀政策金利
GDP予想以上の縮小で50bp大幅利下げ観測高まる、OCR今年末2.25%か
・米政府閉鎖長期化が懸念
・中国は国慶節・中秋節(6日)に伴い大型連休(9日に取引再開)
前週:米政府機関閉鎖
【米政府機関閉鎖】
米連邦政府の予算が10月1日、失効し政府機関が一部閉鎖された。
雇用統計も延期
労働統計局(BLS)は業務を停止。3日に予定されていた9月の雇用統計発表は見送られた。既に、2日は週間の米新規失業保険申請件数や8月の米製造業受注の発表が見送られるなど経済指標の公表にも影響が生じ始めている。商務省経済分析局国勢調査局からは、10月7日には8月の貿易統計が発表される予定だったが、閉鎖が長期化すれば、同30日に予定される第3・四半期国内総生産(GDP)速報値にも影響が及ぶ可能性が出てきた。
ドル円:週明けは高市トレード再開で始まりそう
【今週見通し・戦略】
ドル円は、200日移動平均線を上抜く場面もあったが、戻りは売られた。9月29日に日銀の野口審議委員が「2%の物価安定の目標達成は着実に近づいている。それは、政策金利調整の必要性がこれまで以上に高まりつつあることを意味している」などと述べた。
日銀の利上げ観測が高まり円高に振れた。30日は日本の財務省が実施した2年利付国債入札の応札倍率が2.81倍に留まり、2009年以来の低い水準となった。過去12カ月の平均は3.79倍。最低落札利回りが市場予想を下回るなど、需要が鈍っている。この結果が示され、日本国債利回りが上昇(国債価格が下落)した後、円買いが広がった。
米政府機関閉鎖
1日の米9月米ADP雇用者数は前月比3.2万人減となり、市場予想(5.0万人増)に反してマイナスに転じた。前回値もマイナスに下方修正され、利下げ観測が再燃。ドル円は一時146円台半ばまでドル売り円買いが進んだ。
1日午前0時(日本時間1日午後1時)から、米政府機関の一部が閉鎖された。米政府機関の一部閉鎖の影響で米経済指標の公表が延期となっている。
高市トレード
米政府機関閉鎖の行方と、自民党総裁選挙以降の連立の行方が焦点。高市氏が勝利した事で、ファーストアクションは株高・円安で反応しそうだが、連立の行方を見極めようとする動きや、財務省に近い麻生氏の影響力が意識されてくると、150円超では様子見ムードも出てくるか?
テクニカル的には三角保合いが継続しており、何がきっかけになるにしろ、保合いが長ければ長いほど、放れた際の値動きは大きくなる。
金:米政府機関閉鎖の行方が焦点
【今週見通し・戦略】
内外共に金価格が史上最高値を更新中だ。米覇権・ドル基軸通貨体制の揺らぎという大きな金買いのテーマに加えて、米利下げ期待の高まりや、米政権の関税政策や米連邦準備理事会(FRB)独立性への懸念、更に、世界各地での地政学リスクの高まりなど、世界経済や国際関係に不透明感が強まる中、新興国を中心とした中央銀行による金買いが加速。複合的な要因も組合わさり、記録的な水準まで上昇している。更に、ここにきて金価格の上げを加速させているのが、「米政府機関閉鎖」だ。
米政府機関閉鎖
政府機関閉鎖は1981年以降で15回目。過去の米政府機関閉鎖時の金相場の値動きを見ると、政府機関閉鎖を織り込みながら上昇し、実際の閉鎖が始まり、それが長く続くと、一段高というパターンだ。2018年には、トランプ政権と議会のメキシコ国境壁予算を巡る対立から、12月から翌年1月までの35日間。政府機関の一部が閉鎖された。1995年12月~1996年1月にはクリントン政権vs下院共和党の対立で21日間の政府機関閉鎖、2013年10月にはオバマ政権下で議会が医療制度改革を巡った紛争で16日間の閉鎖となった例がある。今回も最終的には妥結するから問題ないとの楽観的な見方もあるが、政府機関閉鎖が長引けば長引くほど、金価格はオーバーシュート気味の高値追いを見せるだろう。
10月は弱気優勢
一方、短期的な過熱感は高まっており、政府機関閉鎖が長引かず債務上限拡大決定なら、調整(値幅or日柄)が入るだろう。NY金の月間騰落傾向を見ると、10月は弱気が確認される。インド・中国の需要大国の端境期に当たることや、株価下落の損失補填的な売りなどが背景だ。ただし、新しい国際秩序の不透明感など、金を取り巻く環境は長期強気で、「つなぎ予算」可決絡みで付ける10月の調整安は、アノマリー的な年末年始高の買い場を提供することになるだろう。米債務上限が拡大していくことは、結果として金の値位置を押し上げることになる。
米連邦政府債務拡大は「史上最大規模」に達しており、ドルの地位低下は避けらない。リーマンショック時には、中国が50兆円に及ぶ巨額資金を拠出し・世界経済の救世主となったが、当時は負債が少なかった中国も、現在は多額の債務を抱えている。確実に近づいているジム・ロジャーズが言うところの「私の人生最悪のものになる暴落」を救える国は、見当たらない。
【海外投資家動向(225)】
【CME FED WATCH】
金ETF
この記事の監修者

東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社
取締役 菊川 弘之
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。