金:三角保合い放れ待ち|【Weekly Report】週間予定
2025年7月7日
週間展望(7/7~7/13)
このページで知れること(目次)
週間予定:米国・イスラエル協議、米関税一時停止期限切れ
前週:米雇用統計
ドル円:140-150円レンジ放れ待ち
金:三角保合い放れ待ち
【価格帯別売買代金】
【CME FED WATCH】
金ETF
週間予定:米国・イスラエル協議、米関税一時停止期限切れ
・米関税一時停止期限切れ
英国ベトナムとは合意、日本とは「合意困難」とトランプ大統領
・米FOMC議事録
パウエルFRB議長はインフレ再加速を警戒、利下げ急がない姿勢示す
・日本実質賃金
5カ月連続でマイナスか コメ高騰など物価高に賃上げ追いつかない状況続く
・トランプ米大統領とイスラエル首相がガザとイランについて協議
・豪中銀政策金利
5月コアCPIが21年後半来低水準、低迷する経済成長率、予想外の雇用者数減
・週内 米国ウィトコフ中東担当特使とイランのアラグチ外相が協議の予定
前週:米雇用統計
【雇用統計】
米労働省が3日発表した6月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は14万7000人増加で市場予想を上回った。5月は14万4000人増に上方改定された。
ポジティブサプライズ
失業率は4.1%。5月の4.2%から予想外に低下した。13万人が労働力から離脱したことが一因とみられる。
事前予想は、非農業部門雇用者数が11万人増(予想レンジ:5万─16万人増)、失業率は4.3%だった。
前日発表の6月のADP全米雇用リポートで非農業部門の雇用者数が減少した後で、雇用統計が市場予想を上回る内容だったことからポジティブサプライズとなった。米ADP全米雇用報告では、民間雇用者数は3万3000人減となり、予想外の減少。5月は3万7000人増から2万9000人増に下方修正されていた。
減税法案可決
また、米政府が5月に導入した半導体設計ソフトの対中輸出規制を撤回したことが2日に明らかになった。米中関係の改善や通商交渉の進展への期待もリスクオンの一因。更に、トランプ減税の延長を柱とする減税・歳出法案の審議の進展も株式相場を支えた。米連邦議会下院は3日、トランプ米政権の主要政策を盛り込んだ大型の減税・歳出法案を可決した。トランプ大統領の署名を経て成立する。米議会予算局(CBO)は10年3.4兆ドル(約490兆円)程度の財政悪化を見込む。
ドル円:140-150円レンジ放れ待ち
【今週見通し・戦略】
先週のドル円は、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ期待の高まりから7月1日に142円台後半まで下落した。早期米利下げ観測を背景に円買い・ドル売りが入った。6月の米シカゴ購買部協会景気指数(PMI)は40.4と5月(40.5)から低下。市場予想(43.0)を下回り、米景気の悪化に対する懸念が強まった。
強気の雇用統計
先週にかけてFRBのボウマン副議長とウォラー理事が7月の利下げを支持する考えを明らかにした後で、6月のADP全米雇用リポートで非農業部門の雇用者数は前月比3万3000人減と、市場予想(10万人増)に反して減少。年内の米利下げ観測が強まったが、3日に6月の米雇用統計が市場予想を上回る強い結果となると、ドル買いが進み、145円台まで上値を伸ばした。
トランプ減税の延長を柱とする減税・歳出法案を巡って、米連邦議会上院が修正案を前日に可決。米連邦議会下院は3日、トランプ米政権の主要政策を盛り込んだ大型の減税・歳出法案を可決した。トランプ大統領の署名を経て成立した。
米財政赤字拡大
今回の法案は既存の減税の延長が多いため、全体として経済成長率の押し上げ効果は小さい。米議会予算局(CBO)が5月に可決した以前の下院案を基に試算したところ、25〜29年の実質経済成長率は年0.1ポイントの押し上げにとどまる見込みで、財政悪化には歯止めがかからない。CBOは1日可決した上院案が財政赤字を10年3.4兆ドル(約490兆円)増やすと試算。
これらは、中長期的なドル離れ・ドル売り要因となる。引き続き、三角保合い放れ待ち。7月は月間騰落傾向では、円高ドル安が優位性のある時間帯。
金:三角保合い放れ待ち
【今週見通し・戦略
イランがカタールとイラクにある米軍基地に対するミサイル攻撃作戦を実施したものの、イランは米国とカタールに攻撃を事前に通知するなど、抑制的なものと受け止められ、金売りで反応したものの、下値は限定的。
報復攻撃は事前通達
NY金(8月限)は、価格帯別出来高の厚い3300~3500ドルを中心とした三角保合い下放れの場合、5月安値(3151ドル)~4月高値(3226ドル)、N値=3088ドル、心理的節目3000ドル、4月7安値(2995ドル)などがターゲットとして計算できるが、大きなテーマ(ドル基軸通貨・覇権の揺らぎ)が下値を支え、夏にかけての米債務問題・関税協議・米利下げ観測などが改めて買い材料視されそうだ。
減税法案通過
トランプ米政権の主要政策を盛り込んだ大型の減税・歳出法案が3日、連邦議会下院を通過。トランプ大統領が4日に署名して成立した。米議会予算局(CBO)が5月に可決した以前の下院案を基に試算したところ、25〜29年の実質経済成長率は年0.1ポイントの押し上げにとどまる見込みだ。 一方、財政悪化には歯止めがかからない。CBOは1日可決した上院案が財政赤字を10年で3.4兆ドル(約490兆円)増やすと試算。下院が5月に通過した時点で2.4兆ドルだったが、わずか6週間で1.4倍になった。CBOは米政府に入る関税収入の増加により、10年間で財政赤字が2.8兆ドル圧縮されると試算したが、上院可決直前の修正で財政赤字は膨らみ、関税収入で賄いきれない計算だ。政府債務は現行の法定上限である36.1兆ドルに達している。1日に可決した上院案はこれを5兆ドル引き上げる内容が盛り込まれ、懸念されていた夏場にかけての米国債デフォルト(債務不履行)「Xデー」は、回避されたが、米債務上限が拡大したことで、将来の不安度を反映して、中長期的には金価格の水準も更に引き上がりそうだ。
【価格帯別売買代金】
【CME FED WATCH】
金ETF
この記事の監修者

東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社
取締役 菊川 弘之
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。