金:知ったら終いの調整も、上昇トレンドに変化なし|【Weekly Report】週間予定 | 【公式】日産証券の金投資コラム

金:知ったら終いの調整も、上昇トレンドに変化なし|【Weekly Report】週間予定

NSインベストメント 菊川弘之
2025年9月16日

週間展望(9/15~9/21)

週間予定:FOMC、日銀金融政策決定会合、米財務長官と中国副首相会談

【週間スケジュール(9月15日~9月21日)】

・FOMC

 0.25%利下げ織り込み済み、パウエル議長がさらなる利下げに前向きな姿勢示すか否か。

 ドットチャートでの年内利下げ回数にも注目。


・日銀金融政策決定会合

 据え置きが事前予想。

 10月利上げ検討示唆するか注目。高市氏は昨年「今利上げはアホ」発言


・日本消費者物価指数

 電気ガス補助で伸び鈍化か コメ含む食料品は高止まり続く可能性


・米新規失業保険申請件数、前週は大幅増加でドル売り加速 19日はトリプルウィッチング


・NZ GDP

 ホークスビー中銀総裁は年内あと計50bp引き下げ示唆も経済回復スピード次第と発言


・ベッセント米財務長官、スペインと英国を訪問(~18日)


・FRBブラックアウト期間入り(金融政策に関する発言自粛)(~18日)



前週:自民党総裁選挙

【自民党総裁選挙】

日本 2025年自民党総裁選挙の仕組みについて

2024年自民党総裁選の投票結果

2024年:日経225先物(日本時間9/27)

石破茂首相の辞任表明を受け、自民党総裁選への動きが加速してきた。


総裁選は「フルスペック型」での実施が決定し、国会議員票295票、党員・党友票295票の合計590票で争われることになる。


告示は9月22日、投開票は10月4日の日程。

5人が候補か?

自民党の小泉進次郎農相は13日、神奈川県横須賀市で開いた支援者との会合で、石破茂首相の退陣表明に伴う臨時総裁選に出馬する意向を表明した。既に出馬を表明している茂木敏充氏をはじめ、高市早苗氏、小泉進次郎氏、林芳正氏、小林鷹之氏と昨年の総裁選にも立候補した5氏の争いになるとみられている。


先週は、外国人投資家が小泉候補の不出馬観測に乗って、いわゆる「高市トレード」が見られたが、その持続性はそれほど長くは続かず、総裁選挙前に「知ったら終い」となる可能性には注意を払いたい。



ドル円:「米利下げ期待」と「高市トレード」の綱引き相場

【今週見通し・戦略】

ドル円(日足)200日移動平均線

ドル円(週足)52週移動平均線

9日に「日銀は政治混迷でも年内利上げ排除せず」と伝えられたことで、ドル円は146円台前半まで売られたが、下値は限定的。同日に発表された米雇用統計の年次改定暫定値は91.1万人の下方修正となった。この数値は2024年4月から2025年3月までの非農業部門雇用者数の改定値。発表直後にドル売りに振れたものの、同じく下値は限定的。注目された米8月生産者物価指数は・ 米8月消費者物価指数共に、9月利下げの見通しが変更になるような内容ではなく、市場の反応は限定的。


高市前経済安全保障相が総裁選出馬を岸田前首相に報告したとの報道をきっかけとした円売りとなり、147円台後半まで上昇したものの、狭いレンジ相場の範囲内での動き。「米利下げ期待(ドル売り)」と「高市トレード(円売り)」の綱引き相場。

FOMC

FOMCでは、0.25%の利下げが確実視されている。一部には0.50%の利下げを予想する向きもあり、その場合はドル売りに振れると見られる。


今回はFOMCメンバーによる政策金利見通し(ドット・チャート)が発表される。前回は年内2回の利下げ見通しとなっており、その見通しがどう変化しているかや、来年の利下げ回数見通しや今後の実質GDP、失業率、PCE価格指数などの見通しが、従来と比べてどのように変化しているかが注目。

日銀決定会合

日銀金融政策決定会合は、現状維持との見方が市場コンセンサス。植田総裁が記者会見で、今後の利上げに関してどのような見解を示すかが注目される。自民党総裁選挙の候補者による政策表明(財政政策)などにも注目。


145~150円レンジ放れ待ち。



金:知ったら終いの調整も、上昇トレンドに変化なし

【今週見通し・戦略】

NY金(12月限)

JPX金(日足)MAC(Moving Average Channel)

金相場は、米連邦公開市場委員会(FOMC)の利下げ見通しを受け、内外で史上最高値を更新。


NY金は史上最高値3672.75ドルを付け、JPX金先限は上場来高値1万7507円を付けた。 国内現物小売価格も、高値を更新した。


米労働省労働統計局(BLS)が発表した統計で、今年3月までの1年間の米国の雇用創出が従来の推計より91万1000人下方修正された。下方修正幅は同統計史上で過去最大。1カ月当たりでは7万6000人近い下方修正となる。確報値の発表は来年2月。年次改定の発表前の段階では、雇用者数は3月までの1年間に約180万人増だった。


NY金は、9月FOMCでの0.25%の利下げを織り込み、0.5%の利下や年3回の利下げも織り込むような動きを見せており、0.25%の利下げにとどまり、FOMCメンバーによる政策金利見通し(ドット・チャート)で、前回(年内2回の利下げ見通し)が変更されないなら、「知ったら終い」のような展開も想定される。

仏国債格下げ

ただし、格付け大手フィッチ・レーティングスは12日、フランス国債の格付けをダブルAマイナスからシングルAプラスへ1段階引き下げると発表した。主要格付け会社による仏国債の格付けがシングルA格まで下がるのは初。主要各国の財政問題は、金の大きな下値支持要因で、地政学リスクの燻りもあり、金に調整が入っても下値は限定的か?NY金は、3630ドル~3650ドル水準が下値支持。

円建て金の優位性

一方、円建て金は、レンジ商いを続けているドル円がブレイクしてくるなら、短期的にはNY金相場以上に、ドル円相場に影響を受けそう。



【海外投資家動向(225)】

海外投資家動向と日経平均株価(週次)



【CME FED WATCH】

Fedウォッチが示すFOMCでの政策金利見通し



金ETF

金ETF買い残高(SPDR GOLD SHARES)

この記事の監修者

菊川弘之

東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社

日産証券インベストメント株式会社

取締役 菊川 弘之

NY大学留学。その間GelberGroup社、FutureTruth社などでトレーニーを経験。
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。

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