金:三角保合い放れ待ち③|【Weekly Report】週間予定
2025年7月22日
週間展望(7/21~7/27)
このページで知れること(目次)
週間予定:ウォラー理事とボウマン副議長講演、ECB理事会
前週:参議院選挙、与党過半数割れ
ドル円:200日移動平均線の攻防戦
金:三角保合い放れ待ち
【価格帯別売買代金】
【CME FED WATCH】
金ETF
週間予定:ウォラー理事とボウマン副議長講演、ECB理事会
・参院選投開票
与党が過半数維持できるかが焦点、過半数割れなら財政悪化懸念で日本売り(株安・円安)
・FRBブラックアウトを前にウォラー理事とボウマン副議長の講演
2人とも7月利下げに賛成
・参院選挙
与党過半数割れ確実か 21日「海の日」で東京市場は休場
・東京7月消費者物価指数
備蓄米放出によりコメ価格はやや下落も、その他食品は上昇か
・ECB理事会
8回の利下げを経て金融緩和サイクル一時停止か 9月会合へのヒント探る
・豪中銀議事録
予想外の利下げ見送り 据え置き反対はウィルキンソンとロス、もう1人は謎
・FRBブラックアウト期間入り(金融政策に関する発言自粛)(~31日)
・週内:IMF世界経済見通し(改訂版)
前週:参議院選挙、与党過半数割れ
【参議院選挙】
20日に投票が行われた第27回参議院選挙。125の議席をめぐって争われ、自民・公明両党は過半数の議席を維持できず衆議院に続き参議院でも少数与党となった。自民党を中心とした政権が衆参両院で過半数を割り込むのは1955年の結党以来、初めてのことになる。
過半数割れ
石破総理は過半数の維持に必要な50議席を「必達目標」としていたが、届かず。石破総理は続投の意向を示すが、衆参両院で過半数を失い、政権運営は厳しくなる見通し。予算案や法案を成立させるためには引き続き野党の協力が不可欠で、政策ごとに野党との合意形成を図っていくことを模索する方針。
関税交渉待ち
「石破降ろし」の声も出ているが、8月1日に日米関税交渉期限を控え、ここまでは動きづらい。また、自民党総裁選挙で勝っても、衆参両院で過半数割れの状況で、必ずしも首班指名を受ける保証もなく、火中の栗を拾う者が出てくるかは不明で、当分の間、石破首相で行きながら世論の風を読むという動きも出てきそうだ。7月31日に自民両院議員懇談会が予定されている。
参院選挙前には、自公と立憲民主の連立案も浮上していたが、自公の惨敗と同様、立憲の獲得票も激減しており、野田首相で大連立案も後退している。複数の連立案が浮上しているが、現段階では、いずれも不透明感が強い。
ドル円:200日移動平均線の攻防戦
【今週見通し・戦略】
先週は、トランプ米政権による関税を巡るインフレ懸念から米長期金利が上昇し、日米金利差拡大を意識した円売り・ドル買いが進み、三角保合いを上放れ。
トランプ米大統領は12日、8月1日から欧州連合(EU)とメキシコに30%の追加関税を課すと表明した。
6月の米消費者物価指数(CPI)は、市場予想通りだったが、米関税政策が米国の物価を今後押し上げるとの懸念から米長期金利が上昇、一時149円台の円安・ドル高水準を付けた。
参院選の不透明感
日本の参院選の結果を巡る不透明感も円売り・ドル買いを促した。20日の投開票を前にした終盤の世論調査では、自民、公明両党は過半数の維持に必要な50議席を獲得できるのか微妙な情勢となっている。消費税減税を含めた財政拡大を掲げる野党と協調することになれば、日本の財政悪化につながるとの見方がある。
FRB議長解任騒動
16日の米国市場でホワイトハウスの高官が「トランプ米大統領が近いうちにパウエルFRB議長を解任する可能性がある」と述べたことで、株売り、ドル売り、米国債売り(利回りは上昇)の米国売りとなり、146.90台まで急落。その後、トランプ米大統領が会見で「パウエル解任に関する報道は真実ではない。解任の可能性は極めて低く、その計画もない」と述べた。これを受けてドル円も下げを戻す展開となった。
参院選の結果を受けて、52週移動平均線の攻防が焦点。グランビルの法則では、下向きの移動平均線を上抜いても売りシグナルとなる可能性には注意。参院選挙後の衆院解散動向と関税問題の行方に大きく左右される展開。
金:三角保合い放れ待ち
【今週見通し・戦略】
NY金(8月限)は、強弱材料が交錯する中、参院選挙・関税交渉の行方を見極めたい向きも多く、価格帯別出来高の厚い3300~3500ドルを中心とした三角保合い放れ待ちが継続している。トランプ米大統領は12日、欧州連合(EU)とメキシコに30%の関税を8月1日から課すと表明。
米国が表明した日本に対する25%の相互関税発動が8月1日に迫る中、日本側は米国側との「調整を精力的に続ける」方針としているが、米国側は参院選挙待ちの様相。ベッセント財務長官は「急ぐことよりもよい合意がさらに重要であり、日米双方に利益のある形での貿易の合意は依然として実現可能な範囲にある。」と投稿。
ジーニアス法成立
ドルに価値を連動させる暗号資産(仮想通貨)のステーブルコインの普及を促す「GENIUS(ジーニアス)法」が18日、トランプ米大統領の署名で成立した。トランプ大統領は18日、ステーブルコイン規制(ジーニアス)法案の署名式で演説。「金融での米国支配を確固たるものとする大きな一歩だ」と強調したほか、「ドル下落をそのままにしない」と述べた。ベッセント財務長官やラトニック商務長官などは「暗号通貨推進派」。トランプ大統領は、「連邦政府は世界で有数のビットコイン保有者であり、合法的に入手した大量のビットコインを保有している。新しい国庫準備金の基礎を形成できる」と説明している。膨大な財政赤字を抱えるドル破滅シナリオを食い止め、新しい経済発展につなげようとする動きだが、FRBの通貨発行権に関わる問題。リンカーン大統領(政府紙幣の発行)・ケネディ大統領(財務省発行の合衆国紙幣)らも、ここに臨んだが、達成できず。米国家経済会議(NEC)のハセット委員長は、FRBは首都 ワシントンの本部改修費用に関して多大な説明責任があると指摘した上で、状況によってはトランプ米大統領がパウエル米FRB議長を解任する権限を得ることになるとの見方を示した。
【価格帯別売買代金】
【CME FED WATCH】
金ETF
この記事の監修者

東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社
取締役 菊川 弘之
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。