金:ゴールドマン・サックス、価格見通し上方修正|【Weekly Report】週間予定
2025年2月25日
週間展望(2/24~3/2)
このページで知れること(目次)
週間予定:米仏首脳会談・米英首脳会談、米PCE価格指数
前週:ウクライナ戦争の停戦に向けた動き進む
ドル円:円高ドル安の限度を試す流れ
金:ゴールドマン・サックス、価格見通し上方修正
【米小売売上高】
【CME FED WATCH】
金ETF
週間予定:米仏首脳会談・米英首脳会談、米PCE価格指数
・米PCE価格指数
ウォラーFRB理事「コアPCE前年比2.6%上昇と見ている」
・東京消費者物価指数
電気ガス補助金再開の一方で食料価格高騰続く、コメやキャベツ高い
・日銀基調的インフレ指標、植田日銀総裁「基調的物価上昇率まだ2%を少し下回っている」
・トランプ米大統領が英首相・仏大統領と関税やウクライナ和平交渉について協議
・ベッセント米財務長官と加藤財務相は南アフリカでのG20会議を欠席
・ドイツ総選挙
・EU外相理事会
・米仏首脳会談
・米英首脳会談
前週:ウクライナ戦争の停戦に向けた動き進む
【米露首脳会談】
ロシアーウクライナ戦争の停戦に向けた動き(和平交渉)などが急速に進んでいる。トランプ米大統領は12日、第2次トランプ政権で初めてとなるプーチン大統領との会談をサウジアラビアで実施する可能性に言及した。「最初の会談はおそらくサウジになると思う」と表明した。
トランプ政権は12日、ウクライナが鉱物、ガス、石油などの資源採掘やインフラの運営から得られる収益の半分を計5000億ドル(約75兆円)に達するまで米側に拠出する内容の協定案を提示した。
ゼレンスキー氏は安全保障の提供の約束が盛り込まれていないとして拒否したが、23日には条件付きで辞任する意向を示した。
ウォール・ストリート・ジャーナル(2/12)は、「中国はウクライナに和平をもたらす役割を果たそうとしている」というタイトルで、習近平国家主席とトランプ大統領が水面下の交渉を実施していると報じた。
中国の提案は、「ウクライナのゼレンスキー大統領の関与なしの米露首脳会談をしてはどうか」と言う内容で、交渉案は、習近平が2023年2月24日に提起した「和平案」を軸にしており、習近平国家主席は秘密裏にプーチン大統領とも相談していると推測される。
もし、米露だけで停戦が成立した場合、トランプ大統領への「ノーベル平和賞」授与の可能性も高まる。
新ヤルタ体制
ゼレンスキー大統領が当てにする中国からは梯子を外され、欧州はドイツ総選挙の結果を見て分かるように、主要港の政権の力は弱い。
今週は米仏首脳会談・米英首脳会談が予定されているが、米中ロの新ヤルタ体制でゼレンスキー抜きの停戦は既定路線だ。
ドル円:円高ドル安の限度を試す流れ
【今週見通し・戦略】
先週は、日本の第4四半期GDP一次速報が、前期比年率+2.8%と、市場予想(+1.1%)を上回った。これで日銀の利上げ観測が高まり、ドル円は151.30台まで下落。一方で、17日にボウマンFRB理事は「利下げを再開する前に、インフレの低下に関してより強い確信が必要となる」と追加利下げに慎重姿勢を示した。18日には、FRBウォラー理事や、サンフランシスコ連銀のデーリー総裁も追加利下げに慎重な姿勢を示し、早期利下げに否定的な発言を受けて、ドル買いの動きとなった。
日銀追加利上げ観測
19日に日銀・田中審議委員が「追加利上げ以降もギアシフトを段階的に行っていくという視点も必要」との認識を示し、151円台前後まで下落。東京時間に植田日銀総裁と石破首相が意見交換した中で、長期金利上昇については話題になく、最近の長期金利上昇を容認しているとの観測が広がった。その後、日銀の植田総裁は衆院予算委員会で、「長期金利が急激に上昇 すれば機動的に国債買い入れを増額する」などと述べたことから円買いの動きが一服して円売りに傾き、ドル円は150円台半ばまで戻りを見せた。ただし、先週末のドル円は一時、148円93銭と2024年12月上旬以来の円高・ドル安水準をつけた。米経済指標が景気の減速感を示したことから円買い・ドル売りが優勢になった。
米経済指標悪化
S&Pグローバルが発表した2月の米購買担当者景気指数(PMI)速報値は総合が50.4と前月(52.7)から低下し、1年5ヶ月ぶりの低水準となった。製造業は小幅に改善したものの、サービス業は49.7と2年1ヶ月ぶりの水準に低下。市場予想(52.8)以下となった。ミシガン大学米消費者態度指数の確報値は64.7と、速報値(67.8)から下方修正。1月の米中古住宅販売件数は市場予想以上に前月から減少。
2024年9月安値~2025年1月高値までの上昇に対する半値押しと重なるネックライン(2024/12/3安値)水準割れなら、61.8%押し(146.9円)が試される流れへ。一目均衡表からは、V=147円、N=146.8円がカウント可能。
金:ゴールドマン・サックス、価格見通し上方修正
【今週見通し・戦略】
NY金(4月限)は史上最高値更新後も高値圏で推移。JPX金先限は上場来高値更新後、NY金と比較して円高進行分、調整含みとなっている
トランプ米政権における政策の不透明感や、3月には「つなぎ予算の期限」が訪れ、2025年末に「トランプ減税の期限」を迎える中、債務上限突破なら米国債のデフォルト懸念との連想から「安全資産」の金に買いが入っている。
ゴールドマン・サックスは2025年末の金価格について、従来予想の2890ドルから3100ドルに引き上げた。中央銀行の需要が構造的に高まることで、年末までに金価格は9%上昇し、金利低下に伴いETF(上場投信)の保有が徐々に増加するとした。また関税を巡る懸念など政策の不確実性が高止まりした場合、年末までに3300ドルまで上昇する可能性があると予想した。
強気材料への反応度に注目
米政府が保有する金の価値(簿価)は、1トロイオンス42ドルという安さで評価されている。史上最高値を更新中の最近の市場価格で評価すると、買い戻し契約を通じて米財務省の一般会計(TGA)に約8000億ドルが転がり込む可能性がFTなどで報じられている。現在の市場価格で保有金を再評価すれば、米政府のバランスシートは改善する。更に、金価格の高騰が続けば、その恩恵はさらに大きくなる(2/21付け:>市場分析レポート
ただ、CFTC建玉明細での大口投機玉の買い越し水準が過去最高に接近しており、強気要因に市場の反応が鈍くなってくるようだと、調整入りも想定しておきたい。2月が弱気となった場合、3月は反転して強気となるケースが、この10年間では確認されており、内部要因主導での調整場面があったとしても、結果として春高に向けての買い場を提供することになりそうだ。
【米小売売上高】
【CME FED WATCH】
金ETF
この記事の監修者

東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社
取締役 菊川 弘之
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。