金:テクニカル的なダマシが出やすい時間帯|【Weekly Report】週間予定
2024年12月2日
週間展望(12/2~12/8)
このページで知れること(目次)
週間予定:米雇用統計
前週:レバノン停戦
ドル円:日米金利差縮小観測
金:テクニカル的なダマシが出やすい時間帯
【東京都区部物価】
【CME FED WATCH】
金ETF
週間予定:米雇用統計
・パウエルFRB議長(4日)、ウォラーFRB理事(2日)などが講演 7日から発言が禁止されるブラックアウト期間入り前にFOMCメンバーの講演相次ぐ
・米雇用統計 ストやハリケーンの影響で前回は雇用者数が大幅低下、その反動で11月は大幅増加へ
・10月実質賃金(日本) 3カ月連続でマイナスの見通し 石破首相は来年春闘での大幅賃上げ実現を要請
・「最もハト派」中村日銀委員の講演、7月会合で追加利上げに反対した1人(もう1人は野口委員)
・NATO外相会合(4日まで) ロシアーウクライナ停戦へ向けての準備対応
前週:レバノン停戦
【長距離砲攻撃許可】
イスラエルとレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの戦闘を巡り、米国のバイデン大統領は26日、イスラエルとレバノンの両政府が60日間の一時停戦に合意したと明らかにした。
停戦は現地時間の27日午前4時(日本時間午前11時)に発効した。
レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの指導者カセム師は29日、イスラエル軍との停戦発効後初めてテレビ演説し、停戦合意を「承認した」と述べた。ヒズボラは27日の声明で「イスラエル軍に勝利した」と主張し、停戦受け入れを事実上表明していたが、公式に明言したのは初めて。
停戦は今月27日に発効したが、イスラエル軍は28日、停戦合意違反があったとして空爆などを実施。ヒズボラもイスラエル側が合意に違反したと主張しており、合意が順守されるかが注目されている。
ドル円:日米金利差縮小観測
【今週見通し・戦略】
トランプ次期米大統領が財務長官に指名したスコット・ベッセント氏発言で、ドル円は上下にブレる局面もあったが、26日にトランプ氏が中国に10%の追加関税、メキシコとカナダに25%の関税を課すと表明したことを受けて、貿易摩擦の激化懸念でリスク回避の円買い・ドル買いが広がった。カナダドルやメキシコペソは急落。ただ、27日(日本時間では28日)にトランプ氏はメキシコのシェインバウム大統領と米国へのドラック流入阻止について協議し、メキシコ大統領がメキシコ経由の移民阻止に同意した。米国とメキシコの関税を巡る緊張が緩和してドル円は152円近くまで戻りを見せた。
その後、11月の東京都区部の消費者物価指数(CPI)は、生鮮食品を除く総合が前年同月比2.2%上昇。市場予想(2.1%上昇)を上回り、10月(1.8%上昇)から伸びが加速した。植田日銀総裁は日本経済新聞インタビューで、追加利上げの時期について「データがオントラック(想定通り)に推移しているという意味では近づいているといえる」と述べた。また、「一段の円安はリスクが大きい」との認識を示した。場合によっては政策変更で「対応しないといけなくなる」と強調した。日銀が12月の金融政策決定会合で追加利上げに動くとの見方が強まった一方、12月FOMCで追加利下げに動くとの観測が根強く、日米金利差縮小思惑から、円高ドル安が加速している。
ネックライン割れで、変形の三尊天井完成。エリオット波動の修正波動入り。9月安値~11月高値までの上昇幅に対する半値押しは148.13円。61.8%押しは146.1円。200日移動平均線を割り込み、90日移動平均線(148.3水準)が意識される流れへ。200日移動平均線が上値抵抗に変化。一目均衡表からの下値目標は、V=147.46円がカウント可能。
新通貨作るな
トランプ次期米大統領が11月30日、SNSに「BRICSの新通貨をつくらず、強大なドルに代わるほかの通貨を支持しないと約束するよう要求する。さもなくば100%の関税に直面し、素晴らしい米経済に別れを告げることになるだろう」と投稿したことは、基軸通貨としての地位が揺らいでいる証左。
金:テクニカル的なダマシが出やすい時間帯
【今週見通し・戦略】
金相場は調整入りとなっている。トランプ次期政権では、和平に向けた動きが強く見込まれる中、イスラエルとレバノンの親イラン民兵組織ヒズボラが停戦で合意すると伝わった事も金の売り要因とされた。ロシア―ウクライナ戦争も、あくまでコントロール下された地政学リスクであることも調整安の一因。
次期米財務長官指名後は、米金利は下落(NY金にとっては強気要因)しており、地政学リスクを背景に短期的に急上昇した流れが、米感謝祭を前に利食いの動きが出たと言うのが調整安の主因だ。
テクニカル面からは、ネックラインの11月14日安値(1番底候補)を割り込むと、ダブルトップ完成。下げ圧力が高まるチャート形状だが、心理的節目2600ドル水準で、下げ止まれば2番底形成。そこから切り返し、11月25日高値を上抜けば、強気感が増していく。また、2600ドル水準で下げ止まっても上値が重いなら、11月14日安値~11月25日高値のレンジ形成となり、ボックス放れ待ちの展開となりそうだ。
水星逆行期入り
JPX金は、終値ベースでネックライン(11/18安値)を割り込むと、8月安値~10月高値までの上昇に対する38.2%押し(12700円)~半値押し(12338円)、61.8%押し(11976円)などが意識される。一目均衡表からは、N=12491円、V=11940円、E=11681円などがカウント可能だ。ただ、マーケット・アストロロージ(占星術)では、今年最後の水星逆行サイクルが11月25日から始まっている(~12月15日)。テクニカル面のダマシが出やすい時間とも言われ、円高などで国内市場がネックライン割れから下げ加速となっても、マザーマーケットNY金が大きく崩れなければ、国内のダブルトップ完成はダマシで終わり、中期的な買い場を提供するような展開も想定しておきたい。変化が起こりやすいサイクルは、12月1日が新月。メリマンの重要変化日が12月15日~18日。
【東京都区部物価】
【CME FED WATCH】
金ETF
この記事の監修者
東証スタンダード市場上場 日産証券グループ株式会社グループ会社
取締役 菊川 弘之
帰国後、商品投資顧問会社でのディーリング部長を経て日産証券主席アナリストに。
2023年4月NSトレーディング代表取締社長に就任。日経CNBC、ストックボイスTV、ラジオ日経はじめ多数のメディアに出演の他、日経新聞にマーケットコメント、時事通信、Yahooファイナンスなどに連載、寄稿中。近年では、中国、台湾、シンガポールなど現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。また、自身のブログ『菊川弘之の月月火水木金金』でも日々のマーケット情報を配合中。