金:三角保合い上放れ、押し目買い②|【Weekly Report】週間予定
2025年9月8日
週間展望(9/8~9/14)
このページで知れること(目次)
週間予定:自民党臨時役員会、米消費者物価指数、バイル仏首相信任投票
前週:米雇用統計
ドル円:米金利低下と日本の政局の綱引き相場
金:三角保合い上放れ、押し目買い
【日経平均 海外投資家動向】
【CME FED WATCH】
金ETF
週間予定:自民党臨時役員会、米消費者物価指数、バイル仏首相信任投票
・自民「臨時総裁選」実施要求の意思確認は見送り・中止
・自民党臨時役員会
総裁選の日程・方式(フルスペックor簡易)などを決める
・米BLS雇用者数年次改定
40万人~68万人下方修正予想、GSは最大で2010年来最大95万人減予想。
・米消費者物価指数
物価圧力高まりつつあるも、前月はトランプ関税の影響は限定的だった。
・バイル仏首相信任投票
野党の支持得られず退陣に追い込まれる可能性、政治不安で仏売りの動き
・FRBブラックアウト期間入り(金融政策に関する発言自粛)(~18日)
前週:米雇用統計
【米雇用統計】
米労働省が5日発表した8月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は2万2000人増にとどまり、事前予想(7万5000人増)を大幅に下回った。
失業率は4.3%と、前月の4.2%から上昇し、約4年ぶりの高水準に達した。
雇用の減速が鮮明となり、米連邦準備理事会(FRB)による9月の利下げはほぼ確実とみられる。
また、6月の雇用者は1万3000人減と、当初の1万4000人増から下方改定され、2020年12月以来4年半ぶりの減少となった。7月分は7万3000人増から7万9000人増に上方修正された。
インドへ追加関税
トランプ大統領は、パウエルFRB議長の利下げに消極的な姿勢を改めて非難。自身の交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」に、「ジェローム『遅過ぎる』パウエルはずっと前に金利を下げるべきだった。いつものように『遅すぎた!』」と投稿した。
ドル円:米金利低下と日本の政局の綱引き相場
【今週見通し・戦略】
2日に日銀の氷見野副総裁講演で、「関税の影響はこれから顕在化するというのをメインシナリオとして持っている」「現状、影響が大きく出ていないのは遅れているからか、それともそもそもそれほど影響がないのか見極めが必要」などと述べた。政策金利の引き上げ時期に関しては、「先走り過ぎてもいけないし、後手にも回らないようにしなければいけない」との発言は、利上げに慎重に示したと受け取られ、日本の政局の不透明感に伴う悪い円安懸念もあり、円売りの動きが進み、一時200日移動平均線を上抜いたものの、戻りはすかさず売られた。
弱気の雇用統計
8月のADP全米雇用リポートでは非農業部門の雇用者数(政府部門除く)が前月比5万4000人増と、市場予想(7万5000人増)を下回った。週間の米新規失業保険申請件数は23万7000件と、およそ2ヶ月ぶりの高水準だった。更に、雇用統計では非農業部門の雇用者数が前月比2万2000人増にとどまり、市場予想(7万5000人増)を大幅に下回った。7月分が小幅に上方修正された一方、6月分は1万4000人増から1万3000人減に改定された。失業率は4.3%と前月の4.2%から上昇。市場予想と一致したものの、2021年10月以来の高水準だった。
市場の一部では、9月のFOMCで0.5%の利下げに動くとの観測が浮上。年内の残り3回の会合で0.25%ずつ利下げするとみる市場参加者も増えた。
悪い円安懸念
一目均衡表からの下値目標値は、N=144.04円、V=143.59円、E=141.45円。心理的節目140円を割り込むと、下値リスクは大きくなる。
一方、日本の政局次第では再度、「悪い円安」懸念が浮上する可能性。
金:三角保合い上放れ、押し目買い
【今週見通し・戦略】
パウエルFRB議長の「ジャクソンホール会議」での講演を受けて、9月の利下げ期待が強まり、金利低下・ドル安・株高・金高で反応後も、米トランプ政権による米連邦準備理事会(FRB)への利下げ圧力が中央銀行の独立性を損ない、ドルや米国債の信認低下を招く可能性が意識されている中、ドルの先安観から金への買いが続いた。
中ロが主導する新興国の枠組み「上海協力機構(SCO)」が天津市で開催された。SCOに加盟する10ヶ国の人口は世界全体の約半分を占め、経済規模は世界全体の国内総生産(GDP)のおよそ4分の1に当たる。今回の注目は、SCO開発銀行を早期に設立する提唱だ。米ドルに頼らず資金を融通する仕組みを整え、人民元で決済する経済圏の拡大を狙う。
このSCOに続いて3日には北京で、「抗日戦争勝利80年」の軍事パレードが開催された。習近平国家主席、プーチン大統領、金正恩総書記らは、トランプ政権をにらみ結束を演出した格好だ。米国の覇権・ドル基軸通貨体制の揺らぎに直結するものであり、金価格の史上最高値更新の一因でもある。
チャイナリスク
一方、中国株式市場で信用取引残高が急増し過去最高となっている。英LSEGによると、3日時点で約2兆2800億元(約47兆円)に膨らむ。中国金融規制当局は8月からの株価急騰に対する懸念を強めており、市場冷却するための措置を検討している模様で、舵取り如何では、金融市場ではチャイナショックも誘発されかねない綱渡り状態であることも、金市場にとっては強気要因だ。
円建て金の優位性
NY金は、価格帯別出来高の厚い雲(先行1~2)を下値支持帯として、V=3714.8ドル、E=3749ドルなどが試される流れ継続。日本の政治の不安定化や財政悪化懸念が強まり、円安・ドル高が進んだ場合、円建て金の優位性が高まる。
【海外投資家動向(225)】
【CME FED WATCH】
金ETF
この記事の監修者

東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社
取締役 菊川 弘之
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。