金:三角保合い放れ待ち⑥|【Weekly Report】週間予定
2025年8月4日
週間展望(8/11~8/17)
このページで知れること(目次)
週間予定:米ロ首脳会談、米CPI、米小売売上高
前週:自民党両院議員総会
ドル円:米利下げ観測継続
金:三角保合い放れ待ち
【日経平均と海外投資家の動向】
【CME FED WATCH】
金ETF
週間予定:米ロ首脳会談、米CPI、米小売売上高
・米ロ首脳会談
15日に米国のアラスカ州で会談する。
米ロ首脳による会談は2022年2月のロシアによるウクライナへの侵略開始後、初めてとなる。
・米消費者物価指数
トランプ関税の影響じわじわ広がる、パウエルFRB議長はインフレ警戒
・米小売売上高
駆け込み需要の反動で鈍化か、大規模セール期間延長で増加の可能性も
・豪中銀政策金利
失業率上昇とインフレ鈍化で利下げ確実か、四半期経済見通し公表
・豪州の雇用統計と賃金指数
失業率は改善か、豪中銀副総裁は所得増加で先行き楽観視
・インド独立記念日
ロシア原油巡り米印緊張高まる中でモディ首相演説 8月末に中国訪問
前週:自民党両院議員総会
【両院議員総会】
参院選の惨敗を踏まえて、自民党は8日に両院議員総会を開いた。「参院選の総括と今後の党運営について」が議題で、総裁選の前倒しについても話し合われた。
自民党の両院議員総会は党大会に次ぐ重要な意思決定機関で、東京都内にある党本部で午後2時半から2時間行われた。
石破氏は続投に意欲
冒頭、自民党総裁の石破総理大臣は、参議院選挙に関し「あのような結果を招き、心からおわびする」と重ねて陳謝した。その上で、日米関税交渉や農業政策、防災などの課題を挙げ、「引き続き日本国に責任を持っていきたい」と述べ、続投に重ねて意欲を表明した。
また、森山幹事長は参議院選挙の総括を今月末をめどに取りまとめ、検証結果を報告すると述べた。
逢沢委員長に一任
8日の両院議員総会は石破総理と森山幹事長の冒頭のあいさつを除き、非公開だった。総裁選をやるかやらないか問題の判断を一任されている党総裁選管理委員会の逢沢一郎委員長は、「自民党の歴史の中にこういう経験はなく、きちんとした仕組みを作ることが必要」と述べた上で、8月末をめどに出される参院選総括を考慮しながらタイミングを考える意向を示した。
党則6条4項は、所属国会議員と各都道府県連代表の総数の過半数が要求すれば、総裁選を行うと規定。現状では、国会議員295人と各都道府県連代表47人を合わせた342人中、172人以上の求めが確認されれば、実施が正式に決まる。総裁選管はメンバーを整えた上で、早ければ今月末にも所属議員と都道府県連に対する意思確認を始める見通し。ただ党則上の総裁選前倒しは前例がなく、意思確認の手法などの基本的な段取りが定まっていない。混乱は続きそうだ。
ドル円:米利下げ観測継続
【今週見通し・戦略】
先週のドル円は、雇用統計が労働市場の軟化を示したことで米長期金利が低下し、日米金利差縮小観測から急反落となった流れが継続した。
米ISMが5日発表した7月の米非製造業(サービス業)景況感指数は50.1と、市場予想(51.2)に反して6月(50.8)から低下した。
追加利下げ観測
ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は6日、米CNBCで、「年内に2回利下げするのは合理的だと考えている」との考えを示した。サンフランシスコ連銀のデイリー総裁は同日午後、米労働市場の勢いが減速しつつあることを踏まえ、今後数カ月内に政策金利の調整が必要になる可能性が高いと話した。
7日にトランプ米大統領が自身のSNSで、米大統領経済諮問委員会(CEA)のスティーブン・ミラン委員長をFRBの理事に指名すると発表。8日付で辞任するクグラー理事の後任となる。トランプ氏の意向を受けてミラン氏は利下げを積極的に支持する可能性が高い。金融緩和に前向きなFOMC参加者が増えるとの観測が円買いドル売り要因に。米トランプ政権内でウォラーFRB理事が次期FRB議長の有力候補に浮上していると、7日にブルームバーグ通信が報じた。ウォラー氏は緩やかなペースでの利下げを支持している。
グランビルの売り法則
52週移動平均線や200日移動平均線に上値を抑えられ、グランビルの売り法則となった。まずは、4月安値を起点とした上昇トレンドを試す流れ。
ただし、日本の連立政権の枠組み次第では、悪い円安が再開する可能性も残っており、140-150円のレンジ放れ待ちが続きそう。今週は7月の米消費者物価指数(CPI)や、米ロ首脳会談を見極めようとする動きも想定される。
金:三角保合い放れ待ち
【今週見通し・戦略】
NY金(12月限)は、米雇用統計ショック後の米利下げ観測の高まりを背景に続伸した。価格帯別出来高の厚い水準を中心とした三角保合い放れ待ちが継続。雇用統計後に発表されたISM非製造業景況感指数なども、弱気のものが続いた。
利下げ観測を好感
関税措置に伴う景気先行きへの不透明感がくすぶる中、安全資産としての金買いが優勢となった。更に7日、トランプ米大統領が自身のSNSで、米大統領経済諮問委員会(CEA)のスティーブン・ミラン委員長をFRBの理事に指名すると発表。利下げを積極的に支持する可能性が意識された。
関税問題で混乱
英FTは8日、米国が1キログラムの金地金に関税を課したと報じた。これまで市場では金は米関税の課税対象にならないとの見方が大勢を占めており、先行きの供給懸念が意識された。主要な金精錬拠点はスイスにあり、金地金も同国に米国が課した39%の相互関税の対象となると解釈された。 関税分だけ地金調達のコストが跳ね上がれば、空売りの採算が合わなくなると見られることで、売り方の急速な買い戻しが意識された。
COMEXが先物取引の現物決済で認めている1キログラムと100オンスの金地金について、米税関・国境取締局(CBP)はウェブサイトで、国別関税の対象外である「未加工の金地金」ではなく関税対象の「半製品」にあたるとの見解を示した。FTや米ブルームバーグは8日、米政権幹部の話として金地金の関税取り扱いに関する政権の見解を明確にする通達を近く出す方向だと報じた。報道を受けて金相場は戻りを売られて、長い十字線引け。CBPの見解を上書きする形で、金地金が関税の免除対象になると確認する内容になるとみられている。
変動高まる時間帯
米ロ首脳会談を見極めようとする動きも予想されるが、調整局面は、チャート上の底地確認後、押し目買い主体の戦略継を考えたい。
【日経平均と海外投資家の動向】
【CME FED WATCH】
金ETF
この記事の監修者

東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社
取締役 菊川 弘之
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。